「パーカー90点のワインが箱サイズで登場!」というので、いつも買っている箱よりは少し高いのですが買ってみました。少しは期待していたわけですが、飲んだ感じでは「悪くはないにしても、そんなに優れたワインかなあ」だったので、パーカーポイントについて調べてみました。
日本ではあまり馴染みがないのですが、パーカーポイントで有名なRobert M. Parkerはアメリカのワイン評論家で、"The Wine Advocate"なる広告なしのワイン誌を主催しているそうです。advocateは弁護者とか代弁者ですから、元弁護士らしい名前だと思います。
それまでのワイン評論がブランド名などに左右されるものであったのに対し、目隠しテストに近いテイスティングで、比較的安価なワインが驚くほどの高得点を得て話題になることがしばしばあり、消費者の信用を得たようですね。
eRobertParker.comが公式サイトのようです。旧来の20点満点のポイントでは柔軟性がないので100点満点のシステムを採用したとありますが、基礎点が50点あって、これに各要素の採点を上積みということは、最低点が50点です。100点満点でも0-50点は使っていないのですね。柔軟性と言う割には無駄が多いように思います。基本的にかなり辛口で、70点でやっと水準に達したというレベルだそうです。
採点基準についてはここに書いてあります。基礎点が50点、色などが5点、香り(アロマとブーケ)が15点、味わいと余韻が20点、あと総合的な評価や熟成の状態などで10点を加算します。それから重要な但し書きが。著名なアペラションについてはパーカー流の目隠し比較テイスティングにサンプルを提供してくれないため、目隠しテイスティングではない。また、1本25ドル未満のワインも例外とする。
何だ。つまり箱ワインになるようなものはボトル25ドル未満に決まってるから、目隠しテイスティングじゃないってことですね。アメリカでボトル25ドルなら、日本じゃ4000円ぐらいはするのかな。そうすると日本でテーブルワインとして飲まれるようなものは、ほとんど「値段の割りに」という評価になるわけですね。
このサラダ・ティントにしても、目隠しで高級ワインと間違えることなんかまずありません。私は通信のワイン講座を1年受講したに過ぎませんが、少し経験のある人なら、香りの広がりのなさと余韻の短さで安いワインだとすぐわかるはず。値段に対しては悪くないと思いますが、「パーカー90点!」だから高級ワインに匹敵するような風味を期待するのは筋違いです。私はテーブルワインならもっと安くて気楽な銘柄でいいです。まあ、季節や体調の違う折に何回か試してみないと最終評価は出せませんけどね。
これについては、Parkerさん自身が「ワインには点数より大事な性格があるのだから、点数そのものよりコメントをよく読んで欲しい」「何よりも自分で味わって経験を積んで欲しい」と強調しています。例えばワインにどんな食事を合わせるかはアメリカと日本で大きく違う可能性がありますし、誰もがParkerさんと同じ好みだとも限りません。何より人により懐具合が大きく違います。どんなプロの評価であれ、嗜好品の善し悪しは自分で決定するもの、という当たり前の結論になります。
パーカーポイントも、他のワイン評価と同じく、参考に使わせてもらえば便利だと思います。ただし日本でボトル4000-5000円以上のものが主な対象のようで、それ未満のワインについてはリカーショップやスーパーの店頭コメントの方が有用に思います。