今回の解散については、自己保身解散、〇〇隠し解散、など様々な名前が付けられていますが、要は大義がないために論点がないというナンセンスな解散です。
私に言わせれば、今回の解散は「解散の是非を問う解散だ」(笑)です。テレビなどを見ていると、一番の論点は解散の是非だからです(爆)。
しかし私はおかげで溜飲を下げています。何故か。理由は「これで違憲行為連発首相の下での改憲がほぼなくなったからです」。どうみても与党連合あるいは改憲連合で3分の2は無理そうです。結局ミエミエの自己保身解散など、墓穴を掘るだけです。おかげで小池新党は求心力を大いに増し、もしかすると野党連合が成立するかもしれないところにきています。おもしろい選挙になりますね。注目しましょう。
話題はガラッと変わります。今回は友人の何人かからもらった質問、
「ビットコインって、どうよ?」
という問に、回答ではなく、私なりに疑問をぶつける形でコメントしたいと思います。私はビットコインを最初からかなり懐疑的にみていますので、どう懐疑的なのかを示すことにします。
私はフィンテックの専門家ではないし、「ブロックチェーンって何?」に的確な回答をできる専門家でもありません。なので、私のなりの見方しかできないのですが、私の発想法を理解していただけるチャンスだと思います。もしかすると間違ったことを言うかもしれません。でも一応、ビットコインのことをかなりの程度知っている友人に私の疑問をぶつけると、「うーん、回答に窮する」と言われ、的確な答えは出てきませんでした。従って全くの的外れではない、というくらいのことでお聞きください。
ビットコインというものが世の中に出回ってきたときに、いの一番に感じた疑問は以下の点です。
疑問その1.ビットコインよりもっといいものが出てきたら、価値がなくなるんじゃないの
疑問その2.銀行が自分の信用でビットコインBを始めたら、そっちがより安心だよね
疑問その3.銀行が信用できないなら、中央銀行の日銀がビットコインNを始めたらどうなの
疑問その4.それでも信用できないなら、世界銀行がビットコインWをはじめたらどうなの
疑問その5.価値が変動しないコインが出てきたらそっちがもっと支持されるんじゃないの
疑問その6.少なくとも特定の通貨価値とイコールのものが出てきたら、価格変動にわずらわされないで、実用性が増すんじゃないの。たとえば円連動のビットコインYとかドル連動のビットコインDとか
疑問その7.世界で共通の価値を実現させるんだったら、SDR連動ってのはどう
そして最近は、
疑問その8.世界各国がマネーロンダリングに悩みビットコインに規制をかけて流通禁止になったらどうなんの。トレードに消費税のような税をかけたら、一気にしぼんじゃうんじゃないの
専門家にこうしたことをぶつけると、きっと上に示した私のアイデアは、ビットコインの範疇じゃない。発行主体やしがらみがないことに意義があるんだ、などと反論されそうです。しかし私のこうした素朴な疑問に対して、的確な回答は用意できるのでしょうか。
私が言いたいのは、すでに1,000種類もあるということは、一部を除きほぼすべてが将来は無価値になるのに、何故売ったり買ったりする人間がいるのか。早いもん勝ちのババ抜きゲームに決まっているのに、何故大事なおカネを突っ込むのか。
私のかつての上司、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは2週間ほど前にこう言っています。「仮想通貨は詐欺であり、崩壊する!」。ロイター日本語版を引用します。上司と言っても、実は握手を1回しただけです(笑)。
引用
[ニューヨーク 9月12日 ロイター] - 米大手銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は12日、仮想通貨ビットコインは「詐欺であり、崩壊する」と語った。同氏の発言を受け、ビットコインBTC=BTSPは一時4%急落した。ダイモン氏は当地で開かれた投資家会議の席で「ビットコインは続いていかない。どこからともなく通貨を生み出せたり、それを購入する人が本当に賢いと思われているようなところでビジネスなど出来ない」と語った。さらにJPモルガンのトレーダーが暗号通貨を取引しているとしたら「即刻解雇する。その理由は二つで、第一に就業規則違反、第二に間抜けで、いずれも危険だからだ」とした。
引用終わり
彼の発言を極端で仮想通貨を歪曲しているという向きもあるようですが、世界でもっとも権威ある銀行の一つであるJPモルガン・チェースのCEOが言う事ですから、重みがあります。
彼がなんでソロモンにいた私のかつての上司なのか、ちょっと説明します。彼こそは金融界における世紀の風雲児なのです。
彼は大学在学中の80年代に、のちのシティーグループ総帥となったサンディー・ワイル氏の下で丁稚をしていました。シェアソンという準大手の証券会社です。その会社はその後ワイル氏の手腕によりM&Aを重ねリーマン・ブラザーズをも飲み込み、シェアソン・リーマンという大手証券の仲間入りをしました。それをAMEXが買い取りましたが、買われたほうのワイルがアメックスのCEOになります。その後ワイルは放逐されますが、丁稚のころからずっと一緒にいたダイモンも放逐され二人で失業。
二人で小さなクレジット会社を買い取り、その後はまた買収に買収を重ね、90年代後半にはスミスバーニーやソロモンブラザーズ、ついでに日興証券の法人部門を傘下に置き、最後はシティーと合併しました。と思ったらジョン・リードというシティーの顔であるCEOを追い出し、二人が支配者になっていました。まるで国盗り物語を地でいっています。
しかしダイモンは、今度はワイルに放逐されまた失業。その後バンクワンという地方銀行のCEOになったと思ったらまた買収を重ね、いつの間にかJPモルガン・チェースを手に入れてCEOにおさまったのが2004年、若干48歳の時です。2度の失業をものともせず、なんという波乱万丈な人生でしょう。彼は今まだ61歳ですが、世界で最も影響力のあるバンカーとして金融界に君臨しています。
そのダイモンが仮想通貨を「詐欺だ」と言っている重みは無視できません。もちろんフィンテックの何たるかも知り尽くした上での言葉です。
確かにブロックチェーンという新たなテクノロジーは、今後のフィンテックもその他のIT産業においても大きな影響力を持つに違いありません。
しかし私にはビットコインで代表される仮想通貨はただのバクチのネタくらいにしか見えません。絶対に手を出してはいけない。ついでに中国の影響が大きいものは、いつなんどき規制がかかってだめになるかわからないという別のリスクもあります。
最後に、私がよく言う「金は金の卵を産まない」、バフェット流では「100年経っても100gの金は100gだ」。これはそのままビットコインにも言えます。「ビットコインは永久に1銭のコインも産まない」。価値を生まないものは、投資には値しません。
以上、林流ビットコイン評価でした。