いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

ホンダF1撤退の次は?

2008年12月05日 | 自動車
 ホンダが唐突にF1撤退を表明したようで、ロイターなどのニュースサイトでは大きな扱いになっています。ほんの1,2ヶ月前まで、「来期に向けた開発が進行中」と伝えられていましたので、この変わり身の早さには少々驚きました。

 今年は日本GPを観戦できたこともあって、撤退は正直寂しいですけど、ホンダとしては仕方のない決断ですね。掲示板では「勝てないから撤退」という書き込みも見られますが、それは主な理由ではないでしょう。公式な理由とされている「スポンサーがつかないから」も事実でしょうが主因ではありません。一番大きいのは、リストラのためです。年間500億円などと言われるF1参加のための経費ももちろんですが、もっと大きいのは世界同時不況に備えた人員削減をスムーズに進めるためだと見ました。

 来年は世界の自動車産業にとって非常に厳しい年になると言われています。ホンダは小型車で競争力があり、業界が沈滞する中ではまだましな方ですが、それでも業績は大幅に悪化すると予想されており、世界規模での人員削減を予定しているのでしょう。既に一部の工場で派遣社員や臨時社員の雇用が打ち切られているようです。こんな中で(良くも悪くも)アピール抜群のF1を続けることは、社会的に大きな非難を浴びる可能性があります。「従業員の生活を切り捨てておいてF1を続けるのか!」という攻撃をかわすため、大企業としては当然のイメージ戦略をとったと推察します。

 こうして少しでも予算を浮かして、特にアメリカでの雇用を維持したいというのが本音ではないでしょうか。アメリカ経済そのものであったGM、フォード、クライスラーの"Detroit Three"の生き残りが日に日に困難度を増している現況では、何とかしてアメリカ市場からの非難を和らげておく必要があるからです。この至難の課題を前にしては、レースで勝てないとか、マネージャーの人選が悪いとか、F1運営組織との折り合いが悪いとかは瑣末な問題に過ぎません。

 F1撤退の話題性を利用して、間髪なくアメリカに資金を投入し、「ホンダはアメリカでの雇用を可能な限り維持する」と打ち上げれば、どんな広告よりも効果が大きいと思います。経営者が会社の生き残りを最優先するのは当然でしょう。そうなると、同じようにリストラ批判やアメリカ市場侵略の批判をかわしたいトヨタも不安定な立場にいることがうかがわれます。

 ニュースを見ただけで各社の事情がわかるわけではありませんが、ホンダに続いてトヨタがF1から撤退する可能性は少なくないと見ます。加えて、資金面で不安を持つルノーもF1どころではないでしょう。これでは現状のF1が瓦解する見込みすらあり、規模の縮小など、運営面を大きく見直す必要があると考えます。
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