このところのトランプは、「ゼレンスキー大統領を『違法な独裁者』だとか、『ロシアによる侵略戦争をウクライナが始めた』とか、あまりにもひどい大ウソが多いのですが、CNNも頭に来たのでしょう。トップニュースでウソチェックを配信しました。
以下は、CNNの英語版をChatGPTで日本語に翻訳しました。
ドナルド・トランプ大統領はウクライナについての嘘を連発している。
火曜日の記者団への発言と水曜日のソーシャルメディア投稿で、トランプ氏はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領やロシアのウクライナ侵攻について数々の虚偽の主張をした。その中には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が発してきた誤った主張と共鳴するものもあった。
ではトランプ氏の発言に対するファクトチェック内容です。
戦争を始めたのは誰か
火曜日の記者団への発言で、トランプ氏はウクライナが米露間の戦争終結交渉から排除されたことについて不満を述べたことを退け、「ウクライナは戦争を始めるべきではなかった。合意を結ぶことができたはずだ」と虚偽の主張をした。
しかし、ウクライナは戦争を始めていない。ロシアが2022年にウクライナへ侵攻したことが戦争の始まりである。トランプ氏の元副大統領であるマイク・ペンス氏や複数の共和党議員も、トランプ氏の嘘を否定し、この明白な事実を指摘している。
ゼレンスキー大統領の支持率
同じ火曜日の発言で、トランプ氏はウクライナの大統領選挙を求めると主張した。ウクライナでは戒厳令が敷かれているため、昨年予定されていた大統領選挙は延期されている。そして、ゼレンスキー氏の支持率について「4%まで落ち込んでいる」と誤った主張をした。
しかし、この「4%」という数字は全くの誤りである。
今月初めにウクライナの大手世論調査機関が実施した最新の調査では、57%のウクライナ国民がゼレンスキー氏を信頼していると回答した。この数値は昨年12月の52%から上昇しており、52%が戦時中の最低支持率だった。また、昨年11月下旬から今年1月初旬にかけて行われた支持率調査では、ゼレンスキー大統領の行動を「完全に支持する」または「ある程度支持する」と回答した人の割合は63%に達している。
米国のウクライナへの戦時援助
水曜日のソーシャルメディア投稿で、トランプ氏はゼレンスキー氏が「米国に3500億ドルを使わせた」とし、「勝ち目のない戦争に巻き込んだ」と主張した。しかし、この「3500億ドル」という数字も事実と大きく異なる。
ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所」によると、米国が2022年1月末(ロシアの侵攻直前)から2024年12月末までにウクライナへ約1240億ドルの軍事・財政・人道支援を約束している。一方、実際に拠出された額は約1190億ドルだった。
計算方法によって異なる数字を導き出すことは可能だが、トランプ氏の「3500億ドル」という数字には根拠がない。ウクライナ支援を監督する米国政府の監察総監は、「2024年9月30日時点で、米国のウクライナ対応予算は約1830億ドルであり、そのうち1301億ドルが義務付けられ、867億ドルが実際に支出された」と述べている。この数字には、米国内で使用された資金や、ウクライナ以外の国に送られた資金も含まれている。
米国の支援 vs. 欧州の支援
火曜日の発言と水曜日のソーシャルメディア投稿で、トランプ氏は「米国のウクライナ支援額は欧州よりはるかに多い」と繰り返し主張した。
トランプ氏は火曜日に「欧州は1000億ドルを提供し、米国は3000億ドル以上を提供した」と述べ、水曜日には「米国は欧州より2000億ドル多く支出した」と投稿した。
しかし、これらの主張も事実とは異なる。
キール世界経済研究所のデータによると、2024年12月までにウクライナに対する欧州の総支援額(EUおよび個別の欧州諸国の合計)は約2580億ドルであり、米国の約1240億ドルを大きく上回っている。また、欧州の実際の拠出額も約1380億ドルで、米国の1190億ドルより多い。
米国が欧州を上回っていたのは軍事支援の「割り当て額」のみで、米国は約670億ドル、欧州は約650億ドルを割り当てていた。しかし、この差はトランプ氏が主張するような大きな開きではない。
ゼレンスキーと「行方不明の支援金」
水曜日のソーシャルメディア投稿で、トランプ氏はゼレンスキー氏が「米国から送られた資金の半分が『行方不明』だと認めた」と主張した。同様の発言を火曜日の記者会見でも行った。
しかし、ゼレンスキー氏はそのような発言をしていない。むしろ、米国からウクライナへの資金提供額に関する誤解を正そうとしている。
ゼレンスキー氏は2月1日のAP通信とのインタビューで、「ウクライナが米国から2000億ドルもの支援を受けたと言われているが、実際に受け取ったのは約760億ドルで、その大半は武器の形で提供された」と述べた。そして、「追加の資金がどこに行ったのか分からないが、おそらく『帳簿上では』そのように計上されているのだろう」と語った(ウクライナのニュースメディア「ウクラインスカ・プラウダ」による翻訳)。
今月拡散されたソーシャルメディアの投稿とは異なり、これは「米国から送られた資金の半分が消えた」と認めた発言ではない。実際には、ゼレンスキー氏は、米国のウクライナ支援の大部分がウクライナ政府に直接提供されたものではないという事実を指摘している。
例えば、シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の専門家は昨年5月、「『ウクライナ支援』という言葉は誤解を招く。現実には、この資金の約72%、軍事援助の約86%は米国内で使われている」と指摘した。その理由は、ウクライナに送られる兵器は米国内の工場で製造され、米軍関係者への給与も米国内で支払われるためである。
ウソ分析は以上です。
こうしたトランプのとめどないウソの連発やその他の政策発動を分析しているニュースもありましたので、それも紹介します。
1. 圧倒的な政策連発による反対勢力の出鼻をくじく
大量の政策を短期間に発動することで、野党やメディア、官僚機構が十分に対応する時間を持てないようにするという戦略です。この手法は、ビジネスや交渉で「ショック・アンド・オー(Shock and Awe)」と呼ばれる手法に似ています。一つの政策に反対しているうちに次のものが出てくるため、効果的な反証や阻止が難しくなるのです。
2. メディアの焦点を分散させる
ニュースサイクルのスピードが速くなると、一つの問題に対する批判が続かず、世論の注意を分散させることができます。トランプはメディア戦略に長けており、意図的にスキャンダラスな発言や政策を短期間に発表し、批判が長続きしないようにしている可能性があります。
3. 初期の勢いを生かした「既成事実化」
政権発足直後に多くの政策を発動すると、それらが実際に執行される前でも「既成事実」として扱われることがあります。特に、大統領令(Executive Order)を多用することで、議会を通さずに迅速に政策を決定することができ、反対勢力に実質的な行動を起こす余地を与えません。
この戦略を誰が指導しているのか?
トランプ政権には、戦略的にこの手法を指導したと考えられる人物が複数います。
1. スティーブ・バノン(Steve Bannon)
・ トランプ政権初期の首席戦略官・上級顧問。
「ディープ・ステート(官僚機構)」に対抗するため、急進的な政策転換を推奨していた。
かつて「行政国家の解体(Deconstruction of the Administrative State)」という戦略を掲げており、政策を次々に出すことで官僚機構や反対派の抵抗を封じ込める手法を採用。
2. スティーブン・ミラー(Stephen Miller)
トランプ政権の政策顧問で、特に移民政策を主導。
強硬な政策を次々に実行し、論争を生み出す手法を好む。
3. ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)
トランプの娘婿で、政権内の影響力が強かった。
トランプのメディア戦略や大統領令のタイミングに関与した可能性がある。
4. ニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)
元下院議長で、トランプの政治的指南役の一人。
メディア戦略に長け、共和党の戦略的思考に大きな影響を与えた。
まとめ
トランプ政権の「洪水のような政策発動」は、反対勢力に時間を与えず、メディアの焦点を分散させ、既成事実を作るための戦略的な手法と考えられます。バノンやミラーのような強硬派の顧問がその戦略を推し進めたと考えられますが、トランプ自身がこの手法を本能的に理解し、活用していた可能性も高いです。
以上、ウソ連発と、その理由分析でした。