ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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為替と金利、どちらが勝つか

2011年03月25日 | 資産運用 
さて、今回は前回お約束したR氏の米国債投資の検証です。

R氏;65歳でリタイア
投資金額;5,000万円
対象;米国債30年物、金利6.5%
投資時期;97年
円ドルレート;105円
当初の毎年の金利収入;5千万円X6.5%=325万円
 (税金が引かれますが、簡便化のため省略)

2011年3月時点
円ドルレート;82円とします
為替での減少率;82÷105=78%、22%減っています
現時点の金利収入;325万円X78%=253万円

毎月になおせば、依然として20万円以上の収入をキープしています。
しかもこの債券は今後16年間、このリターンを確実に生み続けます。

この間の年間平均リターンは単純計算で

(325万円+253万円)÷2=289万円

とまー、年金収入の300万円の2倍近くは保っていました。

「じゃ、今後はどうなる?」

日本政府をはじめ、G8が協力して為替に介入してくれるおかげで(笑)、円高の進展具合は遅くなりそうです。

この計算は、あくまで金利部分を97年と11年で比較しただけですが、本当の投資リターンの比較は、日本国債の元利合計と米国債の元利合計の比較になります。

次回はちょっと複雑ですが、その比較をやってみましょう。
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ストレスフリーの資産運用

2011年03月23日 | 資産運用 
みなさんが投資する場合、いつストレスを感じますか?

「もちろん投資したとたんだよ」

そうですね、何に投資してもすぐ翌日からはたしてどうなっているか、はらはらさせられますよね。株や為替にからんだ投資であれば毎日、いやもしかすると毎時、いや毎分、はらはらドキドキ。そして今回のような大地震があれば、

「キャー、やめてー」となるのがおちです。


リタイア世代にそんな投資は決して向いていません。

じゃ、どうしたらよいのか。
これからそれをじっくりと伝授しましょう。

私が現役の投資銀行にいた時の実話からスタートします。時は1997年、日本の名だたる金融機関がバタバタと倒れている最中です。私の顧客だったある上場企業の財務部長さんから、

「今度65歳で定年なんだけど、いったい退職金をどうしたらいいのか、不安でしょうがないよ。何かいい知恵はないかな?」。

私のアドバイスはこのリタイアされる方、仮にR氏としましょう、R氏の相談からスタートしました。その方はすでに持ち家があり、厚生年金が毎月20数万円受取れ、しかも退職金は1億円にならんとする金額でした。私がまず確認したのは、

林;この先、資産運用でリスクを取り、切った張ったをしますか?

R氏;いや、もう財務でさんざんやってきたし、財テクははっきり言って失敗ばかり。自分の財産でリスクなんか絶対に取りたくはないな。

林;じゃ、キャピタルゲイン(元本の増加)を狙わずに、インカムゲイン(収入を得る)でいきましょう。しかもリスクフリーの国債で。(一般に先進国の国債はリスクがないと言われています。誰も信じないけど(笑))

R氏;日本国債か?金利は少ないし、日本もどうなるかわからないし、ほんとにリスクフリーかな?

林;いや、日本国債はだめです。めいっぱいの30年物で2.5%なんて、金利とリスクが見合っていません。米国債なら30年物で6.5%です。金利とリスクが見合っています。

R氏;えー、だって為替でやられるだろ。

林;長期保有では為替に負けませんよ。だいいち、元本なんか絶対安全で減りさえしなければ、忘れたっていいでしょう。今から20年間くらいしっかり金利をもらえれば。償還が来る30年後、95歳で元本が返ってきても使い切れないでしょう。

R氏;そう言われればそうだな。大事なのは毎年きちんとキャッシュフロー収入があることだな。この先どうなるか不安だから、元本はなかなか使えないもんな。

林;そうですよ。償還まできたら元本は奥さんやお子さんの遺産に残されればいいんですよ。そのかわり金利のキャッスフロー収入は厚生年金と合わせて、全部使い切って楽しめばいいじゃないですか。毎月の確定収入はきっと厚生年金の倍以上になりますよ。5千万円投資すれば、金利が6.5%ってことは今の為替105円で325万円ですよ。倍以上ですよね。

R氏;ほんとだ。リタイアして倍の収入があれば確かにエンジョイできるな。でも為替が円高になったらそれも減るよな。

林;そうですね、それは確かに減ります。でも325万円が2-3割減ってもたいしたことないでしょう。その間日本に対する不安感を何も感じないで済むんだから。逆に円安に行ったら丸儲けだし。
 それに金利差の4%の威力はすごいですよ。単純に10年で40円分ありますからね。10年後に円ドルが60円台でもまだ負けないってことですよ。

R氏;そうか、実際に計算すると確かに金利差ってすごいな。


さてみなさん、ここまでこのお話をご覧になってどうですか。
ぜひ感想を聞かせてください。

次回は、R氏の結果を現時点で評価してみましょう。


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ありえない事に備える、資産運用

2011年03月22日 | 資産運用 
 東北関東に起こった大震災、被災された方には心よりお見舞い申し上げます。
最近の世界はいままで見聞きしたことのないような天変地異がたびたび起こっています。09年の夏の暑さで突然泥炭が燃え出したロシア、同時期にゲリラ豪雨で苦しむ洪水のひどい中国・パキスタン、アメリカでのハリケーンの巨大化、そして今回の日本の大地震など、いままでの備えでは対処不能なことが頻繁に起こっています。
 実は金融の世界でも、これまでに起きたこととは異質な、もしくは巨大化した突然の変化に備える必要性が叫ばれています。08年前後に始ったアメリカのサブプライム・ローン破綻の教訓から世界の最先端の資産運用はそうしたことに備える戦略を取り始めています。
 ブラックスワン戦略と呼ばれています。予測不能な事態への備えや対処戦略を、エピソードを交えながら時間をかけてじっくりと解説しようと思っています。

ありえないことに備える!

・AAA格付けの債券が突然デフォルト(債務不履行)を起こす。(AAAのサブプライム・ローンの証券化商品)

・日本国債が暴落する。

こうしたことへの対処は、今後ご自分の資産を守る上で実に大切です。

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