コメント欄でお知らせしましたが、今の為替レートと金利レベルで、米国債は買いか否か、私の考えをお知らせします。
もちろん答えは「チャンス到来、買いだ」です。
ドル円レートは現在132.7円ですが、シミュレーションのため丸い数字にして133円としましょう。米国債の年限別イールドは、以下のとおりです。
2年 4.27%
5年 3.81%
10年 3.69%
20年 3.91%
30年 3.73%
参照;https://www.bloomberg.com/markets/rates-bonds/government-bonds/us
通常であれば2年から長い年限に順次高くなるのが順イールドですが、現在は1年以下が一番高く、2年、5年、10年と低くなる逆イールドです。しかし20年に向かってまた高くなって30年はまた低くなる変則的カーブを描いています。
これまで10年物を目安に「チャンス到来」とみなさんにお知らせしてきました。著書を書いたのが2011年で、その時の10年債イールドは3.12%でした。その後は低下を続けましたが、13年にいちど3%に乗せたタイミングで「チャンス到来」とお知らせし、その後低下。再び3%に乗った18年に再度「チャンス到来」と投稿していますので、今回は3回目です。もちろん先ごろは4%に乗っていましたので、その時に投資をされた方は多くいらしたと思います。
ただその時には円が安くなっていたため、以下のようにブレークイーブンを計算してお示ししました。10月21日の記事、「150円でも米国債は買いだ」を部分引用します。
引用
米国債1,000ドルを1ドル150円で買うと15万円です。すると(当時の金利4%の複利計算で)10年後に元本はほぼ1,500ドルになります。投資時点の円額は15万円でしたから、以下のような割り算をするとブレークイーブンを計算できます。
150,000円÷1,500ドル=100円
戻ってくる1,500ドルが15万円と等価になるのはドル円が100円のときです。つまり円レートが100円を切らなければ、損をすることはありません。
引用終わり
これに現在の数字を当てはめてみましょう。金利レベルは10年物を3.7%とし、為替は133円とします。3.7%の複利で1,000ドルを10年運用すると1,440ドル程度になります。
当初の投資金額は円建てだと
1,000ドル X 133円 =133,000円
ブレークイーブンの計算は、以下のようになります。
償還時 133,000円÷1,440ドル=92.36円
ドル円レートが100円を切り92円台でも損しません。ということはドル円が150円だった時の金利4%をかなり下回った3.7%でも、ブレークイーブンは92円台まで下がったのです。
10年後、もしドル円が現在と同じ133円だと、
1,440ドル X 133円 = 19万円 にもなります。1.44倍です。
この10年で3%台は3回目のチャンスで、しかも前回2回のレベルをかなり上回っています。なのでチャンスです。
では、10年物ではなくよりイールドの高い短期の債券はどうか。
例えば2年債は4.27%です。金利はかなり高いですが、投資金額133,000円に対しドル額は1,000ドルが複利で2年後に1,088ドルですので、ブレークイーブンは、
133,000円 ÷ 1,088ドル = 122円 と、かなり高いレベルです。
10年という長い期間と2年という短期の比較では、圧倒的に長期が有利かつ安全だということになります。長期投資の大切さを実感できる数字ですね。
それと短期では償還時に再投資する場合、金利レベルがどうなっているかという問題が残ります。
そのほか私のフェースブック上の相談窓口で直接相談を受けている方々からよくいただく質問は、「FRBは政策金利を来年以降まだ上げることが確定的ですが、長期金利の見通しはどうか」というものです。
金利や為替の将来見通しを的確に予想することは難しいのですが、今回に限ってみると以下のことは言えると思っています。
「来年の景気がスローダウンするのはかなり確実で、よほど早くボトムを打たない限り、来年中に長期債利回りが反転上昇し今回の高値を更新するのはむずかしいのではないでしょうか。」
以上、「米国債は今買い時だ」、でした。