2月も中旬になって「今年一番の寒さ」が続くのはちょっとこたえます。極楽息子(小)は大喜びで雪遊びしていたようですが、通勤や通学には迷惑なだけですね。雪は傘を回り込んでくるので、この寒いのに体が濡れてますます寒いですし、視界が悪くなるので危険です。もちろん足元にも注意しないと。
ついにチェーンの出番です。極楽息子(大)を水泳教室まで送っていったのですが、チェーンの絶大な効力で危険は全くありませんでした。しかし道路は大渋滞。特に東山公園裏の植田山が酷かったです。
ここですね。たいした高さではありませんが峠になっており、何台か車がスタックしていたお陰で無駄に時間を使わされました。きつい坂と言うほどでもないんですが、装備もなしに「何とかなるだろう」と出て来たドライバーのせいで、多くの人が迷惑したわけです。事故を起こした人にはきちんと反省して頂きたいですね。
この植田山や、極楽家の前(ごく緩い坂です)で動けなくなっていたり、右に左に尻を振って渋滞を引き起こしていた車には傾向があるように思われました。マークX、レクサスIS、ゼロクラウン、ベンツEクラスなど、真新しいハイパワーのFR車ばかり。FR車は雪道で安定性が悪いという傾向がないではないですが、それは極端な話であり、FR車でもチェーンやスタッドレスがあれば当たり前にスキーに行けます。
思うに、「高級車なんだから大丈夫だろう」みたいなお門違いの過信があったのではないでしょうか。最新の高級車は高度な電子制御のトラクションコントロール(トヨタではVSC)を装備しており、簡単にスピンしないようにはできています。しかしタイヤのグリップそのものが向上するわけではありません。加速や登りではFRが有利、と言われるのも路面の摩擦が十分にあった場合のことで、雪道では300馬力だの50kgmだのは何の役にも立ちません。エンジンの大きな高級FR車はかなりフロントヘビーなので、十分な荷重移動がない状況では後輪にトラクションが掛かりませんよね。
それに見た目は安定して見えるかも知れませんが、ハイパワーFR車の幅広超扁平タイヤは、路面の悪い状況では有害無益です。雪道でスリップするのは、微視的に見れば雪や氷の表面にできた薄い水の膜にタイヤが浮くことで滑っているのです。幅広タイヤの方が面圧が低くなるので浮き易いはずですし、タイヤが浮いてしまえばせっかくのサーキット仕様のハイグリップゴムも役に立ちません。水や油など液体の膜は、ある程度の圧力を掛ければ破壊されるので、同じ重量なら細いタイヤが有利です。スタッドレスでは水膜を壊すために排水機構とかクルミの破片などを内蔵しているわけです。
緩い上り坂を登れずに無様な姿を晒す高級車はドライバーの資質の低さを反映しているわけで、「下手な癖に高い車に乗りやがって」などという揶揄の対象にもなりかねません。18インチの幅広超扁平タイヤにチェーンを巻くのはほぼ不可能ですし、スタッドレスも極めて高価だと思いますが、だからと言ってそのまま雪道に突っ込むのは無謀です。高級車は雪に強いわけではありません。お金持ちの方は、名古屋で年に1度の雪のためにアウディやカイエンに買い換える必要はありませんから、スタッドレスだけは用意しましょう。それから名古屋の皆さん、雪の日はきちんと点灯しましょう!
それにしても、高級車を持っている人って、意外にセカンドカーを持っていないものなんですね。私がお金持ちなら、こんな日にベンツやレクサスに乗って泥まみれにするのは嫌ですから、小さくて小回りの利く(チェーン装着やタイヤ交換も楽)小型のセカンドカーを選ぶと思いますけど。