くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「お父さんが教える読書感想文のかきかた」赤木かん子

2010-06-26 05:53:00 | 社会科学・教育
ああっ、「この本を選んだ理由」! そんなもんなくていいから本題に入れ、とわたしなら言いたい。
だってべつにそんなこと知りたくないもん。感想文は、基本的には生活文です。そうでないと表面的なものになる。
でも、なんとか三枚の原稿用紙を埋めようという子には、仕方がないのかな。あらすじと感想の繰り返しですすめていくというのはいいと思います。それだと「あらすじばかり書いてある」とは思われない。
赤木かん子「お父さんが教える 読書感想文のかきかた」(自由国民社)です。そろそろ時期が近づいてきましたからね。ちょっと読んでみようかと。(あっ、わたしも「この本を選んだ理由」を書いている……)
赤木さんは、読書感想文を毛嫌いする大人が多いと語ります。そうねー、丸谷才一も井上ひさしも熊谷達也も子供に感想文を書かせるのを嫌がってましたね。
でも、自分の考えを「筋の通った、論理的な日本語の文章で書けるようになること」が感想文の目的だと赤木さんは言います。
それを達成するためには、最後まで読み通せる本を選ぶこと。それから、原稿用紙を赤いペンで三行ずつ四角く囲うことから始めます。このブロックを少しずつ埋めていくのが、赤木流感想文のテクニックなのです。
あらすじと感想のサンドイッチ構成で、自分と主人公を比較したり経験を比べたりする。で、おもしろいと思ったのは、自分も本に書いてあることをやってみるというもの。なるほどねー。
そのほか、ブックトーク風のやり方や読みやすい字の書き方も紹介されています。
でも、ハウツーで終わらないのが赤木かん子なのです。自分は小学生のときから「本当のことをちょっぴり混ぜた創作」として作文を書いていたことを明かします。そして、架空の内容である練習ノートから抜粋された文章が新聞に載せられてしまう。
だけど、いちばん辛かったのは、自分が書いてもいない文がくっついていたということ。
改竄という言葉は知らなかったけれど、そのことに対する怒りを感じたのだそうです。
うー、わたしも高校生のときに似たようなことがありました……。当時「古事記」から材を取った文章を寄稿したところ、原作にある有名な場面がないからと(もちろん、わざとです)つけ加えられてしまったのですよ。あーあ。
でも、生徒の作文を編集して載せるには、ある程度の改稿はせざるをえない。三百字で書いたものを百字に要約するとすれば、言い換えも必要です。
かつて「作文はそのまま載せたい」と語った同僚、読めない字を「△□○×※」と載せていましたが……。わたしは編集必要だと思っています。言い間違ったり誤解したり主述がねじれていたりするときには。
読書感想文にしても、構成を入れ換えるだけで見違えるようになる作品もある。
大人が寄り添って感想文の書き方を教えるというテーマ、いいと思います。なかなか学校で書き方教えないものね。
さらっと読めて実践しやすい本だと思いました。