トランプがいよいよ断末魔に入ってきました。
ご存知のようにCNNの支持率調査でヒラリー52対トランプ43と9ポイントの差がつきました。私が予想した「次第に差がつく」よりちょっと早まっています。今回は以下の暴言事件からスタートしました。
両党の大会を終えて、トランプの暴言を巡りアメリカで大きな話題になっていることがあります。民主党大会で演壇に立った殉職したイスラム系アメリカ兵士の両親の演説に関して、トランプがまたしても人種差別的、かつ殉職した兵士への侮辱的な発言をしたのです。
それに対して民主党からはヒラリーが噛みつき、共和党からも党内の多くの有力者がトランプを非難しています。トランプのランニングメートである副大統領候補からも、「これは共和党としての意見ではない」と言い訳をせざるを得ないところに追い込まれました。そしてそれが支持率を変化させるほどのこととして、メディアで大きく取り上げられていて、彼の支持率が急激に落ちたのです。
これにあせったトランプは失言に失言を重ね、取り返しがつかないほどになりつつあります。そのなかでも一番ひどいのは、
『11月の本選挙は不正行為が行われるように仕組まれている』
というものです。
きっと負けたら大得意の「訴訟」をするための布石のつもりでしょうが、これも多方面から非難ごうごうです。そして今後のヒラリーとの一騎打ちのディベートについても、日程などから始まりいろいろいちゃもんをつけはじめています。
では党大会後の支持率の変化を詳しく見てみましょう。私が見ているサイトはBREXITでもよく引用された「Real Clear Politics」という調査会社のものです。この会社は2000年に作られた会社で、HPでは全世界の様々な機関の様々な世論調査を見ることができます。HPは
http://www.realclearpolitics.com/epolls/latest_polls/
トランプ対ヒラリーの支持率調査が各機関で行われるたびに、このサイトにある「Polls」の「General Election」欄でアップデートされます。General Electionとは、各党の予備選後の1対1の本選を指します。
その前に、このサイトは信用できるのかをチェックします。
サイトが自体が右寄りか左寄りか、はたまた中立か?それを判断するのに、アメリカには便利なサイトがあります。世の中のあらゆるニュースや機関、意見などを、クラウドコンピューティングを利用して左寄り右寄りを判断するAllSidesという面白いサイトで、HPは
AllSidesによるReal Clear Politicsの判定は「中立」です。ですので一定の信用を得ていると思われます。
ちなみに報道関係ではFOXは右寄り、ブルームバーグは若干右寄り、CNNは中立、NYタイムスは若干左寄りと判定されています。アメリカは統計の国でもあるため、数字ヲタクの私にはこうしたサイトはたまりません(笑)。
AllSidesにより中立であると判断されたReal Clear Politicsの最新版では、CNNの調査が示されていて、先ほど述べたように、ヒラリーが9ポイントと大きくリードしました。このサイトでは刻一刻と調査結果の推移が示されています。
党大会以前はほぼ互角になっていた支持率が、共和党大会後一時的にトランプが若干ですが優位にたちました。それが民主党大会でひっくり返り、数ポイントのヒラリーリードになり、最新では9ポイントに拡大したというのが推移です。
どうやら私が前回申し上げた「アメリカというのはスピーチの国です。一国の歴史をスピーチで変えうる国です。」というのが現実味を帯びてきたようです。
もう少し時間が経過してさらに最新の世論調査が出てくると、今回のトランプの暴言が反映され、ヒラリーがもっとリードするのではないかと私は思っています。
しかし一方で、この二人の候補者を支持するかしないかは、政策内容や実行力などではなく、ただ単に好きか嫌いかだけの人も多いようにも思えます。理由は、初めからあれだけ荒唐無稽なことを言っているトランプへの支持が、さほど落ちないからです。今後予定されている二人の直接のディベート対決などではっきり勝敗がついたとしても、そうした好悪で判断する人たちの支持率は目覚ましくは変化しないかもしれません。
それでも今回のトランプの暴言は、さすがにトランプ好きの人たちの一部をあきれさせたようです。そしてさらに注目すべきは、バーニー・サンダース支持者の変化です。彼らは党大会でもヒラリー支持には回らなかったのですが、最近の調査によるとバーニーの支持者でトランプに投票すると言っている人が、わずか3%に激減しています。党大会前までは4割近くいたのが、雪崩を打ったのです。これはヒラリーには最も有力なサポートです。
私はもちろんヒラリーが勝つと確信しています。理由は二つ。
その1.トランプのひどさに共和党員の良識派が反旗を翻し始めたこと
その2.まだ4分の1ほどいる「決めていない」という層が、今後論戦を経れば、まともな人間を支持するから
という期待からです。
ところで、アメリカの大統領選挙は各州でそれぞれ選挙人を選ぶ方式のため、今後は州別の見通しが大切になってきます。多くの州ではウィナー・テーク・オールという方式で、勝った方が州の選挙人の全部を取る方式のため、世論調査とは違う景色が生じる可能性が大いにあるのです。
そうした州別の調査とそれを集計した見通しを細かく発表しているのはNYタイムスですが、その見通しによる現在のヒラリー対トランプの勝敗確率は、70対30でヒラリーの勝と出ています。そしてNYタイムスのコメントは、
「ヒラリーが負ける確率はプロバスケットボールの選手がフリースローを外すより低い確率だ」
と言っています。いかにもアメリカらしい比喩です。ただしNYタイムスはちょっとだけ民主党寄りのバイアスがかかっています by AllSides(笑)。
以上
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