「カンロクのある和尚さんになりたい」
「カンロクって、貫禄のことか?」
「そう」
「突然どうした?」
「ぼくも還暦過ぎて62だろ。やっぱ、もう少し貫禄が必要では?」
「どうして?」
「うーん。まずね、他人から『老師』と呼びかけられると、どうしようもなく恥ずかしい。背中がぞくぞくするのが治らない」
「ダメなの? 60過ぎたら言われても仕方ないよ。この業界では」
「それと、『先生』がダメ。メディアの人とかに言われるんだけど」
「他に言いようがないんじゃない? 立場的に」
「そうなんだろうけどさあ、ぼく、苦手なんだ。学校嫌いだったからかなあ…。で、だからさ、『老師』とか『先生』とか言われても平然としていられるには、貫禄を身につければいいかなと思うわけ」
「なんだか問題解決の方向性が間違っているような気がするぞ。だって、そもそも貫禄は結果的に身につくわけで、目指してそうなるものではないだろう」
「でも、そうなりたいんだもん」
「だいたい君の言う貫禄って何だ?」
「そう・・・、それはだな、こう、威圧感ではなくて、度量があるというか、器が大きいというか、誰に対しても、それ相応の対応ができて、安心感を与えるというか・・・」
「君、いろんな人の相談を受けたりして、それなりの対応力があるんじゃないの?」
「そうかもしれんが、それが『度量』とか『器』方面の評価に結びついていかないんだなあ」
「じゃ、今まで、どんなことを言われてきたの?」
「一番多く言われるのは、怖い人だと思っていたらそうでもなかった、というやつ」
「そりゃ、貫禄の話にならんな」
「あと、結構多いのが、得体の知れない人とか、ちょっとマシだと、清濁併せ飲む、みたいなこと」
「それも『度量』『器』関係からズレるよな」
「一番びっくりしたのが、恐山に旅行で来た外国人が、後に書いたエッセイの中で、法要をしている僕のことを『人類の進化の果ての姿を見るような』と言っていたんだ。もう、何が何だかわけがわからん」
「やっぱりさあ、路線的に無理だよ。貫禄や度量は、君みたいなタイプは無理。それは『保守本流』、『正統派』のゴールだよ。所詮『私流』は、傍流だぜ」
「はああ…。貫禄どころか、このままやさぐれていくしかないのかなあ」
「カンロクって、貫禄のことか?」
「そう」
「突然どうした?」
「ぼくも還暦過ぎて62だろ。やっぱ、もう少し貫禄が必要では?」
「どうして?」
「うーん。まずね、他人から『老師』と呼びかけられると、どうしようもなく恥ずかしい。背中がぞくぞくするのが治らない」
「ダメなの? 60過ぎたら言われても仕方ないよ。この業界では」
「それと、『先生』がダメ。メディアの人とかに言われるんだけど」
「他に言いようがないんじゃない? 立場的に」
「そうなんだろうけどさあ、ぼく、苦手なんだ。学校嫌いだったからかなあ…。で、だからさ、『老師』とか『先生』とか言われても平然としていられるには、貫禄を身につければいいかなと思うわけ」
「なんだか問題解決の方向性が間違っているような気がするぞ。だって、そもそも貫禄は結果的に身につくわけで、目指してそうなるものではないだろう」
「でも、そうなりたいんだもん」
「だいたい君の言う貫禄って何だ?」
「そう・・・、それはだな、こう、威圧感ではなくて、度量があるというか、器が大きいというか、誰に対しても、それ相応の対応ができて、安心感を与えるというか・・・」
「君、いろんな人の相談を受けたりして、それなりの対応力があるんじゃないの?」
「そうかもしれんが、それが『度量』とか『器』方面の評価に結びついていかないんだなあ」
「じゃ、今まで、どんなことを言われてきたの?」
「一番多く言われるのは、怖い人だと思っていたらそうでもなかった、というやつ」
「そりゃ、貫禄の話にならんな」
「あと、結構多いのが、得体の知れない人とか、ちょっとマシだと、清濁併せ飲む、みたいなこと」
「それも『度量』『器』関係からズレるよな」
「一番びっくりしたのが、恐山に旅行で来た外国人が、後に書いたエッセイの中で、法要をしている僕のことを『人類の進化の果ての姿を見るような』と言っていたんだ。もう、何が何だかわけがわからん」
「やっぱりさあ、路線的に無理だよ。貫禄や度量は、君みたいなタイプは無理。それは『保守本流』、『正統派』のゴールだよ。所詮『私流』は、傍流だぜ」
「はああ…。貫禄どころか、このままやさぐれていくしかないのかなあ」