途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「AX」伊坂幸太郎

2020年05月26日 10時17分23秒 | 乱読本感想
KADOKAWA 2020年02月21日


単行本が刊行されて、この作品は評判を呼んでいた。
が、文庫派の私としてはその内容に触れないようにしてきた。
そして、やっとその時が来た!
あぁ~、殺し屋シリーズだったのか。
“AX”って“斧”だったのか。
「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く3作目。
今までのイメージで読んでいくが、今までとはちょっと違う雰囲気。
ハードボイルド感があまりない。
やけに奥さんに気を遣う、いや、怖がっていると言ってもいいような殺し屋“兜”
兜は家庭を持ち表の仕事をしながら裏の仕事もしている。
が、今、裏の仕事を辞めたがっている。
シリーズに登場する殺し屋さんたちは皆、生い立ちは不幸だ。
兜もだった。
でも、結婚し、息子も産れ成長し、その間に兜は幸せを知った。
人を慮る事を知り、自分が無機質にこなしてきた殺し屋という仕事で殺された人やそのまわりの人の気持ちを考えるようになった、それ故の廃業。
まぁ、そう上手くはいかない。

ネタバレしないと感想が書きにくい。
伊坂作品は何もないところから読みたいと、私は思っている。
ただ、これだけは、“この作品、泣けた!”

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読書感想「沖縄コンフィデンシャル ブルードラゴン」高嶋哲夫

2020年05月22日 09時22分01秒 | 乱読本感想
集英社 2017年2月17日

シリーズ2作目。
前作では犯人は分っても逮捕されることもなく、小さな謎も回収されることなく終わっていた。
それがどうなるのか?
本作では危険ドラッグをめぐる事件が起きる。
暴力団、中国マフィア、米軍基地関係者、そして警察、沖縄という特殊地域を背景に、ハードにスリリングに展開する。
よくある警察モノとは思うけれど、登場人物たちが若くて個性的でその関係性が興味深い。
生まれも育ちも東京だが沖縄をこよなく愛する警察官、反町。
ハーフで、失踪した海兵隊員を父に持つ警察官、ノエル。
警察庁から出向しているエリート警部の赤堀。
アメリカ海兵隊のミニタリーポリス、ケネス。
今回は事件関係者としてノエルの父親の事が描かれる。
危険ドラッグの捜査の中で浮かび上がる”血”、人種差別。
その中で犯罪が生まれ、苦悩が生まれる。
でも、反町の様な青年もいる。
明るく素直な性格が仲間を力づける。
その”血”をものともしない彼が愛したのはやはり”血”でスポイルされてきた愛海。
ふたりの関係はどうなっていくのか?
とりあえず、ノエルの問題は解決したわけではないが解明された。
赤堀には前から関わっている軍用地の問題がある。
副題の”沖縄コンフィデンシャル”はまさにこれだろう。
そして、ケネスの実力が気になる。
沖縄の陰の部分と若者たちの行く末が気になる。

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読書感想「沖縄コンフィデンシャル 交錯捜査」高嶋哲夫

2020年05月15日 19時35分48秒 | 乱読本感想
集英社 2016年03月23日

高嶋さんと言えば災害3部作、そして昨今は「首都感染」、有名どころは読んでいたが、自粛生活が続き今まで読んでいなかった作品を読んでみようかと。
これまで読んだ本は”地震”だったり”津波”だったり、災害が主人公といった感じだったが、本作は”人”が主人公。
事件が起き、それを捜査する警察官、よくある警察モノ。
ただ、舞台が沖縄ということで、その特殊性が色濃く出てくる。
米軍基地の存在。
ニュースなどで知っている事、そして、その裏が描かれる。
捜査する側の人間模様、される側の人間模様、関係がちょっと濃い感じがするのは沖縄だからなのだろうか。
興味深く読んでいけた。
が、最後まで読んで、あれっ?事件は解決してないじゃん!
あのことはどうなった?
あの人たちの関係は?
いろいろ謎があったのにそのまんま???
とりあえず、殺人事件の犯人は分ったが逮捕された訳ではない。
上下巻の上を読んだだけの様な中途半端加減。
まぁ、シリーズものみたいだし、既に続編の「ブルードラゴン」もここにあるし、自粛生活中だしね。

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読書感想「日本沈没 第二部」小松左京+谷甲州

2020年05月09日 14時09分28秒 | 乱読本感想
小学館文庫 2008年6月11日

見かけて、二度見して、『えっ!?第二部?』
こんな本がでていたんだ!
”日本沈没”という言葉が頻繁に使われた時代、私はそれを読まなかった。
と言うか、流石に若かった。
ずっと経ってから興味本位でSMAPの草彅くん主演という映画を観たのが初「日本沈没」だった。
その映画は過去に作られた映画のリメイクで、原作の「日本沈没」とどのくらいかけ離れているのかもわからなかったが、とにかく「日本沈没」をクリア(?)したつもりになっていた。
リメイク映画でさえ過去になっている「日本沈没」はすっかりSFの古典と言った感じだが、それの”第二部”って。
とにかく読んでみよう!
「日本沈没」から25年経った現在(その現在でさえ、今から言えば十数年も前だが)、日本人がどう生きているかが描かれる。
日本の土地はもう無い。
だが、世界中に日本人という人々とそれを束ねる政府は存在している。
国が無いのに政府があるって、ちょっと不思議な感じがした。
世界中に散らばってしまっても、多くの人々が日本人というアイデンティティを持って生きている。
極東の島で形成された日本人という特異な集団、それを形作った土地が失われてもなお残る日本人という精神、ユダヤ人との比較も描かれ、とても興味深い。
日本が沈没してしまうSFと言うより、日本人とは何ぞや?と語られているようだ。
後で調べて知ったのだが、元々は「日本人が国を失い放浪の民族になったらどうなるのか」がテーマで、日本列島沈没はあくまでもその舞台設定だったとのこと。
なるほど。
第一部に当たる「日本沈没」はなんと壮大な設定、プロローグであったのだろうか!

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