途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「シンデレラ・ティース」坂木司

2019年07月28日 09時19分00秒 | 乱読本感想
光文社 2009年4月9日

★2
「ホテルジューシー」を読んだ時に本書の存在を知った。
「ジューシー」の主人公、ヒロちゃんの友達ってどんな子だと、ちょっと興味を持った。
ヒロちゃんはとってもしっかりとした女の子だったが、友達のサキちゃん(叶咲子)は?
サキちゃんは両親やまわりの人に愛されて成長した女の子で、邪気が無い。
主人公としてはあまりにも優等生でちょっと面白みに欠けるが、坂木作品は基本的に“邪悪”な人はあまり出てこないから、こんなもんか~と。
歯医者さん嫌いのサキちゃんがお母さんの策略で行き始めた歯科医院受付のアルバイト。
歯科医院のスタッフはみんな良い人、そこに来る患者さんも、分かってみれば普通の人ばかり。
サキちゃんが患者さんの“謎”を解き明かすというので、本書は推理小説という事になっているらしい。
「和菓子のアン」と同じように、殺人事件などという“邪悪”なことは起きない。
些細な引っかかりが解明される、のみ。
ガッツリ推理小説が好きな私には物足りない。
まぁ、そういう話だろうと分かって読んだんだけどね。
最後に、本書は「ホテルジューシー」から派生した作品だと思い込んでいたが、実は本書が最初だったと言うことを“あとがき”で知った。
姉妹作品だという2作、主人公2人の性格が作品に反映されてる所は興味深いと思った。


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キム・ジェウクのファンとして観た映画感想「蝶の眠り」

2019年07月25日 11時07分00秒 | ジェウクさま(キム・ジェウク)
中山美穂の活躍と同じ時期に生きていたけれど、まったく興味が無かった。
だからジェウクが出ていなければ観なかったと言うより、知らなかっただろうこの映画。
興味が無かった人が主演で、その相手役のジェウクを“鑑賞”するためだけに借りてきた。
映画としてはまったく期待していなかった。
ところが、意外に良かったのだ。
期待していなかっただけに、反動として評価が少し高くなっているのかもしれないが、映画作品として良かった。
まず、画面が美しい。
木々の緑が、小説家の古びた家が、その中のたくさんの本が、静かに光を発しているようだった。
その美しい背景の中で美しく動くのがジェウクだけではなく、中山美穂も美しかったのだ。
彼女が演じる中年女性の佇まい。
発する言葉や行動、着ている服のセンスの良さ、中山美穂は知らないのでそこにいるのは“涼子”なのだろう。
韓国人留学生チャネとの出会い、淡々と進むストーリー。
最初は景色や人の美しさだけに目を奪われていたけれど、涼子のアルツハイマーが進行していく中で彼女が自分の将来、チャネの将来を考えて出した結論。
大きな愛=別れ。
別れのシーンからはずっと涙涙。
まさかこんなに泣く映画だとは思っていなかった。
ジェウク鑑賞という観点からするとこの映画はジェウクにとっても合っていたと思う。
静かな佇まい、一瞬出る内の熱さ、とろけるような微笑、そして少し古風な日本語、ジェウクの良さがそのまま作家志望のチャネを作りあげていた。
2年後のシーン、成長を遂げたチャネのメガネ姿、これが私的にはけっこうツボだった。
韓国人がよくかけている太い黒縁フレームではなく、メタルフレームがより知的なジェウクを演出していた。
あと、中山美穂を相手にしているからなのか、大人びたジェウクがなぜか幼く見えた。
涼子をじっと見つめるシーンとかね。
登場人物も少なく比較的解りやすい映画だったが、飼い犬のトンボがその後どうなったのか、それ以前にあの大きなラブラドールレトリバーの名前がトンボって、そこが知りたかったなぁ。
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読書感想「ダブル・フォールト」真保裕一

2019年07月14日 17時00分20秒 | 乱読本感想
集英社 2017/10/20

★4
私の中で真保裕一と言えば「ホワイトアウト」と「奪取」、それを越える作品にであいたいと思いながらかれこれ20年。
さあ、これは・・・
結論から言えば、越えないけれど、ガッツリと読めて、面白かった。
新米の弁護士くんとベテランの弁護士先生、殺人事件の弁護、こういう話の導入としては普通な感じだが、分かりやすく読みやすい。
その中で、小さな引っかかりを残していく。
それがどう転がって、どういう結末を向かえるのか?
誰の、何を信じるのか?
ワクワクする。
そして、法廷シーン。
ベテラン弁護士、高階の言動が圧巻。
さすが真保裕一!
でも、ここまでで半分。
まだ話が終わらない。
どういう展開になるのか、真保裕一だからね。
引っかかりがどうなるのか?
ネタバレはしないけれど、真保裕一だったね~、巧い!


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