途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「お隣さんが殺し屋さん」藤崎翔

2019年11月17日 13時49分59秒 | 乱読本感想
KADOKAWA 2017年11月25日

デビュー作「神様の裏の顔」を読んで以来、いつか大化けするんじゃないかと興味を持っている作家さん、藤崎翔の作品。
相変らず軽妙な語りで、田舎から上京した専門学校生の女の子とその隣の部屋に住む”殺し屋さん”の日常が描かれる。
ニタニタとしながら読み、これはラブコメなのか!と。
”殺し屋さん”はその仕事をしているようなので紹介の通りユーモアミステリーでいいのか。
まぁ、普通にその類の話だと、犯人は誰だ?!的に読んでいく。
ところが!
357ページの文庫本の302ページになって、『えっ?!えっ?!えっ?!何が起こったんだ???』『えっ?!どういうこと???』
数ページ行ったり来たりして、あぁ、そういう仕掛けだったのか!
それでこそ、”藤崎翔”だ!
ネタバレで話したいけれど、絶対それはダメな話なのでここで終わる。

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読書感想「国境事変」誉田哲也

2019年11月16日 09時53分48秒 | 乱読本感想
中央公論新社 2010年6月

最近、たて続けにシリーズものの過去を読むというのをやったら面白かった。
今回も、「ジウ」シリーズと「歌舞伎町シリーズ(分類ではジウシリーズらしい)」に登場する東刑事の少し昔の作品を読んだ。
「歌舞伎町ダムド」で描かれた東刑事に興味を持った。
陰のある強烈な正義感を形作ったのはどんなことがあったからだろう?
本作品にはジウとか歌舞伎町、姫川シリーズにみられるエログロは無かった。
罪悪感を持たないで読めたが、硬質で暗かった。
こういうのをハードボイルドというのかな。
表面に現れた事件の裏で、在日、北朝鮮、アメリカ、刑事、公安、それそれの立場、それぞれの正義が交錯する。
昨今の事情の裏でこのようなことが実際に起きているのだろうかとの興味がわく。
国境の島、対馬の事情も興味深かった。

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読書感想「七十歳死亡法案、可決」垣谷美雨

2019年11月09日 09時53分28秒 | 乱読本感想
幻冬舎 2015年2月10日


先日、垣谷さんの「うちの子が結婚しないので」を読んだ。
他の作品も読んでみたいと思っていたら出あった!
なんとまぁなタイトルで山田宗樹の「百年法」を思い出した。
それはかなり荒唐無稽な設定だったが、日本の未来を憂いて書かれたものに思えた。
本作も荒唐無稽な設定とは言え、こちらは少し現実に近い。
老人介護をしている専業主婦、自己中で能天気な夫、介護から逃げる近親者たち、引きこもりの息子、介護される老人はワガママ、日本中に転がっている現実。
そこに非現実の法案。
法案は可決され施行を待つ時間、そこで人は何を思い、何をするのか?
この作品、衝撃の内容で暗くて重いのか思いきや、意外にも・・・
介護を放棄して自立することを選んだ東洋子。
それまで頼り切りだった家族は、逃げていた現実にたち向かわなければならなくなる。
それぞれが起こした行動で法案は?
正直、それは理想論だと思う結末だったが、このタイトルでバッドエンドはきついからそれで良かったのかな。
本当はそうなることを私も望んでいる。


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読書感想「黄緑のネームプレート」赤川次郎

2019年11月04日 06時23分56秒 | 乱読本感想

光文社 2019年9月20日

今年も爽香の秋が来た。
46歳。
毎年思うことだが、読む方も書く方もよく厭きないなぁと。
もう習慣になっているんだろうな。
今年の「黄緑のネームプレート」、読んでいて感じたのは『あれっ!今年はちょっと硬派な感じだな』、社会派というかリベラル派というか、ちょっといつもと違う感じ。
今年、「東京零年」を読んだせいなのか、そう感じた。
いつもはやたら不倫だの殺人だのが重さもなく起きて物語が進むのだが、今回は引き締まった感じがする。
政府やら総理やらの為に情報操作を行う官邸御用達作家に立ち向かう爽香。
爽香シリーズにそれが必要かどうかは別として、結構良かった。
硬さの中において、爽香のまわりの女性陣の華やかなこと。
みんな一本筋が通っていてキリッとしている。
爽やかな人たちが心地良かった。

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読書感想「チルドレン」 伊坂幸太郎

2019年11月03日 08時39分37秒 | 乱読本感想
講談社文庫 2007年5月15日

「サブマリン」を読んでから~の、そのシリーズの始まりを読んだ。
陣内と言う男の成り立ちとその周りの人たち、特に盲目の永瀬に興味があったから。
と言うより、色々と謎が多くて、それの説明を始まりに求めたのだ。
2つの作品の発表には約10年の開きがある。
「サブマリン」からさかのぼること10年前の”陣内”は?その周りの人たちは?
短編集「チルドレン」は単純に10年前の陣内とその仲間たちが描かれてはいなかった。
伊坂作品によく見られる同じ登場人物が出てきても時間と主人公(語り手)がそれぞれに異なり、そして短編集と言いつつもそれを1編の長編と言ってもいいような作りになっている。
学生の陣内もいれば家庭裁判所調査官になった陣内いる。
その陣内は「サブマリン」の陣内と変わらない。
迷惑で変な奴だけど魅力的(?)で興味をそそられる。
が、「サブマリン」で気になった色々な”謎”はほとんど、いや、まったくと言っていいくらい解明されない。
ただ言えるのはその”謎”が「サブマリン」では陰を落としている様な作りになっていたってこと。
あぁ~、色々知りたい!
次の陣内が描かれる作品を待つしかない。
が、簡単に教えてくれるような伊坂幸太郎ではない。
と、「チルドレン」の直接の感想ではないな。

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