テクニクスのブースです。大きいのがSB-R1、小さいのがSB-G90M2です。テクニクスブランドを復活させたパナソニックはやはり巨大なメーカーなので、ピュアオーディオも標準的なプレミアムクラス、上級のグランドクラス、最上級のリファレンスクラスと、一気に3シリーズを展開してきました。SB-R1(ペア270万円)はリファレンスクラス、SB-G90M2(ペア70万円)はグランドクラスの製品です。
グランドクラスの試聴ソースは、あまりピュアオーディオの視聴では出てこない曲で、ちょっと評価が難しいです。
玉置浩二 メロディー
夏川りみ 涙そうそう
川上さとみ センシビリティー
それにしても、NS-600A/800Aを聴いた後だと、音像が随分広がって聴こえます。ポップスはこれでもいいのでしょうが、ピュアオーディオでこういう音は好まれないのではないでしょうか。ヤマハに比べるとセッティングが決まっていないのかも知れません。ソース選びと言い、製品の魅力を引き出すための熱意が今一つに感じます。テクニクスは、ヤマハと並んで国産オーディオ復活の旗手なので、期待していたんですけどね。
ラックの機器も、左がリファレンスクラス、右がグランドクラスと分かれています。
リファレンスクラスの視聴ソースは、
Bob James, Jazz Hands
Pavo Jarvi, Also Sprach Zarathustra, Prelude, R. Strauss
Dire Straits, Money for Nothing
中森明菜 アイラブユー
石川さゆり 風の盆恋歌
SB-R1はウーファー片側4本の強力なドライブ力で、さすがにツァラトゥストラは物凄い迫力です。確かにこの曲はオーディオチェックの定番ではありますが、いかなマニアでもこんな曲ばかり大音量で聴くわけではありませんし、普通の住宅事情では鳴らせない曲でしょう。重低音の迫力が強調された昭和のオーディオブームの頃ならともかく、ちょっと選択が古いんじゃないかなとも思います。私はこの曲を聴きたければ再生ではなくコンサートホールに行きます。
中森明菜、石川さゆりも独特の選曲です。アイドルの歌を聴くために総額一千万円もの投資をする人はごく少数でしょうし、こういう大型スピーカーはヴォーカルソロには向いてないのではないでしょうか。SB-R1の音域やダイナミックレンジの広さも締まった迫力ある低音も、レンジの狭い歌謡曲では生きないと思います。演歌については猶更ですね。録音のせいかセッティングのせいか音像が大きくなって、長島温泉の歌謡ショーを聴いてるような賑やかさはありますけど、それならもっと手軽な音場型のスピーカーやサラウンドシステムで十分。このスピーカーが生かせるソースではないでしょう。
リファレンスクラスのプリメイン、SU-R1000(約100万円)。今回はアナログレコードの復権に伴って、プレーヤーシステムのSL-1000Rの技術解説がされました。変動する負荷に対して、いかに迅速に、正確に回転を制御してるかという新回路の話なんですが、こういうモーター制御はハイブリッド車の開発に伴って大きく進化した技術だそうです。これはヨシノトレーディングのブースで聞いた話ですが。こういう精密制御を突き詰める手法と、慣性質量を大きくして抑え込む手法と、アプローチは色々あっていいと思います。