小学館 2015年9月8日
★3
BOOK OFFで見つけて『えっ!荒木さんの作品にこんなのがあったんや!』『えっ!映画になってたんや!藤原竜也にユースケ・サンタマリアが出てる!!』
まったく知らなかったのでビックリした。
ちょっとワクワクして読み始めた。
あぁ、“あの”探検隊のパロディなのか!?
“あの”と書いたが、私は1度も観ていない昭和の“川口浩探検隊シリーズ”だ。
ただ、放送翌日にはちまたで話題になるのを『あほくさ』と聞いていた。
“あほくさ”っと思ったそこの裏が描かれる。
半日で行ける距離を1泊かけていかにも奥地に分け入ってます。
洞窟に実際にはいない蛇を連れてきて、金色スプレーをかけたり、3匹くっつけて3頭の蛇にしたり・・・安全な場所での探検を揶揄する話!?
と、突然、反政府軍のゲリラ3人が現われる。
緊迫した場面!
あれれっ!?いつの間にかゲリラを巻き込んで、真剣にインチキ探検の撮影が始まる。
その過程で撮影隊とゲリラの交流が始まり、そしてそれぞれの背景が描かれる。
めでたく番組が完成!で終わり、ならば普通のそこそこ面白い話。
ここからはネタバレ。
帯にも、文庫の紹介文にも書かれていない。
解説者もネタバレはしていない。
この物語は探検隊の安全なインチキ冒険物語ではなかった。
最後になって、それまでゲリラが出てくるけれど誰も死んでいなかったのに、一気にたくさんの命が失われる。
共に洞窟で過ごし撮影した撮影隊とゲリラたちのその後の生き方が変わる。
革命が起きる。
そして、最後の最後に語られた話は・・・この話、結局撮影バカの話だったのか!?
長い話ではないのに、短く語られたところが長い話だった。
深い話だった。
と、ネタバレを最小限にとどめて感想を書いてみた。
これ、なかなか豪華なキャストで映画になっているが、映画紹介をちょこっと見たら政治的な部分はカットされ、「川口浩探検隊」「藤岡弘探検隊」のパロディ的内容になっているそうだ。
だとしたら、原作とはまったく違ったものになっているんだろうなと思う。
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