今日はネタのない時に便利なインスタント書評です。すべて図書館から借りて極楽息子(大)に読み聞かせしたものです。
「くまごろうのしりもち」はしりもちを繰り返して自分とネズミのために木の実を落とすツキノワグマの話。本物の熊は雑食性なのでそんなにお人よしではありません。
「おたねさん」は意味不明です。おたねさんの畑には動物や虫がいっぱい。動物に食べさせるために畑を作っているのでしょうかね。表紙にあるような立派なトマトなんて、よほど手入れしないとできないものです。放置した畑にいっぱい作物ができて、動物と虫の楽園に、なんて現実味がなさすぎますよ。
絵本も小説も、実話である必要はさらさらありませんが、「こういう世界もあるんだ」と思わせるリアリティがないと読んでも面白くありません。この2冊のストーリーはリアリティのなさゆえに周りの世界との接点がほとんどないので、読むことによって世界が広がるとか、豊かな想像が紡ぎ出されるといった効果があまり期待できないと思います。
「100まんびきのねこ」は話が陰惨ですね。どの猫が一番きれいかな、と尋ねたら猫同士が殺し合いの喧嘩を始めてお互いに食べ合い、小さな1匹しか残りませんでした、という筋立てはもう少し何とかなりそうなものです。その間、猫を連れて来たお爺さんは「わしゃ知らん」と家の中に籠(こも)っていたのです。こんな人には猫を飼って欲しくないな。
「おやすみなおちゃん」は今回の推薦です。屈託のない子供の寝顔だけでも見ていて飽きないものですから、これは大人が楽しく読める絵本だと思います。