くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「レジまでの距離」似鳥鶏

2016-02-14 10:23:10 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 歯医者で女性週刊誌を読んでいたら、似鳥さんの新刊が出たというじゃないですかぁ!
 その足で本屋に寄りましたが売っていなかったので、着実にありそうな本屋さんに行きました。よしよし(とほくそ笑む)、似鳥さんの、しかも書店ものです。「レジまでの距離 本屋さんの名探偵」(光文社)。
 カラーとしては、大崎梢さんのシリーズに似ています。というのも、結構参考にされたのだそうです。大崎さんと久世番子さんの作品で、本屋さんの仕事の基本的なところは語り尽くされている。
 
 この連作のきっかけとなったのも大崎さんで、「本屋さんのアンソロジー」に作品を依頼されたから。
 わたしもこの一作め「七冊で海を越えられる」はそちらで読みました。
 アルバイトをしている青井くんの視点で、本屋さんで起きた事件を解き明かしていくシリーズです。といっても、名探偵は店長ですが。「西船橋のポップ姫」と呼ばれる彼女は、仕掛けた本を完売する凄腕の書店員なんですが、店のことはほぼ青井くん任せでレジにも入らない(笑)
 店から送られてきたの七冊の本。何かの暗号なのか。
 売れっ子ライトノベル作家のデビュー作が引っ越しの最中になくなったのは、友人が盗んだとしか思えない。どこに隠して持ち出したのか。
 その事件が縁でサイン会をしてくれることになった蓮見喬のポスターに落書きが! 一体誰が? どういうつもりで?
 そして、雑誌に挟まれた強迫文。文芸担当の一ノ瀬さんが売り上げを伸ばそうと奮闘しますが……。

 似鳥さんのカラーがすごく出ていておもしろいです。
 実在の本とかドリンク剤とかが出てくると、ついにやりとしてしまいます。大好きな「夏のくじら」と「ホワイトアウト」が並んで出てきたり、東野圭吾の経費を小説に登場させる短編が出てきたり、本好きにはたまりませんよ。
 ふと思ったのですが、本屋さんの常連と呼ばれるのってどんな感じですかね。わたしはしょっちゅう寄って買っていると思うのですが、書店員さんを名前で呼んだり話したりはしないので……。
 学生時代、花とゆめを取り置きしてくれたK書店のおばちゃん(ひとりで切り盛りされていたので、今はもうやってないと思います)くらい。
 ただ、アルバイトをしていたときは、よく来るお客様は特徴を覚えていましたから、そんな感じかな。
 一ノ瀬さんは、本を買いにくるというより本屋さんに来る客を増やしたいと考えていますが、それはすごく分かる。
 手に取ってみるというのは大きいです。
 わたしは最近ネットのまんがを読むようになったのですが、なんだかやっぱり距離がある気がします。
 似鳥さん、今年は楓が丘動物園の新作、出してくださーい!