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生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

父の遺してくれた物(その1)

2006-11-18 14:02:07 | 家族

父がワープロで書き写していた三浦綾子の「永遠の言葉」からの引用文を紹介します。
他にもまだたくさんありますが、1ページ目にまずこの3つの文章が書かれています。これらを選んで書いた父の心に思いを馳せながら写します。


わたしたちが命のことを考えるときに、ただ健康でありさえすればいいというあり方、ただ生きていればいいという動物的な考え方もありますけれども、この命をどのようにいきてゆくかという生き方もあるんです。そして、このほうが人間として非常に大事なことだと思うんです。

人間というものは、ほんとうに一人では生きることができないものです。お互いに支え合って人という字ができているわけです。人間という字は「人」の「間」と書きます。人の間にいなくては人間は生きられないのに、自分がいかにも一人で大きくなったように思ってしまう、そういうところがあります。わたしも情けない人間ですけど、感謝するということが人間はほんとうに少ないと思います。

世の中には、ほんとうに不幸続きの人がいます。いろんな人に対して、わたしたちが心から人間の生命をいとおしむならば、尊いと思うならば、それは素晴らしいことだと思います。人間の尊厳死が問題とされている世の中ならばなおさらのこと、わたしたちはどうして人間を尊厳の対象として見ないのでしょう。



父は信念を持っている人でした。実家に帰ると、わたしや子供達に人生訓を教え諭すように話してくれました。また、健康こそが大切なことだといい、健康には特に気をつけていました。脳溢血に絶対にならないための薬の作り方を教えて貰うと、わざわざ山形から蕗の葉を送ってもらってそれを煎じて薬を作り、主人やわたしにも飲ませてくれました。



それがどのくらいの効果があったかわかりません。父は脳溢血にはなりませんでしたが、その後大動脈瘤の手術を受け、癌になって召されたのでした。
2年前、大動脈瘤で入院してから、父の信念がぐらついてきたのではないかと思います。お見舞いに行ったとき「永遠の言葉」を渡すと熱心に読んでいました。
そして「とても感動した」といって涙ぐんでいました。書き写していたほどですから、父にかなりの影響を与えた本だといえるでしょう。


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