なんでも今年は日本で初めて「哺乳類」を研究する学術団体ができて100周年。そして日本の哺乳類が世界に紹介されるきっかけとなった「シーボルト」の来日200周年の年でもあるのです。
そんなワケで、現在「国立科学博物館 上野本館」では「企画展 科博の標本・資料でたどる 日本の哺乳類学の軌跡」展が開催されています。
初めの方に書いたように日本の哺乳類が海外で研究されるようになったのが「シーボルト」が来日。収集した動物をオランダ「ライデン市」にある自然史博物館へ送ったのです。その中でも、特に日本では「獣」と呼ばれている「四つ足」の陸上の動物たちはヨーロッパで知られているどの種にも似ていない特徴を持つ物が多く、その研究がすすめられ、ヨーロッパ中に紹介されることになったのです。
しかし、日本では全く哺乳類学が行われていなかったのか?と言われるとそうでもなく、「元禄文化」では「いろいろな毛色のネズミを掛け合わせてどんな毛色のネズミが誕生するかをたしなむ」のもあったそうです。ちなみに「メンデル」が「えんどう豆」を使った「優勢遺伝」の実験観察をしたのが1850年過ぎの事ですから、「学問」としては成り立っていませんでしたが、遺伝については解っていたのでしょう。
そして時は流れて「明治維新」を迎えると一気にヨーロッパからの学問が入ってきます。そこで日本でも「哺乳類」を研究する団体が誕生します。ただ、本格化するのは戦後になってからになりますが。
明治時代に「文部省」が発行した「博物図 獣類一覧」という掛け軸が展示されていますが、コレが結構な種類が紹介されており、分類もしっかりされているんですよね。また紹介されている動物にはこんな物もというのがあり「ラッコ」や「イッカク」、「カモノハシ」が紹介されているんですよ。
明治維新により外国人の研究者も多く来日し、日本の哺乳類の調査研究が始まります。それに習い日本国内でも哺乳類の研究が始まりますが、まだまだ本格的とは言えないようでした。
「哺乳類研究」に必要な物として「剥製」がありますね、この展示の後半は「はく製」についての紹介になります。
剥製と一言にいっても種類があり、一般的に知られている、生きている時の形状や姿勢を再現した内部構造を持った「本剥製」。研究用に袋状に毛皮を剥いだ後、中に綿を詰めて縫い合わせた「仮剥製」。さらに仮剥製よりも簡易的な作りで、袋状に剥いだ毛皮の内部に厚紙や木枠を挿入し平らな状態で乾燥させた「フラットスキン」。これに近いもので「なめし皮」の標本。骨も、哺乳類分類上重要になる「頭骨」のみや、生きている時のように骨を組み立てた「交連骨格」。しかし一番多いのは、組み立てずバラバラの状態で保管される事が多く、キリンだと4~5個程度の衣装ケースに収められるそうです。「標本」と言うと多くの方が思い浮かべる「ホルマリン漬け」。「液浸標本」があります。ただ、「液浸標本」を多くの方が「ホルマリン漬け」と言っていますが、アレ、ホルマリンじゃないんですよ。ホルマリンは確かに固定力が高いのですが、毒性が強く、哺乳類ですと「骨」の「カルシウム」が溶けだしてしまうので、多くの液浸標本は「10%のホルマリン」で仮固定した後、水で洗浄してから「50~70%エタノール」で保存します。なので正確には「アルコール漬け」なんですよ。
展示の方では、日本に初めて来た「キリン」。世界三大珍獣である「ジャイアントパンダ」、「オカピ」、「コビトカバ」の本剥製や、「仮剥製」の紹介ではライオンやトラの幼体があったりと、普段見る事があまりない「仮標本」があります。また最後の方では、資料としての「アマミノクロウサギ」の仮剥製とニホンカモシカの「体骨格標本」が入った衣装ケースがズラリと並べられています。なんでも日本で一番多い標本は「ニホンカモシカ」かも知れないと言われているほどだそうで2万点を超える数があるそうです。
ちなみにこの展示で私が一番気になったのは「世界三大珍獣」を選抜した「高島 春雄」氏の「珍しい動物」なる著書の表紙。「ユーディブテス属」のぺんぎんなのですが、コレが何か?って事でしたね。多分ですが「マカロニペンギン」だとは思うのですが、「シュレーターペンギン」のようでもあるんですよね…。
本日の登場人物は、「動物」なお話でしたので、この方。実家は「オーストラリア」で牧場を経営しており、幼い頃から家畜の世話をし、もって生まれた性格から動物の管理に長け、また本人も動物が好きだったので「野生動物保護官」している「オーストラリアン・キャトル・ドッグ」の「Chefille」である「カリーナ」さん。「動物学」も多少なりとも関係がある「カリーナ」さん。日本の哺乳類学術団体発足100周年という事で、標本・資料の展示を見て…。ちなみに背景が「企画展 科博の標本・資料でたどる 日本の哺乳類学の軌跡」の会場の一部なのです。
