途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「ある男」平野啓一郎

2022年02月19日 11時33分34秒 | 乱読本感想
文春文庫 2021年9月10日


最近は”映画化””ドラマ化”の帯の文字に惹かれて本を買っているようだ。
だからか作家さんを知らない事が多い。
平野啓一郎は初。
読売文学賞受賞の感動作でもあるらしい。
”序”で語る私は作家のようだ。
ちょっと独特な言い回しだが、読み始めるとすぐに引き込まれた。
”序”の後に、弁護士の城戸の、いや、その前に依頼者である女性、里枝の事がまず語られる。
再婚し、一児をもうけた相手、”大祐”が突然に亡くなったが、彼は戸籍にある”大祐”ではなかった。
相談を受けた城戸は”大祐”探しを始める。
謎解き、人探しミステリーか!?とミステリー好きの私は思ったが、単純にそうでもない展開になる。
戸籍の交換、他者になると言うことで変わる事、変わらない事。
本当の自分の存在はどこにある?
”大祐”を追うことで、城戸も自分の存在意義を模索する。
久々の文学作品は少し難解で、初めて読む作家さんの背景も知らないので、多用される在日コリアンとか関東大震災朝鮮人虐殺とかの意味することも重要なのかと考えたりで、読み進むのに時間がかかってしまった。
でも、苦労し放浪していた”大祐”の心に3年9か月の幸せがあったと言う結末にたどり着いて、私も幸せに思えた。

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読書感想「ミッドナイトスワン」内田英治

2022年02月06日 18時28分43秒 | 乱読本感想
文春文庫 2020年7月8日

≪ネタバレ≫です。
以前、元SMAPの草彅くんがトランスジェンダーの役をするというニュースをちょこっと観ていた。
草彅くんなら上手く演じるんだろうなと思ったが、忘れていた。
書店で草彅くんの化粧した顔と上映中の文字が入ったカバーの本書を見つけた。
”切なくも美しい現代の愛を描く、奇跡の物語”との内容説明もある。
とりあえず買ってきたが、これはノベライズ本なのかな?
調べてみようとしたら、関連ワード”ミッドナイトスワン死因”という文字が目に入ってきた。
『あぁ~、そういう結末なのか~ 奇跡の物語じゃないのか!?』とちょっとテンションが下がってしまった。
写真の草彅くんの顔をした”凪沙”を思い浮かべながら読んでいくが、重苦しい内容だ。
心と体が一致しなくて行き場のない哀しさを持った凪沙と育児放棄され夢をしらない一果の出逢いは上手くいくように思えたが、
一果も友達ができバレエという夢も持てたが、
なんで、親友のりんが屋上から飛び降り、育児放棄した母親が一果を連れ戻しにくるかなぁ~
もう、みんな病んでいる。
でも、凪沙と同じ境遇だった瑞貴は政治家を目指し、バレエの先生実花は一果を世界に送り出そうと尽力する。
この人たちの強さが凪沙にも欲しかった。
ラスト、浜辺の場面、一果が天国の二人に会うと海に入る。
肩まで水に浸かった時、白鳥が飛び立ち太陽に向かって飛び、消える。
私はこの場面をどう解釈したらいいのか悩んだ。
死が一果を支配したのか?
夢に向かう決意をしたのか?

とりあえず、映画がどうだったのか、検索した。
映画では外国で踊る一果のシーンがあったようだ。
まぁ、”奇跡の物語”だもんね。

最後に、映画「ミッドナイトスワン」の異例の925秒予告というのが公開されていたのでそれを観た。
暗いな~


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読書感想「増山超能力師大戦争」誉田哲也

2022年02月06日 16時23分49秒 | 乱読本感想
文春文庫 2020年6月10日


以前、「増山超能力師事務所」を読んだ時の感想に長編が読んでみたいと書いていた。
ちょっと期待しつつ読み進む。
何だか・・・増山超能力師は誉田作品の中では緩くて軽いイメージ(実写ドラマではココリコの田中さんが主演だったし)を持っていたが・・・どうも、ハードな感じになった様な・・・
超能力関連技術が国家的なモノになり、技術者や超能力師たちが開発に勤しむ。
当然、暗躍する人たちも出てくる。
争うのは普通の人たちだけではなく、超能力師、超能力関連技術。
昨年読んだ初期の作品「アクセス」の様な感じもある。
一応、増山超能力師探偵事務所が受けた仕事は解決するが、それ以外の、波乱を予想させる芽が出てきた。
間違いなく、増山超能力師の次回作が出てくるのだろうな。

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