新シリーズの開始とともに、みなさんには「今後、時々の経済・金融関係のニュースにコメントします」と申し上げていました。ここまで何もせずに1か月以上が過ぎてしまいましたが、はじめてのニュース・コメントを記事にします。
9月6日、ECBは無制限の国債買入れを決めました。このことをどうとらえるべきか、私の考え方をお知らせします。
私は6月くらいにギリシャの選挙に際して、「ギリシャ国民はユーロ離脱の選択などしないし、ユーロ危機が大恐慌を誘発したりしない」と申し上げていました。今回のECBの決定は、それに最後のダメを押すものだと思っています。もちろんドイツの裁判などの不確定要素はあっても、ダメ押しに決定打になるほどのインパクトはないでしょう。
何故そうした予想を立てているのか、理由を説明します。
みなさんもご存知のように、私は日本国債については超悲観的にみています。しかし、著書でも「日本国債は破綻はしないし、させられない」と書いています。その一番の理由は、「日銀が無制限に国債を買入れるから」としています。ユーロ各国の国債も同じで、ECBになるのかその他の機関になるのかはわかりませんが、大きな国の国債は破綻など絶対にさせられないのです。
国債の破綻は資産に国債を組み入れすぎている銀行がすべて破綻に見舞われので、絶対にできません。すべての銀行の破綻を処理するより、国債の破綻を防ぐ方がたやすいのです。日本の場合も同じです。
これは米国債も同じで、著書では「もしアメリカが先に破綻したら」ということを書かされたのですが、米国債も同じ理由で破綻は絶対にありません。破綻を選択するのは、これまでもそうしたことを繰り返すような国々だけです。
ハイパーインフレか金融恐慌か、恐怖の選択ということにはなりますが、先進諸国では、経済活動全体を止めてしまう金融恐慌は避けざるをえないのです。
さて今回の決定だけでユーロ問題は決着はしないし、これからもぶり返すことはあるでしょう。しかし決定的大破綻はなんとしても避ける政策しか選択できないことをみなさんも是非頭に入れておいてください。
それが今後のみなさんの投資の選択に際しても、よいヒントになると思われます。
今後みなさんから、「これについてコメントしろ」ということがあれば遠慮なくリクエストください。できるかぎりお答えしたいと思います。