途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「人間の顔は食べづらい」白井智之

2018年08月16日 10時06分07秒 | 乱読本感想
KADOKAWA 2017年8月25日


★3


“文字”で出あわなければ絶対に読まなかった本だと思う。

文庫の最後、角川文庫ベストセラーを見ていたらなんともインパクトのあるタイトル、そして内容。
【「人間の顔は食べづらい」安全な食料の確保のため、食用クローン人間が育てられる日本・・・】
『はぁ!?何だこりゃ~?』
【横溝賞史上最大の問題作!!】って。
好奇心を刺激されてしまった。
即、Amazonクリック。
その時、初めて表紙を見た。
『あっ!これっ、本屋さんでは絶対手に取らない。ってか、近寄らない系の本だ!』
が、好奇心が勝った。
ノーベル賞作家、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」だって、「君の膵臓をたべたい」だってあるし~

読んでみると、それ程高尚でも胸キュンでもなかった。
『あぁ、横溝正史賞だったね(後で知ったが、受賞していない)』
エログロ、ホラー。
救いはそれが“文字”ってこと、頭で映像に変換しなければ読んでいける。
殺人事件なども起こるが、私の興味は“何故に日本は日本人を食べるんだ?どうしてそうなったんだ?”だけ。
最初、そうなったことの説明はあったが、あまりにも薄っぺらで稚拙な設定で、最後まで読めばその奥になにか在るのかと思っていた。
何も無かった。
最後まで読めたのはただただ私の好奇心で、だけだった。
ただ、好奇心を刺激したものは間違いなく在ったと思う。


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映画感想「天空の蜂」

2018年08月14日 10時30分55秒 | 日本映画感想
20年ほど前に原作を読んだ。
東野圭吾作品を読んで初めて面白いと思った作品だった。
その後、東野さんは有名になり色々な作品がドラマや映画になった。
でも、この「天空の蜂」は映像化できないと言われていた。
ずっとそういうものなのだと思っていたら映画化されると聞いた。
そして、やっと映画作品を観ることができた。
正直、20年前に読んだ原作を事細かく覚えてはいない。
でも、原作で面白いと思ったその感じはちゃんと映画にあった。
原作には無かった筈、のようなこともたくさんあった。
それはその後に起きたこと(3.11とか)が大きく反映しているのだろう。
原作を読んだ頃には、想像はできたけれど(チェルノブイリはあったから)、娯楽として読んだ。
それが現実になるとは。
原発事故があった後も、大半の国民は電力供給が少なくなって、暑いとか、寒いとか、目先のことだけで、根本の問題は見て見ぬふり。
そう、映画の中で描かれていた。
私もそのひとりだと指摘された。
そういう観ている人に突きつけてくるものは原作より大きいと思った。
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読書感想「水曜日の凱歌」乃南アサ

2018年08月09日 17時27分35秒 | 乱読本感想

新潮社 2018年7月28日

★5

夏になると必ず書店に並ぶ戦争関係の本。
無意識に避けているが、夏にはやはり読まなくてはいけないのだろうと変な義務感から手に取ってしまうことがある。
14歳の少女が主人公らしい。
「14歳の少女」と「進駐軍相手の特殊慰安施設」という文字でこの本で語られるであろうことが想像され、好きな乃南アサさんの作品だが、読む前から重い気持ちになった。
が、そこは“変な義務感”で読んでいく。
東京空襲後の惨状から始まる物語は想定内。
ただ、乃南さんの描くそれは、やっぱり巧い人が書くとこう描かれるんだと。
舞う埃の中に肉体を失った「誰か」を感じるって表現にゾクッとなった。
母と娘(鈴子)だけになった時から本当のこの物語が始まる。
頼りなさそうだった母親の真の姿が現われる。
力のありそうな“男”を利用し、したたかに生きていく姿が描かれる。
が、それはあくまでも娘、鈴子の目から見た母親の姿であるのが興味深い。
敗戦直後、「RAA:特殊慰安施設協会」が作られる。
そういう組織と目的は知っていたけれど、まさか、終戦の瞬間にそれが作られていたとは知らなかった。
そこで通訳として働くことになった母親と行動を共にする鈴子が体験したことは、想像していたこととは違った。
違ってはいたけれど、そういうことは描かれる。
母親のおかげで鈴子は衣食住においては恵まれた立場にいた。
母親の仕事や“男”のことにたいして反発しながら、何もできない自分に苛立つ。
多感で好奇心旺盛な14歳が感じたこと、思ったことがストレートに描かれている。
そして、鈴子が出会った女性、モトさんとミドリさん、戦後に活躍した女性たちの象徴として描かれているのか、賢くてとても魅力的だ。
「---パンパンだろうが何だろうが、あたしたちは人間なんだっ、この日本で生まれた、日本の女なんだよっ!おまえら男たちがだらしないばっかりに、こうしてあたしらが、後始末をしなけりゃあ、ならないことになったんじゃないかっ」
「---日本の男ども!誰もかれも、女のまたの間から生まれたくせに、その恩も忘れやがって、利用するときだけしやがって!戦争中は『産めよ殖やせよ』で、戦争に負けた途端に、今度は同じまたを外人どもに差し出せとは、何ていう節操のなさなんだっ!---この国を駄目にした男ども!女の一人も守れないで、何が日本男児だ、馬鹿野郎っ!---」
ミドリさんが切った啖呵の小気味良いことったら。
戦争を体験した日本の女の大多数はそう思ったんじゃないかと。
さすが、女の気持ちを分っていらっしゃる乃南さん。

とは言え、
私の両親も祖父母も、本当の意味での戦争は体験していない。
戦争には行っていないし、田舎ゆえ空襲もなかった。
もはや戦後ではないと言われた時代に生まれた私は、本や映画、ドラマでしか戦争を知らない。
知らないけれど、女の気持ちが解るのはやはり繰り返し、疑似体験をして来たからだろうと、思う。
8月はそういう月だと思う。


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読書感想「終電の神様」阿川大樹

2018年08月07日 09時59分57秒 | 乱読本感想
実業之日本社 2017年2月2日

★3

帯の“第1位”という文字に惹かれ、買っていた。
よく見たら
・第9回エキナカ書店大賞
・amazonミステリー・サスペンス部門
の、第1位だって、そういう大賞があるのを知らなかった。
ついでに作者、阿川大樹さんも知らなかった。
漠然と若い人だろうと思っていたけれど、そうでもなかった。
が、肩書きは何気にすごい人だった。
東大卒、野田秀樹と「夢の遊眠社」を立ち上げ、日本の有名企業のエンジニア、シリコンバレーのベンチャー設立。
そういう人はどんな話を書くんだろう?
1話を読んで、悪くはないけれど、特に面白くもない。
2話は直接的に1話に繋がっているのだろうか?
違うようだ。
3話を読んで、初めて、終わりでちょっとキュンとした。
恋人たちが幸せでありますように!
事故で止まった同じ電車に乗っていた人達の話だろうと思ったが、ビミョウに違うようだ。
4話も短いのに、なぜか家族の長い歴史を読んでいるようで、最後はベタなエピソードだったけれど、泣けた。
5話6話7話、それぞれは違う話だったけれど、小さく繋がっていた。
ちょっと悲しくて、でも不幸せではなくて、7話の「ホームドア」まで読んで感じるのは偶然から起きたのはささやかな幸せ(人によっては大きな幸せかも)
それに感動する。
ベタだけどほっこりした。
大作ではない。
エキナカで買ってちょこっと読むのには良い感じ。


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ドラマ「女子的生活」のロケ地巡り

2018年08月05日 11時44分49秒 | 日本ドラマ感想
なぜかドはまりしてしまった「女子的生活」
原作を読み、ロケ地巡りまでやっている。
とは言え、最近あまり遊びに行っていない神戸で遊ぶというのが本当の目的、かも。

★プレみきちゃんツアー
みきちゃんを知らない人と、王道のメリケンパークへ。
「BE KOBE」とかFISH IN THE FOREST~TOOTH TOOTH×そら植物園~とか、他にも映像に映っていた場所がいっぱいあったけれど、盛り上がりはなかったな。





★みきちゃんツアー第1回目
女子的仲間とまずはメリケンパークへ。
みきちゃんが最終話の最後に、颯爽と歩いていたオリエンタルホテルへ続く道からスタート。
同じBE KOBEを見てもテンション上がる!
そして、メインの場所、神戸税関の向かいのKIITO。
KIITOの中にはみきちゃんの痕跡がいっぱい。
みきちゃんたちがお茶していた不思議なカフェも、そのままあって、ムフフッ。
KIITOから北上、後藤と歩いていた東遊園地のオブジェとか、1話のオープニングで赤い風船が引っ掛かっていた木とか、咲いている花は違ったけれど、楽し~
みきちゃんの彼女、ゆいちゃんが勤めていたセレクトショップ設定のロクガツビル。
そして、2人がお茶してたグリーンハウスアクアを訪ねて終了。



















★小田和正コンの合間に
神戸在住の友達と遊んでいて、地元民御用達のバスに乗って、「合コン会場、タワーマンションの傍を通りますよ~」と。
新神戸駅の南、バス通りにその建物、神戸芸術センターはあって、あまりにも近すぎて、3階くらいまでしか見えなかった。
で、その横にカラフルな遊具がある公園が見えて、「あっ!あの公園だ!」

★みきちゃんツアー第2回目
女子的仲間とまず向かったのは神戸芸術センター、探さなくても新神戸駅の前にそびえてた。
その傍にある生田川公園の遊具もすぐそこだったけれど、暑すぎて、ドラマと同じように写真を撮ろうとしたけれど、断念。
適当に撮ったら、同じアングルは無かった~
次は垂水センター街。
ドラマでは夜の撮影だったこともあり寂れたシャッター商店街だと思って行ったら、けっこう人が歩いていて賑やかだった。
で、みきちゃんがよく立ち寄っていたコロッケ屋さんへ。
コロッケ2個買って、ひとくちだけ食べて、「これ、みきちゃんが食べたんだよね~」と。
コロッケ屋さんの横の路地、ここは本当にシャッター商店街、入り込むと、あらまあ!鏡と落書き!ドラマのまんま。
探すのに時間がかかるだろうと思っていたけれど、あっさりクリア。
次の目的地、須磨海浜水族園。
ここでは展示に夢中になってしまい、とりあえずミノカサゴと水槽を撮っただけ。
何十年ぶりかでピラルクにあって大感激だった。

と、みきちゃん、みきちゃん、の様だけど、実はちゃんと神戸の美味しいところには行ってます。
あらためて、神戸のスイーツやパンは美味しい!












★みきちゃんオプショナルツアーGoogleEarth
みきちゃんの故郷、香住は公共の乗り物だと6時間くらい、車で3時間近くかかるのでさすがにお気軽には行けない、ということで、GoogleEarth。
香住駅とか喫茶店は直ぐに行ける。
駅のカニの爪オブジェもちゃんと見えた。
みきちゃんがバスから降り立った所はどこだろう?
そこから歩いている映像を見ると、橋を渡っている向こうに「遊覧船のりば」の看板と土産物屋さんらしきものが。
と、いうことは海沿いにある橋と遊覧船乗り場を探せば良いんだ!
さすがに他ではなく、香住だろうと地図をたどって、それらしきところでストリートビューに切り替えたら、あらまぁ!みきちゃんが歩いて橋だ!
逆方向に向かうとバス停、そこから見る景色もドラマのまんま。






書き込みを見ても、神戸在住の友達も特定できなかったみきちゃんのアパート。
さすがに無理よね~と思ってた。
久しぶりにドラマを観ていたら、みきちゃんのアパートのすぐ向こうを電車が走ってる!
そう言えば、塩屋でもロケしてたらしいという書き込みがあったなぁ~
垂水センター街と須磨海浜水族園の間の場所だし、あのアパートの雰囲気に合いそうな場所だったなぁ~と。
アパートは川の傍、背景に電車が走っている塩屋。
即、らしい建物が見つかって、ストリートビューで確認したら、ビンゴ!
もう、ほんとにGoogleEarthはすごいなぁ~




おまけ
私は「きみはペット」が大好きで、小雪&松潤、そして入山&志尊淳(偶然の志尊淳繋がり)を観てたの。
すごく気になったのはスミレちゃんが住んでいるマンション。
撮影協力の施設を調べてもそれらしき建物はない。
書き込みを見ると特定した人はいるらしいけれど、公表はされていない。
“神奈川県秦野市”もロケ地に上がっていたので、線路沿いの大きな集合住宅を調べたけれど該当は無し。
まぁ、分かっても行くわけじゃないし~と。
ある日、DVDを大きなテレビで観ていて、たまたまテレビの近くに寄った時、スミレちゃんのマンションの入り口が映った。
あれっ!?なんか書いてある!
不確かなアルファベットを何パターンか書き写し、検索をかけたら、あれれっ!?見たような建物が!
早速、ストリートビューで確認したら、ビンゴ!
川崎市の観光地でもない街に行くことはないけれど、その辺を散策して、満足の終了。



GoogleEarthはほんと楽しい。


と、昨夜、偶然みきちゃんのアパートを見つけたので、書いてみたわ。


ドラマ感想「女子的生活」

読書感想「女子的生活」
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読書感想「透明カメレオン」道尾秀介

2018年08月03日 14時40分37秒 | 乱読本感想
透明カメレオン (角川文庫)
道尾 秀介
KADOKAWA
2018年1月25日


★3

私の道尾秀介デビューは「向日葵の咲かない夏」だった。
このミスで話題だったので読んだが、上手いけれど気分がよくない作品だった。
だからその後は敬遠してきた。
「カラスの親指 by rule of CROW’s thumb」は読んだけど。
なのに、ミーハーな私は帯の“松坂桃李さん推薦!!”の文字と彼の写真で買ってきてしまった。
ラジオパーソナリティのキョウちゃんとキョウちゃんが行くバー「if」に集まる人達の話。
ムリした感じの明るさがある会話とエピソード。
上っ面だけの展開。
道尾秀介にしては稚拙だなぁ~と思いながら、この人はそんな作品を書く人ではないはず、これは何かを意図したものに違いないと読み進む。
登場人物たちの一見和気藹々とした雰囲気の中に、小さな哀しみも感じる。
道尾作品だからなのか、キョウちゃんとその友達の透明なカメレオンの話によるものなのか。
フワフワと作り物のように進んでいた物語に緊迫感が出てきた。
そして、「if」のメンバーが揃ってドキドキのアクションシ-ン。
みんなで力を合わせ、危機はは去った。
が、その後で、「if」のメンバーとキョウちゃんの真実が明かされる。
最初に感じたムリした明るさ、上っ面だけの話には訳があったのだ。
哀しみが大きすぎて、“if”=フワフワとした作り物の話をしなければ生きていくことが辛かった人達。
恵に言われるまま“人殺し”(本当に殺すわけではない)を手伝うって、あり得ない!物語とは言え稚拙!と思っていたけれど、それぞれが哀しみや痛みを経験していたからだったのね。
道尾作品3作目にして、やっと少し明るい作品に出逢った。


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