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レーム・ドナルドダック

2020年06月21日 | トランプのアメリカ

  アメリカ大統領がレームダック化するのは2期目の半分を過ぎてからと言われています。次がない大統領の言うことなど聞くもんか、というわけです。今回のドナルドダックは1期目の終わりを前にレームダック化が始まっています。

  いつも強気のトランプが、先週お気に入りのFOXニュースのインタビューで、「落選したらどうしますか」と聞かれ、「何もしないよ」と弱気の答えをしました。ただしこれはその前にインタビュアーから、「あなたは落選してもホワイトハウスに居座るのではないか」と聞かれて答えた言葉で、抵抗はしないよという意味で言っています。しかしいずれにしろ支持率が明らかに落ち始めた彼から出た初めての弱気の言葉です。

  本日グッドニュースが飛び込んできました。みなさんご存知のように、ボルトン回顧録の差し止め請求が連邦裁判所判事により棄却されました。政権が出版を差し止めたいということは、暴露内容の信憑性が高いという証拠で、出版がますます楽しみになりました。内容には、トランプが習近平に再選サポートを依頼したというだけでなく、各国首脳との会談でもトランプのあまりの無知さにあきれられたということなどが書かれているそうです。例えばイギリスのメイ首相に、「イギリスは核を保有しているのか」と聞いた、などです(笑)。

  ついでにトランプの姪がトランプ一族の脱税行為をはじめ、スキャンダラスな内幕を暴露する本を8月に出版するそうで、その頃にはきっと溺れた犬を棒で叩くことにもなりそうです。親族であっても彼にあきれ果て、アメリカのためにならないので落選させようという動機があるようです。

  ですが裏ではホワイトハウスは非常に陰湿なことを画策していました。本日のニュースですが、トランプ政権による違法な司法介入を捜査しているNY州の判事をバー司法長官が解任しようとし、なんと本人が何も知らない中で「彼はいい仕事をしたが、辞任した」と勝手に述べたのです。驚いた本人が「辞任などしていない」と早速否定しました。当然、民主党が判事をやめさせようとするホワイトハウスの違法な司法介入である、と追及を始めるようです。

 

  先日の記事、「オレ様独裁者たちのたそがれ」で述べたように、トランプの身内の離反はますます広がりを見せています。司法界では出版差し止め棄却だけでなく、不法移民の子供を強制送還させないようにするDACAという制度をトランプが、撤廃してやると表明しましたが、それも最高裁により棄却。またLGTBを差別するのは違法との判決を示されこれも敗北。いずれもトランプ自らが自分の考えに近いとして選んだ最高裁判事により否定されています。6月17日のウォールストリートジャーナル日本語版を引用します。

引用

米連邦最高裁判所が職場での性的少数者(LGBT)差別は違法との歴史的な判断を下したことで、キリスト教福音派の有権者のつなぎとめを重視するドナルド・トランプ大統領にとっては、再選の行方を巡り新たな不透明感が生じている。

 最高裁は6対3で、1964年制定の公民権法は、性的指向や性自認に基づき雇用主が労働者を差別することを禁じているとの判断を示した。保守派は今回の判断を激しく非難するとともに、その矛先をニール・ゴーサッチ判事に向けた。ゴーサッチ氏はトランプ氏が任命した保守派判事だ。

引用終わり

 

  そして記事にもあるように、前回の選挙でトランプ当選の原動力になったキリスト教福音派の多くの信者が、これまでのトランプによるあまりの蛮行に離反し始めたといわれています。特に福音派新聞の編集長すらトランプ不支持を表明しています。もっとも私に言わせれば、そんなことはトランプの過去の蛮行から分かり切っていたのに、何をいまさらなのです。

  そして昨日はトランプが暴挙ともいえる選挙運動をしました。オクラホマ州で大規模な支持者集会を開催。スタッフ6名がコロナに感染したことが判明しても強行しました。会場ではトランプも支持者もマスクをせず密集して着席し、ひんしゅくを買っています。感染を恐れている支持者も多かったため、満員にはほど遠い集会になっていました。そこで訴えたえたことはもちろん、「経済優先で、オレ様が勝つ」でした。

  アメリカの感染者数は経済活動を再開させた州でふたたび増加し始め、いつまた制限を発動するかわからない状況に至っている州が多くなっています。きっとコロナウイルスも、トランプ再選の邪魔をしてくれるに違いありません(笑)。

 

  アメリカをメチャクチャにし、世界もメチャクチャにした大統領がどんなレームダックになるか、じっくりと眺めることにしましょう。

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