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読書感想「罪の声」塩田武士

2019年08月15日 14時18分34秒 | 乱読本感想
講談社 2019年5月15日

★4

少し前、書店の人気ランキングの上位にいた本書、調べてみたら「雪の香り」を書いた作家さんだった。
京都が舞台というだけで選んだそれは私の中ではあまり評価が高くなかった。
彼の2作目として読む本書はどんなだ?
読み始めて、『あっ!グリコ森永事件を扱っているんだ!』
『えっ!?脅迫に子供の声が使われたって?・・・』創作かと思ったら事実、会社名は変えられているが、事件自体の内容は事実にもとづいているそうだ。
その事件の名前はよく知っているが、なぜだか詳細が分からない。
その時、私はいい年した大人だった筈だが何故これ程記憶が無いのだ?と、その年代を見たら、人生で一二を争う忙しい時だった。
だからまずはグリコ森永事件を勉強しようと思ったら、この事件、色々あり過ぎてWikipediaでざっくりと内容を拾うだけでもかなり時間をとられた。

本当の事件であったことと創作の人たちが絡み合って話が進む。
子供の時の自分の声が事件に使われたと知った曽根俊也と未解決事件を追うはめになった新聞記者の阿久津。
それぞれが事件を追い求める。
その過程は創作でしかないし、そんな偶然はないだろうと突っ込みたくもなるが、起こった事件の事実にうまく絡めて作られているのも事実。
そしていつの間にか創作の人たちのだけの世界になる。
描き出された事件の真実に居たかもしれない人たちの人生はけっこう空しいものもあった。
その中で未来に希望を繋ごうと行動する俊也や阿久津には清々しさを感じた。

それにしても、タイトルの“声”が実際の事件の子供の声だったとは。
それも3人。
そのようなことに利用された子供の人生は?
作者が子供たちの人生に思いを馳せるのが分る気がする。

読みながら、この作品は映画やドラマにむいているなぁ~と思っていたら、あらまぁ!2020年に映画が公開されるそうで。

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