10月20日のNY市場では米国債10年物金利が一時5%に乗せ、終値でも4.9%となっています。それにつられてドル円も一時150円に乗せ、終値は149.90程度まで買われています。では、この水準で10年物米国債は買えるか否かを簡単にシミュレーションしてみましょう。
単純化のためにきりのいい数字を使います。「金利5%の米国債はドル円150円でも買いか」について投資した場合のブレークイーブン為替レートを計算します。この計算ですが、利付債を計算することはできません。なぜなら半年ごとにドル金利をもらう為替レートを半年ごとにすべて予想し、最後の償還時のドル円レートを計算することはとても不可能だからです。それにたいし、途中で金利をもらわずにその分を含めて償還時に一度にもらうのであれば、ブレークイーブンの計算が可能です。
利回り5%で1,000ドル分の10年物ゼロクーポン債(ストリップス債)をドル円レート150円で買うと想定します。必要金額は
1,000ドル X 150円 = 150,000円
5%で10年複利運用しますと、1,000ドルが1,500ドルではなく1,630ドルほどになります。その計算はネットで複利計算サイトを見つけると簡単にできます。それを買ったときに150,000円支払っていますので、
150,000円 ÷ 1,630ドル = 約92円
これがブレークイーブンのドル円レートです。
検算します。
償還額1,630ドル X ドル円92円 = 約15万円
ドル円レートが92円になっても元手の15万円は返ってくる勘定です。
はたして92円まで、あるいはそれ以下にドル円が低下するか。日本の経済財政事情から将来にわたり円金利は上げることが極めて難しいと想定されます。利上げをしたら財政破綻が待っているからです。その上貿易赤字は改善が見込めません。
貿易だけでなく資本の動きでも最近は米国債に買いが集まり、先日の投稿で書いたように株の投資家は日本株を売り、アメリカ株買いに集中している状況を考えると92円は非常に考えづらいレートです。いや、はっきり言って「100円を切る円高にはなりっこない」と私は思っています。
さらにいま国会の話題は「やってはいけない減税」論議に集中しています。自民党は税収額が史上最高になったからそれを国民に「還元する」という愚かなことを言っています。しかし財政収支そもそも赤字で累積赤字も最高額を毎年更新している中で、減税などありえない。EUに属していたら即刻破門です。
政府のやり方は、赤字は日銀が背負っていくから目をつぶっていて大丈夫。選挙に勝つための減税に議論を集中させ国民の目をごまかす。なんという姑息かつ無責任な政権でしょう。
それをやり続ければいつかは大破綻、あるいは先日私が投稿したように「衰弱死」が待っています。その時にドル円レートはいったいどこまで安くなるのでしょう。考えるだけでも恐ろしい。
まあ、そんなことが起らずとも、しっかりと金利の稼げるドルにしておくに越したことはない、それが結論です。
ご教授下さい。
センセーショナルな内容ですね。
しかし大きなニュースにはなっていません。私は全く知りませんでした。
検索してみると、たぶん以下のサイトから得た情報たど思います。違ったら教えてください。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-23/S2YGHMDWX2PS01#:~:
内容は簡単に言えば「日本がマイナス金利をやめると、米国債のボラティリティーが上がる」というものですが、数値やそのインパクトの経路は全く示されていません。ただのアンケート結果が示されているだけです。
現在日銀の政策金利はマイナスで、それが解除されてもせいぜいゼロでしょう。アメリカのように1年で数パーセント上げるような話はありえませんよね。
それで何がどう変化するのか、疑問です。
現在、1ドル106円の時に債券単価92.5の利回り2.85の社債ですがアップルと三菱UFJ1ドル140円利回り4.4%
アップルが27年三菱が5年物を保有してまして、米国債に近寄る共通点があるものと思われ投稿させていただきました。
安心しました。ありがとうございます。
>フローの収入が入ってくること自体、精神的にとても良いことだと感じています。ストレスフリーどころか、世界や社会とつながりが持てて、プラスになります。先生の本で、老後の生活に明るい展望が開けたことに感謝しています。
それは本当によかったですね。私の目指すストレスフリー生活を投資したとたんに実感されたわけですね。
著書でも私がアドバイスしたJさんが、株式投資の損失から大きなストレスを感じていたのが、米国債に投資したとたん利益も得ていないのにストレスフリーになったという話を書きました。著書を書くきっかけになったエピソードです。
みっちょんさんもまさにそれを実感されたのですね。
みっちょんさんに触発され、そうした実感を持たれた方の声を集約してみようと思い立ちました。
そこで「ストレスフリー生活の実現ストーリー」という文章を私が本文に投稿し、それを実現された皆さんがコメントできるようにしたいと思います。
そうした声が多く積み重なれば、きっと幸せな投資生活を送る会も結成できそうで、私のもっとも大きな目標達成になります。
是非みなさんのご協力をお願いします。
なお、豪ドル国債と英国債を現在はお勧めしません。
為替レートと金利を考え合わせると、両国とも今後は国力が怪しくなりますので。
早速楽天証券で口座を作り、米ドル建てストリップス債券25年2ヶ月 参考利回り4.31%を30000ドル分購入しようと考えています。
質問を3点よろしくお願い致します。
1、このストリップス債権の「参考利回り」とはどういうことでしょうか?25年後に最終的な利回りが4.31%を大きく下回ることも考えられるのでしょうか?
2、先生の著作とこの記事をもとに、現在のドル円レート150円でこの債券を30000ドル分購入した場合、25年後に1ドル55円なら元本保証、仮に1ドル100円だとしたら150万円の利益と計算しました。合っていますでしょうか?
3、楽天証券で購入予定ですが、もし楽天証券が25年位内に潰れてしまった場合、この債券はどうなるのでしょうか?
以上3点、大変お忙しいかと思いますがお答え頂けますと幸いです。
質問②の、25年後に1ドル100円と仮定したときの利益ですが、約360万円と計算しました。(先のコメントは単利計算の利益を間違えて書いてしまいました…。)
450万円(3万ドル)が約810万円になると計算しましたが、あまりに増えすぎて本当か、私の計算が間違っているのではないかとドキドキしています…。
白井さんは障害児をお持ちとのこと。大変な苦労をされていることと思います。
私と同世代の従妹も息子さんが小学校低学年で体育の授業中に脊髄を損傷、全身麻痺の障害を負ってしまいました。さらにご主人も50歳くらいで脳梗塞から半身不随となりました。
しかしその従妹は実に見事な人生を送っています。とにかくいつも前向きで笑顔を絶やさず、息子さんとご主人を介助しつづけています。悲観しているのを見たことがありません。
白井さんも安心安全な投資だけにして、投資ストレスから解放されることを祈ります。
ではご質問の件に回答いたします。
>1、このストリップス債権(←債券です)の「参考利回り」とはどういうことでしょうか?25年後に最終的な利回りが4.31%を大きく下回ることも考えられるのでしょうか?
参考と言うのは、外債サイトに売り物としてアップした時の利回りということです。
金利は毎日変化しますので、明日も明後日も変化する可能性があるということです。
実際に投資したら、その時点の利回りは償還まで変わりません。ご安心を。それが「安心の債券投資」です。
>2、先生の著作とこの記事をもとに、現在のドル円レート150円でこの債券を30000ドル分購入した場合、25年後に1ドル55円なら元本保証、仮に1ドル100円だとしたら150万円の利益と計算しました。合っていますでしょうか?
そして訂正分
>申し訳ありません…。
質問②の、25年後に1ドル100円と仮定したときの利益ですが、約360万円と計算しました。(先のコメントは単利計算の利益を間違えて書いてしまいました…。)
450万円(3万ドル)が約810万円になると計算しましたが、あまりに増えすぎて本当か、私の計算が間違っているのではないかとドキドキしています…。
白井さんの書かれていることは若干ことを複雑にしていますので、簡単にして考えましょう。
そのためまず、100ドルを4.31%の利回りで25年複利運用したらいくらになるかを計算します。すると290ドルくらいになります。つまり3倍くらいです。
利益は 290-100=190ドル です。
(複利計算サイト;https://keisan.casio.jp/exec/system/1248923562)
1ドル150円で100ドルの債券を買うと、円では15,000円です。
これが最初の投資額です。
100ドルが償還時に290ドルになったということは、
15,000円÷290ドル=51.7円
これを逆算すると、償還時の
290ドル X 51.7円=約15,000円
投資時点と同額です。
1ドル51.7円がブレーク・イーブンの為替レートです。
そこまでドル高が進んでも損はしないということです。
簡単に言えば、ドル額が25年後に約3倍になるので、150円が3分の1の50円近くになっても損はしないということです。
3万ドル分投資をするのであれば、この計算を30倍すればいいだけですが、それはやってもやらなくてもブレーク・イーブンの51.7円は変わりません。
>3、楽天証券で購入予定ですが、もし楽天証券が25年位内に潰れてしまった場合、この債券はどうなるのでしょうか?
証券会社がつぶれても投資した資産は守られます。
バブル崩壊後、多くの証券会社がつぶれましたが、投資資産は別勘定のため、すべて守られました。
計算ありがとうございます。ものすごく腑に落ちました!
先生の貴重なお時間を頂けるなら、もう一点だけ質問させて頂ければありがたいです。
先生はこのブログでも何回もアメリカの債務上限問題について述べておられますが、今後、私が米国債を長期に保有している間も何回かこの問題が起こり得るかと思います。その度、初心者の私は「このまま米国債を保有していていいのか」とドキドキしてしまうと思います。その度、ドキドキなどせずに「はいはい、またか。どうせ上限が引き上げられるだけ」と軽く思っておけばよいでしょうか?米国債のデフォルトはありえないと考えておいてよいでしょうか?