新潮社 2016年6月26日
★4 2018年3月27日
最後まで読んで、大泣きしながら最後まで読んで、どう感想を書いたら良いのかと悩みながら書き始める。
不思議な話で、作家のセンセイのところに手紙が届くところから始まる。
〈センセイ、僕たちを助けてください〉〈僕たちはゼツメツしてしまいます〉だから僕たちを小説にして逃げ込む場所を与えてくださいという内容。
手紙の送り主はタケシと言う少年。
その後に書かれていることは、小説なのか?小説の中の小説なのか?
イジメや親子兄弟の関係が上手くいかないで、自分が絶滅しそうだからと逃げだしたタケシ(中2)、リュウ(小5)、ジュン(小5女の子)
逃げ出したけれど、彼らは冒険の末、家に戻ってくるのか?
家出中に出会った人たち、途中で、『あれっ!?これって、「きみの友だち」の恵美ちゃん!?』カタカナのエミだけど、大人になった恵美ちゃんがいる!
他にも、カタカナの名前で登場する人がいるけど、これって、重松清さんの作品に登場する人たち!?恵美ちゃんみたいにはっきりと覚えていないけれど、こんな人がいた気がする。
成長している恵美ちゃんや他の人に会えて嬉しい!
家出したゼツメツ少年少女は彼らによって、絶滅しないで生き延びることができるのか!
ちょっと懐かしくて嬉しい気持ちで読み進む。
それぞれの言葉や思いが優しくて、時に鋭くて、心に響く。
後半にさしかかって、新たな女の子が登場した。
漢字表記の美由紀、小説の中の人?小説の中の中の人?
この辺からなんだか、妙な雰囲気になってきた。
ここから“ネタバレ”
いつもはここまで踏み込まないけれど、今回は。
ページが進む度に子供たちの運命について、不安になり、嫌な気持ちになってくる。
えっ!?まさか、ゼツメツしているのか!
じゃ、手紙はだれが?
そうか、タケシの優秀なお兄ちゃんだったのか!
いじめられっ子で自分の思いを上手く伝えられないタケシが書いた手紙にしては、秀逸過ぎると思っていた。
お兄ちゃんの悔恨の情から始まった話だったのかと思ったら、もっと次があった。
もっと哀しい話。
“センセイ”は小説家ではなく、美由紀ちゃんのお父さんだった。
そして、もうふたりともゼツメツしていた。
センセイは先生の友達だった。
先生が亡くなった友達の為に書いた話。
哀しい話だ。
話だから哀しくしなくてもと思っても、現実は変えられない。
変えられるのは気持ちだけなのか。
残された人は想像しながら生きていくしかないのかな。
よく分からない。
ただ、書いた重松清さんの気持ちにも“なにか”あったようだ。
連載終了後、4年半経ってからの単行本。
「覚悟」が満ちるのを待ってからの刊行だったそうだ。
乱読本感想リスト タイトル【さ】行
乱読本感想リスト 作家【さ】行