恐山あれこれ日記

院代(住職代理)が書いてます。

聞いた話、二つ

2008年08月21日 | インポート

その一。最近大病した友人の話。

「むかし、ばあちゃんがさあ、命ってのは持ち物じゃなくて預かり物だって、よく言ってたな。だから丁寧に使って返せって。この歳になって、身にしみたよ。」

 こういうことを言わせるものこそ、真っ当な信仰であり、真の教養だと思います。

その二。知人の坊さんの話。

「近くの寺で住職が引退して、弟子が後を継いだんだが、それが娘でね。しかも結婚した相手が在家から出家した男なんだが、こっちは副住職になるんだ」

 世襲の是非はしばらく措いて、この話を「実にイイね」と思うか、「変な話だ」と思うかで、日本の伝統的仏教教団の未来は違ってくるでしょう。


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3 コメント

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はじめまして。 (聖者ぼんちリンポチェ)
2008-08-22 01:15:23
はじめまして。
その2番目のお話ですけれども、
その夫が誰の弟子として出家したか、
また、その夫の資質や如何、
というあたりによっても
「評価」は変わってくると思いますね。
嫁さんを戒師として出家したのであれば、
普通に順当な話だと思いますけれど。
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命が預かり物だという想像はすごい。院代さまの言... (坐禅修行者)
2008-08-22 16:21:32
命が預かり物だという想像はすごい。院代さまの言葉を借りるなら、この言葉は私の深部に刺さった。「四苦」の真裏にひっそりと在った言葉だ。気がつかなかった。このようなことを言って聞かせる「ばあちゃん」とはどのような人なのだろう。命に直面しつつたどり着いた境地なのか、あるいは彼女もまた誰かからこの話を聞いたのか。それともこのような話が当たり前のこととして語りつがれる地域社会が日本のどこかにまだ存在するのか。興味が尽きない。

しかしもっとすごいのは、これがたった五行の文になってブログに乗ってしまったことではないだろうか。これが他の物書きの方であればもう少し長い文にまとめて、お金の取れるところへ出稿すると思うのだが。
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その二について。娘と男を入れ換えて何回も読んで... (ハンス)
2008-08-23 10:10:14
その二について。娘と男を入れ換えて何回も読んでみます。グルグル廻って、娘が男が、どっちがどうだとどうなるんだ。と、内なる革新と保守傾向がごちゃ混ぜになります。
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