途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「後悔病棟」垣谷美雨

2020年04月18日 17時59分03秒 | 乱読本感想
小学館 2017年4月6日

最近よく私の目にとまる”垣谷美雨”
暇つぶしには良かろうと買ってきた。
ファンタジー、平成版の「邯鄲の夢」と言ったところか。
4章+エピローグの5つの話からなる短編連作。
不思議な聴診器を持った女医が死期の迫った患者の心の声を聞き、後悔している人生のやり直しを体験させる。
その人がどんな人生を歩んできたのか?そのやり直しの人生はいかに?
そこに描かれるのは、ファンタジーではなく垣谷美雨的人生、そこここに転がっているシビアな現実。
とは言え、やり直しの人生を体験した患者は自分が実際に歩んできた人生を受け入れ安らかに死を迎える。
ひとりにつき2つの人生が描かれているので、短編の筈なのにけっこう読み応えがある。
その上、主人公の女医の人生を顧みることもさせ、恋(?)模様まで描き出す。
かなり良い暇つぶしができた作品だった。

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読書感想「震える牛」相場英雄

2020年04月13日 20時26分19秒 | 乱読本感想
小学館 2013年5月8日

警察ものミステリー。

けっこう生真面目でハード。
主人公である警視庁捜査一課継続捜査班の田川警部補や記者の鶴田、被害者である獣医師の赤間の性格や行動がそうである。
田川やその部下が未解決事件の再捜査をこつこつと粘り強くする姿は好感が持てる。
捜査の中で現れる大型ショッピングセンターの地方進出がもたらす影響や食品偽装が描かれる。
震える牛と言うからにはBSEか?
それが加工食品に使われるとかって話だと嫌だなぁ~と思いつつ読む。
そういう事にはならなかったけれど・・・殺人事件の犯人も理由も分ったけれど、まさかの、後味悪い事件の解決!?
いやいや、逆転!になるのか!
そこは描かれていないが、正義は勝つ!になると良いな。
ところで、プロローグとエピローグに同じ文章が出てくる。
「幾度となく、経済的な事由が、国民の健康上の事由に優先された。秘密主義が、情報公開の必要性に優先された。そして政府の役人は、道徳上や倫理上の意味合いではなく、財政上の、あるいは官僚的、政治的な意味合いを最重要視して行動していたようだ」
これって、今現在の新型コロナの対応のようだなと思った。
いつの時代も、と言うことなのだろうな。

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読書感想「神去なあなあ夜話」三浦しおん

2020年04月07日 09時20分19秒 | 乱読本感想
徳間書店 2016年6月3日

「神去なあなあ日常」のその後の話があるそうなので読んでみた。
すっかり村になじんだ勇気くんの日常と心温まるエピソードが綴られる七夜分のお話。
第一夜の神去村の起源、スタートからなかなか印象的だった。
どこにでも転がっているような話だが、ちょっと官能的な味付けがなかなか。
”愛”なんだなぁ~
二夜三夜・・・どれもちょこっとホロリとする情景や言葉がある。
そして最終夜、勇気の周りの人たち総出演のクリスマスの様子、これが笑えて泣ける。
まんが日本昔ばなしをちょっと大人用にしたといった感じ、日本人がどこかで聞いた神話や言い伝えの様なモノ、それを信じるとか信じないとかでなく感じる心があればより楽しめると思う。
総じてベタと言えばベタ、でも神去村の人たちや勇気の日常はこれでなきゃね。

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読書感想「いなくなった私へ」辻堂ゆめ

2020年04月01日 20時16分25秒 | 乱読本感想
宝島社 2016年2月4日
暇つぶし本を探していた時に見つけた”このミス大賞”のロゴ。
ミステリー好きの私はそれについつい反応して手を出してしまう。
昨今はハズレが多いとモンクを言う割には買ってしまう。
買ってしまったが、期待はしていなかった。
このミス大賞の大賞受賞作ではなく優秀賞受賞作だったし、”辻堂ゆめ”なんていかにもの若い女の子が書いた作品なんてさ、と思っていた。
ごめんなさいm(_ _)m 大変失礼いたしました。
導入、若い人が書いている感じだよね~と思いつつ、どんどん引き込まれた。
”この先どういう展開になるんだ?”
ジャンルを問わず、私が読書をする上での一番の楽しみがそれだ。
自分が死んでいるのか?
死んだのならどうして?
インド奥地の”輪廻転生の泉”の伝説話を織り込み、カルト教団を登場させる。
おどろおどろしい話かと思えば、主人公、上条梨乃や佐伯優斗、立川樹、十文字智仁がやけに優しくて爽やかでカッコよく、おまけにミュージシャンだの芸能事務所だの、若者受けするコミックを読んでいる様な気分になる。
そしてそれが映画化ドラマ化されたのを観ている様な気分になる。
色々な要素を取り入れているが、これがちゃんと辻褄が合うようにできていた。
そして最後は感動。
巧いな~、若いのに巧いな~、作者の年齢も知らないのに思った。
調べてビックリ!
ほんとに若い!そして東大卒!
このミス大賞には他にも東大卒がいたような気がするが、この東大卒、辻堂ゆめにはちょっとやられた。
他の作品を読みたいと思う。

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