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チャットGPTってどうよ、その2

2023年05月01日 | ニュース・コメント

  連日チャットGPTが大きく報道されています。使うか使わないか、制限はすべきか否かの議論が多いように思われますが、利用価値ありと考えれば使えばよいし、なしと考えるなら使わなければよいと思います。ただし結論は使ってみてからにしましょう。

 

  今回は私のチャットGPT議論の2回目です。1回目は簡単に「林敬一」を例にとりチャットGPTが使えるか否かを見てみました。その結論は「事実誤認が多すぎて、使い物にならない」と私の考えを示しました。2回目は日銀政策を例に、専門的な議論に使える否かを見ていきます。

 先月植田新総裁が就任しましたが、就任早々「25年に及ぶ金融緩和のレビューを行う」ことを表明しました。効果と副作用を含めたレビューとのこと、学者らしい発想だし、今後の日本のためには是非やるべきことだと思います。

  そこで今回はチャットGPTを使っていち早くレ25年のビューをさせてみようと思います。私が作った質問への回答を見てみましょう。時折おかしな解説をしている部分には、私が矢印(←)でコメントを挿入しています。

 

質問;日本の大規模金融緩和の25年間のレビューをしてください。経済、金融、財政のこれまでの状況と副作用に関してもおねがいします。

回答;1990年代後半から、日本経済は長期にわたる不況期に突入しました。この時期、日本政府は大規模な金融緩和政策を導入しました。ここでは、その25年間のレビューを行います。

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本政府は、低金利政策を導入し、銀行が貸し出しを増やすように奨励しました。これにより、企業や個人が容易に融資を受けられるようになり、経済が刺激されました。しかし、金利が低すぎるため、銀行の収益性は低下し、不良債権が増加しました。←「不良債権は低金利のせいではなく、それに先立つ80年代のパブルが90年代初めに大崩壊したためでしょう。また通常、不良債権は金利が低下したから発生するのではなく、上昇すると増加します。ちょうど最近のシリコンバレーバンクなどのように。」

 2000年代半ば以降、日本政府は、金融政策の強化を図り、量的金融緩和政策を導入しました。これにより、銀行が保有している国債や社債などの資産を購入し、市場に資金を供給しました。これは、経済を刺激し、デフレーション圧力を和らげることができました。また、この政策により、日本円が安くなり、輸出産業が好調になりました。←「デフレ圧力を和らげることはできなかったでしょう!だからその後10年代になってクロちゃんがバズーカを撃ったのだと思います。」

 しかし、この政策には副作用もありました。日本の公的債務は膨大なものになり、政府の財政状況は悪化しました。また、低金利政策により、銀行や企業が投資に向かいすぎたため、投機的なバブル経済を招きました。←「2000年代半ば以降に投機的バブル経済?そんな話は聞いたことがありません。」

 そして、2010年代には、アベノミクスと呼ばれる政策が導入され、インフレ目標を掲げ、金融政策をさらに拡大しました。これにより、株価は急騰しましたが、経済的な格差が拡大することにもつながりました。

現在、日本政府は、デフレーション圧力を解消し、経済成長を促進するため、引き続き金融緩和政策を続けています。しかし、これには再び副作用が生じる可能性があります。

 

では次。

質問;大規模緩和の副作用で公的債務が膨大になり、政府の財政状況が悪化するとその結末はどうなるのでしょうか?

回答;公的債務が膨大になり、政府の財政状況が悪化すると、以下のような影響が生じる可能性があります。

  1. 財政赤字が増加する:政府の支出が増加し、税収が増えない場合、財政赤字が拡大することになります。このため、国債発行量が増加し、公的債務が膨大化します。
  2. 利払い負担が増加する:公的債務が増えると、政府は国債利払いのために利息を支払わなければなりません。このため、利払い負担が増加し、国債の利息費用が増え、財政状況が悪化する可能性があります。
  3. 税金の増税や支出削減が必要になる:公的債務が膨大になると、将来的に返済するために、税収増や支出削減が必要になる可能性があります。これにより、国民の負担が増え、経済的な影響が生じる可能性があります。
  4. 債務不履行リスクが高まる:公的債務が膨大になると、将来の返済リスクが高まります。政府が債務不履行すると、国債の信用が落ち、投資家からの信頼が低下することになります。←「いや、債務不履行したら、投資家の信頼低下では済みません。瞬間的に国中の銀行は取り付け騒ぎで破綻し、金融危機が発生、株価も暴落、円も暴落でしょう。それが世界に波及する恐れさえあります」

 以上のような影響が生じる可能性があるため、政府は公的債務を抑制するために、適切な財政政策を実施する必要があります。具体的には、支出の抑制や税収増加策の実施などが挙げられます。また、金融政策についても、公的債務の膨張を抑制するために、適切な金融政策を導入することが求められます。

 

では次。

質問;公的債務の膨張を抑制するために導入されるべき適切な金融政策とはどのようなものか?

 公的債務の膨張を抑制するために導入されるべき適切な金融政策としては、以下のようなものが考えられます。

  1. 利上げ政策の導入:公的債務が膨張すると、インフレーションリスクが高まります。このため、中央銀行は適切なタイミングで利上げ政策を実施することで、インフレーションを抑制することが求められます。利上げにより国債の利回りが上昇し、国債の需要が抑制されるため公的債務の膨張を抑制することができます。←「えーーっ。金利が上昇したらその支払いのため、債務はますます増えるでしょ。」
  2. 国債の購入制限の導入:中央銀行は国債を購入することができますが、過度な購入は公的債務の膨張を招くことがあります。このため、国債の購入制限を導入することで、公的債務の膨張を抑制することができます。←「そんなことしたら、国債金利が上昇して、金融危機も財政破綻も起きると思うけど。」
  3. 資金誘導政策の導入:公的債務が膨張すると、長期的な経済成長を阻害することがあります。このため、中央銀行は資金誘導政策を導入し、投資や消費などに対して金利を引き下げることで、経済成長を促進することができます。この政策により、経済活動が活性化し、税収の増加や財政赤字の縮小につながることが期待されます。←「えっ、さっき1.で利上げ政策の導入って言ったくせに、今度は利下げ?支離滅裂。だいいちこれまでマイナス金利まで導入したのに、なにも成果出なかったけど?」
  4. 財政政策との連携:公的債務を抑制するためには、財政政策と金融政策の両面からの取り組みが必要です。中央銀行と政府は協力し、公的債務を抑制するために適切な政策を取ることが求められます。たとえば、財政赤字が拡大する場合は、政府が支出を抑制するとともに、中央銀行が利上げ政策を実施することで、公的債務の膨張を抑制することができます。←「支出の抑制?それができるくらいなら話は簡単。福祉政策などすべてヤメーになるけどいいの?」

では次。

質問;利上げ政策の導入は果たしていつ頃可能になるのか?

日本の金融政策は、現在も引き続き大規模な金融緩和政策が続いています。しかしながら、利上げ政策を導入するためには、インフレーション率が目標値である2%程度に持続的に達する必要があります。現在の日本のインフレーション率は比較的低く、2%に届く見込みは立っていません。

また、日銀はインフレーション率が目標値に達するまで、長期的な金利の安定化に向けた政策を実施することを表明しています。このため、日銀が利上げ政策を導入する可能性は、現在のところ限定的と考えられます。

ただし、インフレーション率が持続的に目標値に達しない場合でも、将来的には利上げ政策を導入する可能性があります。具体的な時期やタイミングは、経済・金融情勢の変化や国内外の各種指標を踏まえながら日銀が判断することになります。←「利上げはいつ頃?という質問には全然回答していませんけど?」

 

 以上、チャットGPTとの会話でした。

 

  最初の質問、25年のレビューの中でも90年代から2000年代の初めにかけて低金利による不良債権の増加があったとか、2000年代半ば以降にバブルが発生したというおかしな回答がありました。もし学生がこんな論文を提出したら、事実誤認で先生からチャットGPTの盗用で笑われるだけです。卒論で書いたら、落第間違いなし(笑)

 

 ここまでのざっくりとした印象を書きますと、

「一般的に言われている歴史認識程度であればおよその回答はできそうですが、事がちょっと複雑になると事実誤認や矛盾した議論が出てきて、とても使いものにはなりません」。

 前回の(その1)でも単純な検索機能が全くダメで使い物にならず、その2でも複雑なことには使えないことがわかりました。「AI君、もっと勉強してくださいね!」それがここまでの結論です。

 

 しかし単純な作業には使えそうなので、人間がバカバカしくてやってられないような単純作業や、ラブレターくらいであれば使えそうです(笑)。

 地方自治体ではすでに使ってみることを決めた横須賀市のようなところもあります。一方鳥取市のように「議会の答弁資料作成や予算編成、政策策定など、県の意思決定に関わる業務での使用を禁止すると発表し、それ以外の業務については、検討のうえガイドラインを作成する。」とのこと。鳥取市あたりが私も妥当な判断だと思います。

 

コメント (2)
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