途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「サブマリン」伊坂幸太郎

2019年10月26日 09時14分28秒 | 乱読本感想
講談社 2019年4月16日

★5
『陣内、何て奴なんだ!泣かせてくれるじゃないか!!!』と最後の方は泣きながら読んだ。
負けず嫌いで、変なところでこだわるむちゃくちゃはた迷惑な人と部下と友人に言われる陣内は家庭裁判所調査官という仕事をしている。
家裁調査官の仕事は一言では言えないけれど、この物語では事件を起こした少年たちに関しての調査をしている。
部下の武藤視線で語られるのは一見つかみどころのない変な男、陣内。
無免許で事故を起こして人を殺してしまった少年、その少年の過去、それに連なる人たちを辿ることで浮かんできた”罪”はどう償われるべきなのか?ということ。
たぶん正解は出ないであろう問題を当事者がどう捉え、どう行動するするのか?
葛藤する加害者や被害者を助ける陣内と武藤。
内容は重いが、飄々とした陣内とそれに振り回される実直な武藤のやり取りが軽妙で読んで行ける。
陣内がとった行動、負けず嫌いで変なところにこだわった行動に心が動く、少年も、私も。
陣内、何気に謎がある。
友達夫婦と、3人の過去が気になる。
本作の最初の短編集「チルドレン」をまだ読んでいないのでそれに書かれているのかもしれない。
早急に読むべきだな。
そして、唐突に終わる最後。
若林青年にかかってきた電話の内容はどんなだ?
知りたいのにそれは語られない。
「バイバイ、ブラックバード」の最後と同じだ。
でも、それは”良い結果”に繋がるんだと勝手に思っておこう。
たぶんそうしろと言うことなんだろう。

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読書感想「危険なビーナス」東野圭吾

2019年10月16日 08時26分38秒 | 乱読本感想
講談社 2019年8月9日
★4
帯の”恋も謎もスリリングな絶品ミステリー!”の文字は確かにその通りだった。
単純に面白く読めた。
単純と言っても、謎はあるので色々と想像しながら読む。
失踪した弟、莫大な遺産、サヴァン症候群、フラクタル図形の絵画、何がどう絡んでくるんだ?
登場人物もひとりひとりが個性的。
突然現れた弟の妻という魅力的な女性、”危険なビーナス”というタイトルだから彼女が”危険”人物なのか?!
講談社の東野作品はこれの前が加賀恭一郎シリーズだった。
良いシリーズだったが、重さと少しの悲しさがあった。
それゆえ、読む方も気を引き締めて読まなければいけない感じだった。
その後の本作は、正直『あぁ~、面白かった』しか残らないが、楽しい時間をくれたと言う意味で良かった。
これはドラマになったら面白いだろうなと思いながら読んだ、読んだ後、このタイトルを検索したら”危険なビーナス、ドラマ化”というワードがあった。
考えることは皆同じと言ったところか。
でも、今のところそれは読者の願望だけのようだ。

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読書感想「うちの子が結婚しないので」垣谷美雨

2019年10月13日 08時59分20秒 | 乱読本感想
新潮社 2019年3月28日

★3

少し前、書店のランキングに入っていた。
私にとっては暇つぶしの軽い本だと思って買っていた。
何故なら、うちの子たちはとっくに結婚しているし、その結婚に取り立てて苦労はしていなかったから軽い気持ちで読めるだろうと。
移動中に軽く話題の本を読んでみようと言った感じ。
優越感に浸って読む程、根性は悪くない。
ほぼ一気に読んだが、軽い本ではなかった。
最後まで読んでホッとしたと感じた時に自分が少し身を固くして読んでいたのに気が付いた。
描かれている内容を自分の、娘たちの、姉弟の、友達の、友達の子供たちの、”結婚”に当てはめて緊張して読んでいたのだ。
本書は”子供の結婚”だけについて描かれているだけではなかった。
「結婚とは何ぞや!」
してもしなくても色々色々たぁ~~~くさんあるある嘆息。


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読書感想「シンメトリー」誉田哲也

2019年10月10日 14時41分01秒 | 乱読本感想
光文社 2011年2月9日

★4

私は短編をあまり読まない。
特に推理小説系は長編をガッツリ読みたいと思っている。
そうでないと面白くない!
姫川玲子シリーズもしかり。
ところが、この短編集は意外にも面白く読めた。
なぜか?
短編以外の姫川シリーズは読んできているので姫川玲子の人間関係も過去も未来も分かっている。
短編には描かれていない背景が頭の中に入っている。
だから姫川玲子の事件に追われる日常の一片が奥行きをもって読めたのが良かったのだろう。
結局長編小説を読んでいるような気持ちになったのだろう。
本作品はシリーズ3作目だが、3番目に本書を読んでいたらこれ程面白くは読めなかったかもしれない。
どの作品にも今より若々しいバイタリティーに溢れる姫川玲子が居て新鮮な気持ちになった。
それから、タイトルがなかなか興味深い。
一編読み終わる度に『あっ!そういうことね』とニタッとしてしまう。


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