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ギリシャの国民投票について

2015年07月09日 | 米国債への投資

  本日2度目の記事です。多くの方の関心は中国に移り、ギリシャ問題はどうでもよくなっているかもしれませんが、私は投票結果に納得ができずに調べ、やっと納得の結論を得ましたのでそのお知らせです。

   前回私は、『ギリシャ悲劇は私の見通しとは半分反対のシナリオに向っていますね。ただただ驚くばかりです。銀行業務の部分封鎖や引き出し制限を受けても、全く懲りずに都合のよい自己主張を続ける国民とそれを主導する首相、先進国にこんな国があることを私は全く読めませんでした。今は笑う以外にありません(爆笑)』と記しました。

  私も不勉強でしたが、国民投票の投票用紙の内容は以下の様な内容で、国民がノー言うのはもっともな内容だったのです。。

まずは我々が目にした日本の日経ニュースの引用です。

「BBCによれば投票用紙にはギリシャ語で『欧州委員会や欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)が提出した緊縮合意案を受け入れるべきか』とだけ書かれていて、ノーとイエスの四角にチェックを入れるようになっている。合意案の内容すら書かれていない。」

引用終わり


  そこで私はBBCの英語版を調べてみました。すると「ノーと入れた場合に何が待っているのかは知らされていないので、ギリシャ人は誤解したまま投票するに違いない。ナンセンスな投票用紙だ」と書かれていました。

  投票用紙の出される前の世論調査で3分の2が「ユーロからの離脱はいやだ」と言った国民が、何故緊縮策もいやだと投票できたのか、これで私の疑問も解けました。

  本来であれば、以下のように何が待っているかを知らせた上で選択肢を示すべきです。

1. EU側の緊縮策を飲めばたいへんだけどユーロに留まれる

2. 緊縮策にノーといえば、ユーロ離脱の可能性が高くなる

さあ、どっちにしますか?


  私の見通しは「ユーロからの離脱なんかできっこない」でしたが、ギリシャ国民は「それはもちろんだけど、とりあえず緊縮はヤダ」に投票したつもりなのです。

  投票はやりなおす時間もないし、チプラスにそのつもりもないでしょう。EU加入時にEUを騙した政府は、今回も国民を騙したのです。

  以上、私の納得でした。

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中国株式の暴落について

2015年07月09日 | ニュース・コメント

   なんだかんださんから、ギリシャより中国が心配なので、中国問題をどうみているか教えてほしいとのコメントをいただきました。また追加で凍えるえさぎさんからも、中国の今後と日本を含む他国への影響はどうか、という質問をいただきましたので、以下私の見方を手短にお伝えします。

 まず一言で言えば、

「あわてなさんな」  です。

 

  中国株はそもそも成長率が鈍化しはじめている中で政府が秋に景気のテコ入れに動いたことだけをもって上昇に転じました。

   その後は単純明快なバクチに明け暮れする形のバブルです。春先から加速度がついたため世界のこころあるエコノミストは一様に懸念を表明し、それが現実になり崩壊したということだと思います。

   一部のエコノミストや報道などが慌てたりするのは、単なるお門違いです。冷静に考えてください。何百兆円もの時価総額が一気に失われたと言いますが、去年の今頃までそんなものは元々なかったのです。外人分を除けば、莫大な損失を出した人もいれば、その分儲かった人もいる。中国全体ではプラマイゼロです。なので、「あわてなさんな」なのです。

   どうもそうした全体像の把握ができない人が世の中をリードするので、おかしな論調が支配するのです。どうかこのブログをご覧の方は、こうした全体像の把握、そして長期で物事を見るということをしっかりとお勉強してください。


   ついでに言えば、今回の暴落に拍車を掛けたのが市場での取引を無理やり停止させ、その結果「流動性が枯渇してしまった」ことだと私は思っています。上場株式の半分以上もが取引を停止すればパニックは必定で、資本主義と金融市場の原理原則を理解していない中国ならではの稚拙なミスリードだったということです。

   もしこういう状況でも相場に手を出したい方は、Puffinさんのように、「暴落即買い出動」こそ基本動作だと思います。ドル買いもチャンスだと思います。

 とりあえずのコメントです。

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