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●漫画・・ 「姫」

 私立白桃学園の三年生、姫川京子は女子高生ながら同学園の校長の立場に居る。そしてこの学園を裏からも締める女番長でもある。人は彼女のことを“姫”と呼ぶ。側近には有能な子分が揃っており、情報屋の百合子や“弁護士”と呼ばれる秀才女子、武闘派の力自慢、“日直”は何と、女子高生ながら制服の下のホルスターには拳銃を携帯している。この子分どもを従えて、超スケバンの“姫”は、悪い大人たちの奸計に填まってひどい目に合った、白桃学園の女子生徒たちを救うため、あるいは仇を取るために、ヤクザな悪い大人たちに敢然と立ち向かい、このダニや寄生虫の如き極悪な大人たちを懲らしめ成敗する。

 エッチなエロエロシーン満載の、暴力アクション劇画。表面は社会的地位を保ち、セレブ生活を維持しながら、その裏側では臆面もなく、非道な犯罪行為を行う、狡くて汚い醜悪な大人たちを退治する、“姫”たち番長グループは、相手が悪人の大人なら殺してしまうことも厭わない。まあ、悪をもって悪を征する、ハード·ヴァイオレンス劇画ですね。相手の悪い大人たちは、だいたい、社会的成功者でありながら裏側で非道な犯罪行為をやっている、血も涙もないような畜生な大人の男たちが多いですね。その悪い大人たちを、残酷とも言える凄絶なリンチに掛け、ときには殺害する、“姫”たち超スケバングループの活躍を描く。

 僕は、「黒衣の女」や「姫」の頃の、劇画タッチで描かれる、美少女の絵が大好きでしたね。セクシーでワイルドでミステリアスで、魅力抜群でした。抜群のプロポーションで肉感的に描かれる、セクシーな危険味いっぱいな美女たち。

 「」の掲載誌は双葉社の青年コミック誌「別冊アクション」で、連載期間は1975年頃から、ちょっとはっきりしなくて申し訳ないんですが、77年頃まで連載が続いています。コミックス単行本は、双葉社のアクションコミックスで全4巻、75年から77年頃に発刊されてますね。アクションコミックス「」の第1巻の初版発行は1975年8月になってますね。第2巻初版発行が76年7月、第3巻が76年12月。第4巻の発行がいつなのか、ちょっとはっきりしないのですが、77年内であることは間違いないでしょう。アクションコミックス「」は、初版からわずか一年くらい経つ間で、何と三十数版と重版を重ねて発行されているようですから、当時は相当人気の高かったコミックだったんですね。かくいうワタシもその一人で、重版の何版目か解りませんが、当時全4巻買って持ってました。

 1967年7月に双葉社の青年誌「週刊漫画アクション」が創刊され、姉妹誌として68年に隔週刊(月二回刊)誌「別冊漫画アクション」が創刊される。「別冊漫画アクション」は後に「別冊アクション」に改名されるのですが、これがいつ頃だったのか、僕にはちょっとよく解りません。僕が「別冊アクション」を毎号読んでいたときには既に、誌名は「別冊アクション」だったと思います。川崎三枝子先生の「」が「別冊アクション」に連載されていたのは、1975年~77年頃ですから、僕は雑誌連載リアルタイムでは「姫」を読んでないかも知れません。アクションコミックス全4巻を持っていたのは印象深く覚えているのですが、雑誌掲載を読んだ記憶はないですからね。僕が青年コミック誌を日常の趣味のように何誌も読んでいたのは、19歳の終わり頃か20歳初め頃から、二十代いっぱいですからね。記憶してないけど、「姫」終盤をギリギリ雑誌掲載で読んでるかな(?)。二十代の僕は、少年誌は全く購読しなかったけど、青年誌は「ビッグコミック·オリジナル」「週刊漫画アクション」「別冊アクション」「プレイコミック」は、毎号欠かさず読んでたし、80年から創刊された「ビッグコミック·スピリッツ」も毎号必ず読んでたし、「ヤングコミック」も毎号は購読してはいないけど、時々は読んでいた。また漫画アクションの姉妹誌として途中から刊行されてた、「スーパーアクション」とか「アクションヒーロー」も創刊から86年までは、二、三年間くらいだけど毎号購読してました。この二誌は月刊誌ですけどね。

 あ、済みません、「別冊漫画アクション」から誌名が「別冊アクション」に変わった時期が解りました。1983年です。ということは、僕が「別冊漫画アクション」を読み始めたのは1976年~77年頃からですから、「別冊漫画アクション」時も「別冊アクション」時も愛読してますね。ちなみに月刊誌「アクションヒーロー」の創刊は1981年、月刊「スーパーアクション」の創刊は83年になってますね。別冊漫画アクション→別冊アクションという青年コミック誌は、「別冊アクション」が一応、86年で休刊になってるんですね。後継誌が誌名「アクションキャラクター」になってるけど、僕は「アクションキャラクター」を読んだ記憶がありません。「別冊アクション」も85年86年くらいにはもう読んでいなかったのカモ。「別冊アクション」は86年には読んでないですね。僕は86年10月頃に東京から生まれ育った故郷に帰って来るんですが、ここから数年は毎号読んでいたコミック雑誌は、「ビッグコミック·スピリッツ」と「ビッグコミック·オリジナル」だけですね。「スピリッツ」は毎号欠かさず購読してたけど、「オリジナル」の方は毎号読んでたかどうかは自信がない。30代は漫画は、僕はコミックス単行本で読むのが主体でしたしね。

 川崎三枝子先生の「黒衣の女」「姫」が連載されていた時期の誌名は、「別冊アクション」でなく「別冊漫画アクション」です。

 さいとうたかを、辰巳ヨシヒロと並ぶ、貸本劇画のレジェンド、佐藤まさあきの元で貸本時代からアシスタントをしていた川崎三枝子氏は、佐藤プロ在籍のまま、雑誌界に移って以降も活躍を続ける、師·佐藤まさあきの作品の、主に女性キャラクターを担当して、漫画業に専心してましたが、70年代に入って、川崎三枝子ソロ作品も雑誌で発表し始める。貸本時代も佐藤プロからソロで、少女漫画を発表していましたが短編作品が多かった。川崎三枝子先生は1974年「別冊漫画アクション」誌上で、初の連載作品を描く。原作付きで、原作·滝沢解に寄る「黒衣の女」です。74年当時はまだ、僕は青年漫画誌を読んでないので、「黒衣の女」は雑誌掲載リアルタイムでは読んでませんが、アクションコミックス全2巻で読んでます。「」と同じ頃にコミックス単行本を購読したんでしょうね。読んだのは随分昔のことで、お話の内容は全く覚えてませんが、滝沢解·原作のストーリーなので「姫」同様、成人コミックのセクシー·エロ描写とハードアクション満載の、ヴァイオレンスコミックでしょうね。多分、サスペンス風味の。別冊漫画アクション連載は、「黒衣の女」終了後即、引き続き同じ原作·作画コンビで、「」が始まったんでしょうね。

 60年代後半頃ですが、僕が、佐藤まさあき先生の代表作の一つ、「日本拳銃無宿-影男シリーズ」を読んでいたとき、ヒロインなど女性の美女の登場人物の絵柄が、佐藤まさあき氏のタッチと全く違うので、ちょっと違和感があったのですが、どちらかというと女性キャラクター描写が苦手な佐藤まさあき氏が、登場人物の美女を当時のアシスタントに描かせていた、その女性キャラクター担当が、川崎三枝子氏や松森正氏だったんですね。川崎先生も松森先生も描く美女は、非常に魅惑的な美人を描いてのける。僕は川崎三枝子氏の美女も好きですが、松森正氏の描く美少女も大好きでした。

 「」原作担当の滝沢解氏作品で、僕が最初に読んだ作品は、週刊少年サンデーの短期集中連載の、リアル味の青春劇画で、芳谷圭児氏が作画担当の「高校さすらい派」です。この作品は、滝沢解氏原作のものでも中編ながら名作であり、有名な作品で、松竹で映画化され70年暮公開されました。劇画「高校さすらい派」の初出は、1970年夏季の週刊少年サンデーに7週連続で掲載されました。僕は雑誌リアルタイムで読んでます。あと、僕の印象に残る滝沢解氏原作の劇画というと、成人コミックの「女犯坊」ですね。「女犯坊」は作画担当がふくしま政美氏で、成人コミック誌「漫画エロトピア」に1974年から76年まで連載されて、ある種、話題になり、また、青年劇画ファンには人気も高かった、エロ味満載の、痛快アクションコミックでした。「女犯坊」もヴァイオレンスコミックと呼んだ方が良いかな。

 滝沢解氏は、70年代から80年代前半の、主に青年コミック誌の劇画原作で活躍されました。「黒衣の女」「」や「女犯坊」以外にも、暴力とエロを前面に押し出した作風で、数々の青年·成人向け劇画のストーリー制作の仕事をこなされていました。滝沢解氏の原作作品は圧倒的に青年コミック誌で見受けましたが、時折、少年誌でも仕事をされてましたね。滝沢解氏の作風は一番先に目に着くのが、エロを含むハード·ヴァイオレンスという感じで、主体は暴力とエロなのですが、時にサスペンス風味があり、また僕が二十代、三十代初め頃に読んでた滝沢解·原作の劇画作品では、僕が感じたのは、エロがグロさを伴って描かれ、作風がエグいというか、エログロ味が強かったように思いますね。僕の個人的な感想になるんですが、作風のエログロ感が、ゲテモノ的というと言い過ぎになるけど、何ていうか、気色悪さを感じさせるような、ちょっとそういうダーク味が覆っているような、何か、そういう気持ち悪さを含むようなエログロ感があったような気がする。ちょっと、僕のこの感想は解りにくいでしょうが、何か、こう言うのは悪いんだけど、嘔吐感にも似たような、そういう毒、かな。若者を主人公に描いても、爽やかさとは程遠い、物語を覆っている毒、みたいな。エロ味たっぷりのハード·ヴァイオレンス劇画なんだけど、何か気持ち悪さがあるような作風かな。氏と、氏の関係者及びファンだった方々、ごめんなさい。あくまで僕の個人的な印象です。

 僕の印象としては何か、テレビや映画の脚本が主体でありながら、70年代、漫画原作の仕事も多かった佐々木守さんと、かなり作風が違うんですけど、ちょっと印象的に重なるところがあるんですよね。漫画原作で同時代に活躍されたストーリー制作のプロとしてかな。僕は長らく「高校さすらい派」の原作は、佐々木守氏だと勘違いしてたし。でも途中から、滝沢解さんの方は、グロ味の強いエロ満載のヴァイオレンス劇画の原作主体になったし、佐々木守氏の作風は、60年代70年代の反権力味を含んだ、思想的にやや左派傾向のストーリーで流れる、青春劇が多かったように思うし。明らかに作風は違ってましたけどね。僕の個人的な意見ですけど、滝沢解の描くドラマには、ヴァイオレンス·アクション劇画の中にも、何か人間の醜悪さがどよんと横たわっていたような、何か、グロ味を感じてました。でも、滝沢解氏は、70年代を通してと80年代、コミック界の売れっ子の原作者だったから、作品人気は高かった訳ですけど。

 川崎三枝子先生は「黒衣の女」「」の後も、青年劇画ジャンルで活躍を続け、その後はレディースコミック·ジャンルでも続々と作品を描いて行き、70年代デビュー以降、90年代2000年代と、青年コミックとレディコミで数多の作品を発表し続けていますね。本当に作品の数は多く、一定のファンを維持しています。青年劇画もレディコミも、原作付きもオリジナルストーリーもこなします。70年代80年代頃の劇画の頃と、90年代以降のレディースコミックの画風は変わったかな。やっぱりレディコミは、女性読者相手の作風·画風があるんでしょうね。僕自身は、90年代以降のレディコミの絵柄よりも、昔の「姫」の当時の劇画タッチの絵柄の方が好きですけど。

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