くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「本をめぐる物語 栞は夢をみる」

2016-02-24 05:23:21 | 文芸・エンターテイメント
 表紙がスカイエマさんで、本がテーマで、執筆者には北村薫。
 これは読むでしょう。
 でも、期待したほどではなくて……。すみません、わたしがダ・ヴィンチと合わなくなったからですかね。

 ダ・ヴィンチ編集部編「本をめぐる物語 栞は夢をみる」(角川文庫)。大島真寿美「一冊の本」、柴崎友香「水曜日になれば(よくある話)」、福田和代「ぴったりの本あります」、中山七里「『馬および他の動物』の冒険」、雀野日名子「僕たちの焚書まつり」、雪舟えま「トリィ&ニニギ輸送社とファナ・デザイン」、田口ランディ「カミダーリ」、そして北村薫「解釈」。
 読んでいない話もあります。
 おもしろかったのは中山七里かな。『馬および他の動物』という画集が語り手。主人亡き後、古書店に並べられた彼は近くの本たちと交流する毎日を送っていましたが、ある日盗難にあう。
 転売されたら日焼けして価値が下がってしまうことを恐れますが、盗んだ男は思いのほかじっくりと読む。本はやはり、読まれたいのだ、と幸福を感じます。しかし、男にはある秘密が。
 そりゃ、譲ってくれと言ったら断られるよねーという展開でした(笑)。
 北村さんの作品は、「吾輩は猫である」「走れメロス」「蛇を踏む」の作品を宇宙人が分析するのですが。
 一人称を「夏目漱石」にしたり、メロスの行動を見つめる太宰の体力に愕然としたり、というのはおもしろいのですが(「竹馬の友」には大受けしましたよ)、なにしろ宇宙人だし……。
 期待しすぎだったのかな。
 
 大島さんのは、私設図書館の館長だった父親の葬式にからむ物語。柴崎さんは憧れの人が営む本屋を訪れる話。雀野さんは近未来で紙の本がなくなっている時代に、昔の出版関係者の幽霊が現れる。
 福田さんのも電子書籍にまつわるもの。うーん、うまく説明できませんが、自分の運命に関わる物語を読むことになる若者の話です。
 それから、田口ランディは好きじゃないので読んでなかったのですが、出だしに引かれて急遽読みました。
 沖縄にユタを探しにいく。「カミダーリ」とは神がかりという意味ですかね。途中まではおもしろかったのですが、後半はやっぱり好みではなかった……。