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生活保護「扶養義務」の強化懸念 「困窮者の命に関わる」!

2012-06-16 11:29:08 | 生活保護法って?
どんよりと曇り空、そして寒い農家は大変だ

生活保護「扶養義務」の強化懸念 「困窮者の命に関わる」
 拡大する困窮層を支援するのは国か家族か-。お笑い芸人の母親の生活保護受給が発覚したことを受け、親族による扶養義務を強化しようとする動きに、生活困窮者の間で不安が広がっている。
小宮山洋子厚生労働相は、扶養義務の運用厳格化の考えを表明したが、専門家からは「家族の助けを強調し過ぎると最後のセーフティーネットの申請を諦め、追いつめられる人が増えかねない」と危ぶむ声も聞かれる。

 「保護申請するにしても娘に恥をかかせたくないから、娘の夫にだけは知られたくない」。
弁護士などでつくる「生活保護支援九州ネットワーク」(事務局・北九州市)による緊急電話相談に9日、60代男性が不安な思いを打ち明けた。

 妻と2人暮らしで、年金とパートによる収入は保護基準を約2千円上回る月額約10万9千円。「娘に無理をさせるくらいなら、死んだ方がましだ」。
自治体が扶養の可否を親族に問い合わせる「扶養照会」が厳しくなれば、保護申請を諦めざるをえないという。

 同じように、扶養照会の運用強化は、ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者など、加害者側に居場所や経済状況を知られたくない人にとって保護申請のハードルを高くすると、同ネットワークはみる。

 半日間で、「今言われている法改正の詳細が知りたい」など58件の相談があった。
対応した同ネットワーク事務局長の高木佳世子弁護士は「受給者や生活に困っている人だけでなく、親族にも不安が広がっている」と指摘する。

   ◇   ◇

 そもそも「扶養義務者」とは誰を指すのか。

 民法は夫婦の相互扶助と、直系親族・兄弟姉妹に扶養義務を課すと定める。
民法上は、強い義務を負うのは夫婦間と未成熟の子に対する親のみ。今回の芸人のように、成人した子の老親への義務は「余裕があれば援助」にとどまる。

 自治体関係者によると、生活保護法の規定では扶養義務者が扶養を行っていない場合、自治体は保護費を減額することができるが、実際には調査や手続きの手間の問題などから、実施されないケースも多いという。

 生活保護世帯が3万世帯を超える福岡市保護課の鹿毛(かげ)尚美(なおみ)課長は「困窮している人は申請前から親族とのあつれきを抱えている場合が多いし、親子や兄弟姉妹だからといって一律に扶養義務を果たせるとは限らない」と指摘する。

   ◇   ◇

 核家族化の一方、景気低迷の中で雇用不安や収入減で結婚できない人が増加。
家族による助け合いの精神も希薄になっているとされる。

 市民団体「生活保護問題対策全国会議」の代表幹事を務める尾藤広喜弁護士(京都市)は「家族による私的扶助に限界があるから、公的扶助制度が整備された歴史的経緯がある。
再び私的扶助に戻そうとするのは時代に逆行している」と警鐘を鳴らす。

 厚労省は、親族が扶養困難なら証明義務を課す法改正も検討する。
だが、尾藤弁護士によると、現状でも親族の扶養が期待できない状況でも「親族がいる」というだけで受給を認められなかったり、親族に迷惑が及ぶことを恐れて自ら申請しない例も多いという。

 尾藤弁護士は「生活保護は最後のセーフティーネット。扶養義務が徹底されれば、餓死者や自殺者の増加が心配だ」と危機感を強める。

■生活保護

 今年3月時点の生活保護受給者は全国で210万人を超え、9カ月連続で最多を更新。受給者の増加に伴い、本年度の生活保護費予算は約3兆7千億円に上る。不正受給額も2010年度には、10年前の3倍の約130億円となったほか、高齢者の一部では基礎年金より生活保護費が高いという逆転現象が起き、国民の不公平感が高まっている。保護費の膨張を抑えるため、政府は給付水準の引き下げを視野に入れているほか、自民党は10%の引き下げを求めている。
(2012/06/15付 西日本新聞朝刊)

生活保護法の抜本改正が必要と言われ続けてきたのに、慌ただしく、「扶養義務を徹底、強化」する方向性だけが強調されている。
すでに制度疲労を起こしている事は現実で全体的な改善が期待される。議論や意見交換は大切だ
生活保護費は最低限度の生活保障なので、国民生活全般の年金、公務員の給料等に直接的な影響を与える重要な問題となる。扶養義務の問題も民法の解釈によって一貫性のない対応がなされている。
私は「民法上は、強い義務を負うのは夫婦間と未成熟の子に対する親のみ。」と考えるが、「直系親族・兄弟姉妹に扶養義務を課すと定める」・・これを徹底・強化することは問題である。
多くの識者が言うように大変深刻な問題が発生することも予想される。
注目のテーマだ。現実に即した解釈、理解をしながら、今後の議論の行方を見守りたい。
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