途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「クスノキの番人」東野圭吾

2023年08月27日 14時17分44秒 | 乱読本感想
実業之日本社 2023年04月07日

コロナ感染が拡大する中、それなりの年齢である私は初めて「遺言書」を書いた。
もちろん財産があるわけではない。
その時のために、その後のためにとの思いからだった。
書いていて思ったのは、実務的な事は当然必要なことだが、本当に自分が伝えたいことはこれではないなと。
溢れる思いを伝えたいが、この“思い”を伝えるのは言葉ではない気がした。
心を丸ごと伝えられたら良いのになぁ~と思った。

今回、この物語を読んで「そう!これこれ、私はこうしたい!」と思った。
“祈願”しようが“祈念”しようが、現実では叶わないことだ。
でも、伝えたい人がいる多くの人たちの思いはこんな感じだろう。
東野さんとは長い付き合いだが、彼もそんな年齢になったのかなとちょっと思ったりした。

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読書感想「腐葉土」望月諒子

2023年08月05日 15時51分02秒 | 乱読本感想
集英社文庫 2013年4月19日

「蟻の棲み家」「神の手」「腐葉土」と読んできて、今回初めて”木部美智子“すげ~と思った。
資産家老女の死から始まる話しだが、その死の真相を探る木部美智子のフリージャーナリストとしての姿勢が小気味良い。
対比するように描かれる新聞社、雑誌、テレビ局の人たちの考え方の違いが興味深い。
考え方は違うが、お互いに利用し利用されながら真実を探していく姿は皆、真摯で好ましい。
そういう人たちを選んで木部美智子は共に行動しているようだ。
この話は単に犯人捜しをしているわけではない。
殺された老女の生き方に注目している木部美智子、老女の“孫”の存在が気になる亜川がそれぞれの興味の追求によって真実が解る。
この真実がすごいなぁ~、ここで作者、望月諒子がすごいなぁ~と感じる。
この物語、老女が殺されたと言うだけでなく、老女が体験した関東大震災、東京大空襲が詳細に描かれる。
人の命が簡単に失われた中で、生き残った彼女がなりふり構わず生きてゆく様も描かれる。
その上に、弁護士の事故死、大学の詐欺事件、成りすましが重なる。
これがどう繋がるのだろうかと必死に読んでく。
正直、望月諒子の表現は、私にとってちょっと難しい。
前回の「神の手」は正直ウンザリだったが、今回は面白いのだ。
だから、食らいついて読んでやる!
結末は、どのエピソードもちゃんと繋がり、それぞれの生き方に、善し悪しはともかく感動した。

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