3月27日の記事で私はトランプの支持率と不支持率が接近していると警告しました。よもや史上初の逆転かと心配したのですが、その後は差が広がり始めています。最接近は3月27日のトランプ支持47%、不支持49%、その差2ポイントでしたが、4月14日時点では支持45%、不支持51%でその差6ポイントに拡がり事なきを得ました。
ところが昨日トランプはコロナで苦しむ世界を、実弾で恐喝しました。WHOへの拠出金を払わないと宣言したのです。これまでも様々な恐喝をしまくっていますので、恐喝慣れしているとは言え、このタイミングでWHOを恐喝するのは絶対に許せません。これから世界はWHOを中心にコロナと本格的に戦わなくてはいけないタイミングなのに、資金という実弾不足になりかねません。
それに関する最新の時事通信記事を引用します。
【ワシントン時事】トランプ米大統領は14日、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルスへの対応の過ちを検証する間、同機関への資金拠出を停止するよう指示したと発表した。トランプ氏はホワイトハウスでの記者会見で「WHOは中国の誤った情報を押し付け、人との間で伝染しないし、(中国への)渡航禁止は必要ないと主張した」と指摘。「中国寄り」の姿勢が新型ウイルス感染拡大を招いたと訴えた。
トランプ氏は、WHOが最初に感染が拡大した中国に専門家を派遣した上で客観的に情勢を分析し、中国政府の情報開示に関して透明性の欠如を指摘していれば、「感染拡大を抑え込むことができ、犠牲者も非常に少なく済んだ」と強調した。
引用終わり
WHOが中国寄りであり、エチオピア人のテドロス理事長の発言と対応策に私も噛みついています。しかしWHOが最も資金を必要とするこのタイミングでのトランプの実弾による恐喝は最悪です。
世界で最も死者を出しているアメリカの誤りは、そもそもトランプの見当違いなコロナの危険性無視と楽観によるものであり、WHOの責任ではない。その責任転嫁が彼の支持率にどう影響するか、今後アメリカ人の資質が問われます。
ではこのタイミングで政敵であるジョー・バイデンは何をしているのか。
寝ぼけています(笑)。
彼のツイッターの今日の話題は、オバマ前大統領がバイデンを支持してくれたということ一色です。バイデンもオバマもタイミングを間違えています。世界中の話題がコロナに集中し、その中でありえない恐喝をしているトランプを非難すべき時に、喜んでいる場合じゃない。だからトランプから「寝ぼけたジョー」と言われるのです。
せっかくトランプの大失策を責めるタイミングでこれじゃ、先が思いやられます。その点、NY州のクオモ知事は「この国に王様はいない」とトランプを別の点で非難しています。今日のNHKニュースを見てみましょう。
引用
経済活動の再開についてトランプ大統領がみずからにすべての権限があると主張したのに対し、クオモ知事は「間違った発言だ。この国に王様はいない」と述べ知事として慎重に判断する考えを示しました。
ニューヨーク州では、14日の時点で、感染者が20万2208人、亡くなった人は1万834人に上っています。
また感染拡大を抑えるために制限している経済活動の再開についてトランプ大統領が13日、みずからにすべての権限があると主張したのに対しクオモ知事は「間違った発言だ。この国に王様はいない」と述べ、決定の権限は各州の知事にあると反論しました。
そして「経済活動の再開が早すぎると思わぬ影響が出る」として、知事として慎重に判断する考えを強調しました。
引用終わり
ではトランプと知事のどちらに本当の権限があるのか、BBCニュースにはっきりと記されているので、本日の記事を引用します。
「住民への具体的な行動制限は各州の知事が州ごとに、要請もしくは命令している。こうした知事の要請や命令に反して、大統領が行動制限を解除できるのかと記者に質問されると、トランプ氏は「合衆国の大統領には全面的な権限がある」、「最終的に決めるのは合衆国大統領だ」、「(州知事は)合衆国大統領の承認ガなければ何もできない」などと答えた。
合衆国憲法は、住民の安全と治安を維持する権限は州にあると規定している。連邦制のアメリカでは各州とその知事に幅広い独自権限が認められており、ワシントンの中央政府がすべてにおいて州政府の上位に立つわけではない。
引用終わり
常識と基本的知識に欠ける人間が王様と勘違いしているアメリカと言う国は、まことに不幸です。
ここにきて大いに評価を挙げている「クオモを大統領に」、という声が挙がっていますが、それは無理。遅すぎです。
私がNYで暮らしていた80年代後半は、彼の父親であるマリオ・クオモがNY州知事で、彼も民主党から大統領にという声が挙がっていたのですが、出ることはありませんでした。