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読書感想「おかえり横道世之介」吉田修一

2024年05月19日 18時48分16秒 | 乱読本感想
中央公論新社 2022年05月25日

「続 横道世之介」を書店で目にした時、胸がチクリとした。まだ読めないなと思った。
そして、再び目にした「おかえり横道世之介」ではチクリが少し小さくなっていた。
”おかえり”は”続”の改題だそうだが、”おかえり”に後押しされて読んでみることにした。
「横道世之介」を読んでから10年は経っているが、”おかえり”を読みだすと、そこに生きている世之介があの時のホンワカとした空気をまとって現れた。
あの時より少し大人になって24歳だが、『なんだかも~~~、何やってんだ!』と突っ込みを入れたくなったり、『そうそう、これが世之介だよな~』と納得したりしてしまう。
世之介が息子だったら心配だが、近所のお兄ちゃんだったら良い人過ぎて嬉しくなってしまうだろうな。
最後の方に登場する写真家のおじいちゃんが口にした言葉「善良」は確かに世之介にぴったりだ。
善良な世之介ワールドにずっと浸っていたいと思っていても終わりはやってくる。
が、今回、思ったのは、24歳の世之介の1年間がこれだけ広がっていくのなら、世之介がいなくなるまで、途方もない時間があるじゃない!もっと、もっと世之介のことが分かるじゃない!と。
吉田修一さんに書いていただければ、横道世之介は永遠になる!


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