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日光を見ずして結構と言うな

2018年09月13日 | 旅行

  先週、4年前についで生涯で4回目の日光見物をしてきました。ハイライトは改装なった東照宮の陽明門です。実は観光だけに行ったわけではなく、日本中のゴルフ仲間と年に一度のゴルフツアーを楽しみました。毎年場所を変えて6・70人が全国から集まり、ハンディなしのスクラッチ戦を楽しみます。今回は私の大好きなコース設計家、井上誠一設計の日光カンツリークラブです。男体山から流れ出る大谷川(ダイヤがわ)の河原を埋めて作られましたが、もちろん河川敷コースの風情は全くなく、立派な松の木に囲まれた風格ある林間コースです。

  何故プレミアム・コースなのかと言えば、ここでは男子の日本最高のトーナメントである日本オープン選手権を過去に開催し、2020年には日本プロゴルフ選手権が行われるというメジャートーナメント開催にふさわしいコースだからです。井上誠一のコースは日本に30数か所あるのですが、そのうち3分の1程度のコースがトーナメントコースに使われています。

  ところで、このコースの名前は「カントリークラブ」ではなく、「カンツリークラブ」と付けられています。カントリーとカンツリー、いったいこの差はなんなのでしょうか。

  ゴルフ場の名前をリスト化すると多くはカントリークラブなのですが、一定の法則をもってカンツリークラブという名前がつけられていることに気づきます。その法則とは、どうも戦後数年目くらいまでに作られた比較的古いコースはカンツリークラブ、その後はカントリークラブになっているのです。

  一般的に「名門」と呼ばれるクラブは古いコースが多いので、カンツリークラブが多いのです。例えば20年のオリンピックでゴルフ競技を開催する霞が関カンツリークラブ、霞が関と同様、入会条件が原則世襲になっている相模カンツリークラブ。関西では茨木カンツリークラブなどがそれにあたります。

  カンツリーという名前が名門の必要条件ではありません。古くとも「ゴルフクラブ」という名称も多くあるからで、同じく世襲でも霞が関の隣の東京クラブや関西の広野ゴルフクラブ、日本で多分一番敷居の高いゴルフ場である軽井沢ゴルフクラブなどがあります。むしろ名門の必要条件は入会が世襲限定であること、なのかもしれません。

  カンツリーの名前を色々調べてみると、どうやらカンツリーという表記は、ビルヂングと同類の表記らしいことがわかりました。

  丸ビルは丸の内ビルディングではなく、正式には丸の内ビルヂングです。私の入社当時のJALの本社は中央郵便局の並びの東京ビルヂングでした。いずれも三菱地所のビルです。

  調べてみると外来語の表記は文科省によってこうしなさいというガイドラインがあって、1952・3年までとその後は比較的大きくガイドラインが変わったようで、その時にビルヂングはビルディングになり、カンツリーはカントリーになったのではないかと思われます。確証はありませんが。さらにその後1991年と2015年にも表記のガイドラインは改定されたようです。

  話をもとに戻します。日光のことでした。4年前に訪れたとき、東照宮にあるあの有名な陽明門はすべて幕に覆われていて見ることができませんでした。平成の大修理の最中だったのです。13年から17年の初めにかけて修復工事が行われ、あの豪華絢爛な門が見事な姿を再び見せてくれました。

  その修理を請け負ったのは古美術や古い建築物の修理を専門とし、なんと寛永年間から300年以上も歴史の続く小西美術工芸社です。まあ、世界最古の会社と言われる金剛組の800年に比べれば半分以下ですが、それでも300年以上の歴史とはたいしたもんです。ウィキペディアから会社概要を引用します。

「株式会社 小西美術工藝社は、日本の東京都港区に本社を置く、社寺等の伝統建築や邸宅の設計や施工、国宝や重要文化財などの文化財の修繕と補修を業務とする企業。2016年時点で日本の文化財装飾に関わる4割の職人を抱える業界最大手企業である。」

  4割とはすごいシェアーですね。そして不思議なことにこの会社の現在の社長はデービッド・アトキンソンというオックスフォード出のイギリス人で、実は私のソロモンブラザーズ時代の同僚の一人です。

  彼は90年代の初め、ソロモンの東京オフィスで日本の金融業界のアナリストをしていました。その後ゴールドマンに移り、マネージング・ディレクターになってのちリタイアし、何故か茶の湯の道に入り、宗真の名を持っています。日本好きのイギリス人なのですが、数年前に彼に会ったとき、なんで小西工芸の社長になったのと聞くと、「軽井沢の別荘の隣に小西さんと言う会社のオーナーが住んでいて、会社の窮状を聞かされ助けることにした」と言っていました。要は偶然だよと言うのです。

  それでも彼の日本好きは筋金入りで、「観光立国日本論」など日本再生に関する著書をはじめ、日本政府観光局の特別顧問まで勤めていて、日本の観光ブームに大いに貢献しています。

  我々の仲間のゴルフの今年の優勝者は福岡在住のげんさんで、彼の職業はこれまた珍しい「宮大工」です。彼は昨年瀬戸内海ゴルフクラブで開催された時も優勝しているので、連続優勝です。しかし昨年の優勝スコアはパープレーの72ストローク。今年のスコアは80ストローク。井上誠一のコースの難しさがわかるというものです。瀬戸内海ゴルフクラブも男子プロのミズノオープンを毎年開催するトーナメントコースではあるのですが、難易度は格段の差があります。

  げんさんは日本中の社寺の由来や建築関係に非常に詳しくて、こうした時、いつもみんなの観光ガイド役を務めてくれます。その彼も小西美術工芸のことはよく知っていて、機会があったら社長に紹介してくれと言っていました。

  みなさんも是非新装開店の東照宮陽明門をご覧あれ!

以上、「日光を見ずして結構と言うな」でした。

コメント (21)
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