いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

新旧セレナのカタログを比較する

2016年09月13日 | 自動車
 日産セレナがフルモデルチェンジして、これで5代目だそうです。このクラスのいわゆるミディアムサイズのミニバンは、トヨタのノア、ヴォクシー、エスクァイアの3姉妹と日産セレナ、ホンダステップワゴンがほぼシェアを分け合っており、かつて競合していたマツダビアンテは脱落状態。今度のセレナは自動運転を話題にしていますが、実際に変わったところはどこでしょうか?

 4代目セレナで一番安い20Sのサイズは4685×1695×1865(mm)。5代目のベースモデルは2.0Bで4690×1695×1865(mm)とほとんど変わらず。5ナンバー枠を守る以上、これは変えられません。ホイールベースも2860mmで変わらず。トレッドも1480mm/1485mmで同じ。最小回転半径5.5mと同じ。重量は10kg増加。これはフルモデルチェンジでありながら、シャーシの基本構造は先代踏襲と見ていいでしょう。ノア3姉妹やステップワゴンのように、基本構造から進化させてきたわけではありません。

 ノア3姉妹は新型シャーシを投入することで重心と床を大幅に下げることに成功し、旧型に比べて乗り心地とハンドリングのバランス点をより高い所に設定できたと言われています。実際に今度のノア3姉妹のハンドリングは「いい意味でトヨタらしくない」などと評価されている模様。この力の入ったライバルに比べると、新型セレナの進化は決して正攻法の勝負とは言えないように思います。

 4代目20Sと5代目2.0Bの比較に戻ります。エンジンはMR20DDで共通。最大出力が3馬力だけ増えていますが、最大出力発生回転数が5,600から6,000と高くなっています。この手のミニバンでレッドゾーン近くまで使うことはまずないでしょうから、回転を上げて出力を稼ぐのは、単にカタログを飾るテクニックですね。不思議なのは、今時最大トルクが210Nmから200Nmに減少していること。エンジンチューンを高速型に切り替えるとはわかりにくい進化です。その割にJC08は13.8から15.0に改善。上級車種のS-HYBRIDでもわずかに数字が改善されています。メカがほとんど変わらないとすると、タイヤでも替えたんでしょうか?

 売り物である室内の広さは3060×1480×1380(mm)から3170×1545×1400(mm)に進化。シャーシが変わっていませんから、ドアの形状とか内装の薄型化とか、細かい部分をかなり詰めたんでしょうね。リアゲートも上下分割式になって、使い勝手は良さそうです。ただしホンダのわくわくゲートみたいに後ろからの乗り降りが便利にはなっていません。

 話題になった「自動運転」ことプロパイロットはまだ完成度が低いようで、ACCの最新スペックにも追い付いてないみたいです。日産自身それは理解していて、現状のプロパイロットは期間限定のオプションとなっており、いずれ改良型が出ることが匂わされています。

 これで人気車種のフルモデルチェンジとは少し寂しい気がしますけど、反面、完成度は高まっており、ハンズフリーの電動スライドドアなど、痒い所に手の届くような装備は充実しています。今のところはこれで十分売れるだろうという判断ですね。当面はそれでいいと思いますが、シャーシから進化したノア3姉妹とステップワゴンがマイナーチェンジを重ねてきたら、ちょっと対抗しにくいような気もします。資料から判断する限り、走行性能と乗り心地のバランスや、同じく走行性能と燃費のバランスでは少し差を付けられた印象があるのですが。試乗する機会があれば、その懸念を払拭して欲しいものです。
コメント
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