くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「なりたい」畠中恵

2016-02-12 20:37:41 | 時代小説
 「しゃばけ」シリーズは人気があって、図書館で借りるにも時間がかかります。今回は「なりたい」(新潮社)。
 妖になりたかったり、りっぱになりたかったり。
 わたしがおもしろいと思ったのは「親になりたい」です。
 長崎屋の女中おように縁談があり、子どもを連れた柿の木屋(煮売り)がやってきます。しかし、息子の三太は手に負えない行動をすることで知られ、女中頭のおくまは納得できないと言います。
 おようは一度嫁入りしたものの、子どもが生まれないことで戻されたのです。三太の母親になる決意をしたおようは、若旦那にとりもちを頼みます。おかみさんが、相談できるとしたら一太郎だろうと言ったからだそうですが、その理由は三太が妖だからなのですね。
 柿の木屋は三太を川端で拾ったのです。もちろん、妖だとは知りません。自分自身も火事のどさくさで親とはぐれたことがあり、他人事とは思えないのです。
 おようが嫁に行き、柿の木屋は繁盛しますが、そこに自分が父親だと名乗る猪助という男が……。
 
 「猫になりたい」は手拭いを染める店の元主人が生まれ変わって猫又になり、商売のことで若旦那に相談にくる。
 「猫じゃ猫じゃ」を踊るには手拭いが必要だから、戸塚の猫又たちを紹介しようと思っていると、そちらからも相談を持ち込まれて。
 相変わらずコミカルでおもしろかった。
 来世でなりたいものを探すように神様たちから言われますが、これは「えどさがし」に通じていくエピソードですね。
 続きが楽しみです。