3月11日、今日の14時26分は穏やかな空模様の下、何事も無く時は流れて行きました。昨年のあの日は沼津駅で停車中の東海道線電車内ですが、今日は日本海側の直江津駅で発車待ちの「妙高」号車内でした。
1年前のあの出来事により、この国が抱える構造的問題が一気に炙り出され、一方で様々な意外なモノが存在感を発揮することとなりましたが、その重要性をを再認識されたものの一つが、北陸本線・羽越本線・奥羽本線を一括で呼称する「日本海縦貫線」では無いでしょうか。沿線住民の生活路線としてだけでなく、地味ながらも鉄道貨物ルートとして日頃から重要な役割を背負い、また震災で甚大な被害を蒙った東北本線や常磐線のバックアップを見事に果たしました。そんな日本海縦貫線ですが、北陸新幹線により並行在来線として細切れにされる日がもうそこまで来ています。細切れに三セク化されれば、運営主体の地方自治体間の温度差もあり、震災直後に運行された臨時石油輸送列車の様な迅速な危機対応はもう望めないかも知れません。今回東北本線の復旧が迅速に行われたのも、被害が大きかった区間が全てJR東日本の区間だったのが不幸中の幸いだったからと思います。
日本海縦貫線は東海道・山陽本線より地味な存在ですが、国の基軸となる重要路線である事は間違えありません。それを細切れにしてしまう計画は、危機管理上も再考願いたいところです。もし近い将来高い確率で発生すると考えられる東海・東南海・南海地震が発生して東海道・山陽本線に甚大な被害が及んでも、もうそれをバックアップするべく代りの鉄路は無いのですから…
(2012年3月11日 北陸本線 有間川-谷浜)