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台風と千葉

2019年10月21日 | エッセイ

  ラグビー日本代表の試合は終わってしまいましたね。負けたのは残念ですが、なにかとてもすがすがしい気持ちです。予選リーグで全勝したんですから。それもスコットランドやアイルランドというラグビー強豪国を破ってのことです。わくわくするようなゲームを5試合も見せてくれて、ありがとう!

  せっかくラグビーの試合の見方を勉強したのですから、このあとも優勝戦まで試合を見続けることにします。

 

  さて巨大台風が過ぎ去って10日ちかくになるのに、ニュースやニュースショーでは依然として時間の半分近くが台風のことで占められています。私も台風以外のことを話題にしようと思うのですが、家族や友人と話をするたびに台風被害のことになりがちで、そこから抜け出ることができません。

  東京でも身近な多摩川の氾濫により、多くの昔話がよみがえってきています。先日の「岸辺のアルバム」もそうですが、例えばゴルフ仲間の友人の洪水エピソードもあります。友人はうちからさほど遠くない同じ区内に住んでいるのですが、彼の家は多摩川と野川の中州といってもよい場所にあります。たしか05年の野川の氾濫で水害にあっています。家の半地下部分にあったガレージで車が水没し、使えなくなりました。その時家はすれすれでしたが床下浸水で済んでいます。

  その彼がいまどうしているかといいますと、同じ場所にそのまま住み続け、ガレージも半地下のままで、車を置いています。「なんで?」と聞くと彼は、「今度台風が来たら、車を高台に移動するから大丈夫だよ」と言っていました。今回の台風の後にふたたび彼に聞いてみると、「車は移動しなかったよ。野川が大改修されて安全になったからね」と言っていました。

  確かにかなり大掛かりな改修工事で、完成まで数年かかっていました。それでも私ならその改修を信頼せずに、いち早く車も人間も避難していたと思います。なにせあれだけの台風だったのですから。多摩川が氾濫し、野川に逆流することもおおいにありえます。人間は自分自身の生き方や住かを変えるのはとても難しい動物なんでしょうね。

   都会人でもそうなんですから、土地に依存して農業を営んだり先祖の地を守り伝えながら住んでいる地方の人々にとっては、簡単に引っ越すことなど考えられないのだと、あらためて思いました。東日本大震災と津波を経験しても、相当な割合の方々がその地に住み続けています。

 

  今回の台風でもう一つとても心配だったのは応援旅行を含め今年2回旅行した千葉のことでした。ブルーシートだらけの家々があの台風に耐えられるとはとても思えないからです。19号台風の接近以来、千葉県のことはほとんど報道されなくなってしまい事情がわからなかったのですが、台風から数日たってやっと報道されるようになりました。やはり心配したとおりブルーシートが飛ばされ豪雨にさらされた家々が多く、2次的被害を受けているというものでした。弱り目にたたり目とはこのことです。

   何故私がこうも千葉にこだわるのか。それにはわけがあります。話せば長いことですが手短に。私は両親とも東京育ちで、そのまた親も東京のため田舎が一切ありません。それを不憫に思い、小学校時代の友人の親が、息子たちと一緒に私を田舎の千葉に毎年連れて行ってくれたのです。男ばかりの3人兄弟で、妹しかいなかった私はいつも3兄弟となかよく遊んでいました。彼らの母方の田舎は房総半島の突端の千倉にあって、お婆さんは農協の職員でした。夏休みや冬休みには1週間から2週間くらい大きな田舎家で過ごしました。毎日の暮らしは近くの海から始まります。早朝に磯でツブ貝を広い、魚を釣ります。それを朝ごはんのおかずにするのです。そして家に帰ると鳥小屋のモミわらの中からタマゴをさがし、家の畑からトマトやキュウリをもぎってきて食べます。

   お米や肉は買ったものですが、野菜と魚介類の大半は菜園や海で採れたものでした。食べるための物を採取するのは、虫取りや魚釣り同様、都会の子供にとって本当に楽しいことだったのです。しかも男の子4人はみんなそれぞれペットを飼っていました。友人たちのペットはカエルやトカゲ。私は30㎝ほどのカナヘビとメジロでした。ヘビはエサ取りが大変で、生きたハエやクモなどをつかみ取りして与える必要があります。その点、鳥のエサは簡単で、ミカンやカキなどの果物や穀類をあげれば済みます。メジロは地元の子供からもらったもので、彼らはトリモチで簡単に鳥を捕まえていましたが、我々都会の子はいくらやってもダメでした。

   千葉での田舎暮らしは、私にとっては貴重な田舎暮らしの経験であり、大切な思い出なのです。一日も早く千葉のみなさんの暮らしが元に戻ることを祈っています。

コメント (11)
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