ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

為替130円の今からでも米国債に投資すべきか

2022年04月20日 | 米国債への投資

  円安の勢いが止まりませんね。ドルへの転換を考えている方は、気が気ではないと思います。同時に米国債の金利上昇も止まりません。すでにドルを保有していて投資機会を探っている方であれば、そろそろ買い場と考えてもよいころです。

  では、ドルを保有していなくて円からの米国債投資を考えている方はどうするべきか、ちょっとした計算をしてヒントを差し上げたいと思います。

 

  米国債への投資チャンスについて、私が過去に「チャンス到来」と投稿したタイミングを簡単に振り返ります。18年には4月と10月の2回ありました。

  18年の4月に私はトランプ批判の投稿の副題で「米国債投資のチャンス到来」と書きました。その当時の10年物国債の金利と為替レートは以下のとおりでした。

 

10年物国債金利 2.8%  ドル円レート 108.7円

 

  そしてさらに同年10月に私は「米国債買いましたか」という問いかけをみなさんにしました。その時の数値は、

 

10年物国債金利 3.23% ドル円レート 113円

 

  その間に金利は上昇しましたが、ドル円レートも上昇してしまいました。両者を金利と為替レートの両にらみで比較しましょう。すると金利差は0.43%の上昇、為替差は4円程度の円安で、実は両者の収益性はほぼ同じです。4月に投資すると金利では0.43%不利ですが、為替では4円有利です。

  金利差0.4%を単純に10年累積させると4%になり、為替レート差が4円(およそ4%)なので、プラスマイナスで最終的にはほぼ同じ収益になるからです。

 

  為替と金利の関係は、原理的には米国債金利が上がるとドル高になりますので、4月から10月にかけ、およそこの原理に従って金利と為替は動いたことになります。

 

  では18年に3%台の金利で買いそびれた方は、現時点でどうすべきかです。

現在の金利と為替レートは、

10年物国債金利 2.9%  ドル円レート 129円程度です。

 

  金利はひところの1%台に比べてだいぶ上昇し3%に接近しましたが、為替レートはかなりドル高になってしまいました。

  そもそも米国債への投資を考える方の多くは、日本の行く末に大きな不安を抱いている方だと思われます。そういう方にとって現金で円を保有していること自体、大いにリスクを感じていることと思います。であれば、ドル円レートがいくらであろうがドルに転換して安心感を得るべきではないでしょうか。しかも金利の付かない円と違い、幸いドルは金利が付きます。

  日本に感じるリスクは今日明日のリスクではなく、長期のリスクです。例えば現時点のドル円レートを130円だと仮定します。それを10年物の米国債に1万ドル投資することを考えます。円貨では130万円の投資です。金利も切りのいい3%と仮定すると10年後に複利では、13,439ドルになります。

10年後為替レートが130円のままだと償還額は、

13,439ドル X 130円 = 1,747,070円 になり、にっこりと笑えることになります。

 

  一方、為替が10年後までに大きく円高に動いて、130円が100円になってしまったとしても、円換算では1,343,900円になっているので、大雑把には損得なしと考えられます。逆にもしさらなる円安に動いたら、ニッコリではなく密かに大笑いしましょう。

 

  そこで最初の設問、「いま円から米国債への投資を考えている方はどうすべきか」にもどりますと、「いまからでも遅くはない」というのが私のアドバイスになります。金利が3%くらいあるとドル円が100円になってしまったとしても損はないからです。

 

  しかも最も大切なことは、リスクの大きな円を捨て安心この上ないドルを保有しているという「安心感は確実に得ることができる」からです。

コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする