2月になって冬も終わりに近いか、と思った矢先に大雪に見舞われた名古屋。公式発表で積雪15cm。東北や北陸の方には申し訳ないですが、これでも名古屋では大雪です。運転に自信のない人が一斉にバスに乗り換えたものだから、いつものバスが満員で乗れず、道路も大渋滞でした。
こんな日のために去年から用意しておいた緊急滑り止め、オートソックを試してみることにしました。名前のとおり、タイヤ用のソックスみたいな布製器具です。金属チェーンも持っているのですが、収納する際に変に捩れてしまい、元に戻らなくなってしまいました。凝った構造のチェーンでは起こりがちなトラブルのようです。
オートソック最大のセールスポイントが、着け外しの簡単さ。慣れれば金属チェーンで十分というベテランの人でも、いつも適当な装着場所と照明があるとは限りません。夜間に狭い路肩で、泥と雪が交じり合ったシャーベットに埋もれて、しかもすぐ背中を遠慮なく他の車両が通過して行く環境でチェーンを着けたことがあるなら、簡単に装着できることがどんなに有難いかわかるでしょう。薄っぺらで柔らかいオートソックをタイヤにかぶせるだけで、車外作業はほぼ終了です。
さすがに広告のように「タイヤを半周させれば装着終了」とはいきません。もう少し回さないと全周にしっかり着かないようです。庭の中では直線が確保できませんので、状況によってはジャッキアップしたほうが早いかもしれません。
それでも何回か前後に動かしていると、オートソックがタイヤの中心にしっかり固定されてきました。
きちんと装着されると、見た目もなかなかいいですね。このオレンジ色のベルトは単なるアクセントではなく、着け外しにここを引っ張って位置を整えるようになっています。実にわかりやすい。
延々と続く雪の道。交通量の絶えた近所の坂道を試運転してみました。ゆっくり走る限りでは全く不安がありません。上りでも下りでもきちんとグリップして、雪道だからと構えなくても普通に走れます。歩くのも難儀な新雪でこの性能は立派です。
外すのも引っ張って車を少し動かすだけなので極めて簡単。金属チェーンは着ける時より外す時が面倒なので、その点でも差を付けます。もちろん、チェーンのように捩れて次から使えないなどということはありません。
ただし誉めるのもここまで。オートソックの欠点は何より無雪路を走った時の耐久性。極楽妻が市内をちょっと走っただけで、ご覧のようなぼろぼろの状態。表面が毛羽立ったり薄くなったりして、恐らくはこの水準で2,3回使ったらトレッド面が破損すると思われます。あくまで緊急脱出用として、使い捨てに近い器具なのですね。
名古屋のようにチェーンの必要性が年に1度あるかないか、という環境ではこれでも数年は持ちますので実用的ですが、間違ってもこれでスキーに行かないように。