途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「神様の裏の顔」藤崎 翔

2017年06月27日 10時38分08秒 | 乱読本感想

KADOKAWA/角川書店 2016年8月25日

★3
2017年06月27日 10:35
ピカピカの帯に「第1位、横溝正史ミステリ大賞受賞作」とある。
それじゃ、読まなくっちゃ。
初めて見る人だが、経歴は?
ほぅ~「お笑い芸人として活躍」とある。
お葬式がテーマの作品は多くある。
これも似たような作品といえるが、ところどころにちりばめられた“クスッ”と笑えるネタとテンポは流石お笑いの人が書いた作品だ。
亡くなったのは稀にみる人格者の元先生で神様のような人だった。
誰もが必要以上に彼を偲んで涙する。
「いい人だった」「いい人だった」と。
でも、タイトルは「神様の裏の顔」だったよね。
ひとりが引っかかりを覚え、それがひとり、またひとりと広がりあっという間に「実は殺人者!」という流れになる。
上げて下げて、さあどうなる?
サスペンスとして凝っている訳ではないが、何人かの登場人物がそれぞれ語る形式で、彼らのその内容はなかなか面白い。
で、謎解き。
上げて下げて、さあ大どんでん返し!
“大”と言うほどではなかったが、1度ではない返しは頑張っていた。
最後、ここで終わりにしないでもっと続けて欲しかったと思う。
そうすれば、まだまだ面白くなると思うのに。
でも、デビュー作でこれだから先が楽しみだ。
「私情対談」「こんにちは刑事ちゃん」、文庫になり次第読む予定。

ピースの又吉直樹さんが芥川賞を受賞した。
その影響で、本作品と思ったが、どうも「火花」とそう変わらない時期に書かれた作品のようだ。
益々のご活躍を!


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韓国ドラマ「エンジェルアイズ」感想

2017年06月25日 11時16分18秒 | 韓国ドラマ感想
最近、私は韓国ドラマを昔のようには観ていない。
飽きたからというのではない。
観ていて気分が悪くなるものが多いから嫌になったのだ。
もちろんそういうものは過去にも普通にあった。
ただ、韓国に何の興味もなかった私にとって、そういう気分の悪いものを含めて韓国を“知る”という“興味”で観ていられた。
でも、さすがにもう解ってきて、そういうものは観たくない、と。
そんな中で、この作品は完走できた。
たいてい子役が出る時代で挫折する。
虐めだとか差別だとかが韓国的にヒステリックで、子供がそういうのをやるのって(また上手いんだ、子役の演技が)キツイ。
で、ムリ!ということになる。
本作は、子役時代というのが、ほぼ高校時代。
普通は障害者や片親だと激しい差別というパターンだが、それがほぼ無い。
ドンジュとスワンの初恋、そして、ドンジュのお母さんの深い愛情。
微笑ましくて優しい時間。
ドンジュとスワン役の若い役者さん、カン・ハヌルくんとナム・ジヒョンちゃんの2人が、イキイキとしていて可愛くて本当に良かった。
だから大人時代になってかなりがっくりきた。
なんの恨みもないんだけど、私はスワン役のク・ヘソンさんが苦手というより大嫌い。
ストーリーも他の役者さんたちも、みんな良かったのに、もう、最後まで嫌だった。
昔ほどあざとい(私がそう感じる)演技ではなかったけれど、嫌だった。(ファンの人、ごめんなさい)
19話の“ありえなかった未来”の場面でナム・ジヒョンちゃんがけっこう長く出てきた時、あぁ~~この子が最後までやっていたら良かったのに~、カン・ハヌルくんも良かったのに~(けっして、イ・サンユンさんが悪いということではなくて)と思いながら観ていた。
まぁ、ストーリー的に2人は若すぎたんだけど。
若いと言えば、ドンジュの妹役のユン・イェジュちゃんが可愛かったなぁ~
そして、彼女に恋するテディ役にスンちゃん(BIGBANGの)、どうってことない役を普通にされていました。
めでたく終了。


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読書感想「ブランケット・キャッツ」重松 清

2017年06月22日 09時10分57秒 | 乱読本感想

朝日新聞出版 2011年2月4日

★3
2017年06月13日 15:33

ドラマになると書店に積まれていたので、それより先に読まなくっちゃ、と。
レンタル猫のお仕事先の物語。
1匹1匹、猫の物語ではなく借りた人間の物語ということになる。
重松さんらしい、切ない物語が多い。
短編なのに長く感じたのはその奥に自分の物語や自分ちの猫や犬の物語を重ねたせいだろうか。
ドラマの1話分としてはちょうどいいだろうが、がっつり長編が読みたい。


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読書感想「虚ろな十字架」東野圭吾 

2017年06月22日 09時00分30秒 | 乱読本感想

光文社 2017年5月11日

★3
2017年06月08日 16:54

東野さんはたまに答えを読者に投げかけてくる。
犯罪被害者が犯人に望むこと、
望むことと望んだ結果が同じとはかぎらない。
また、望んだ通りになったとしても、被害者側の気持ちははれるのだろうか?
犯人の贖罪の気持ちはどう受け取られるのだろうか?
そもそも、受け入れられるのか?
問いかけられるだけで、答えのない作品。
救われない、救いようのない作品。
小説としては上手くまとまっているし、破綻のない作品だと思う。
が、読んでいる間、読んだ後、気持ちが落ち込む。


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読書感想「アキラとあきら」池井戸潤

2017年06月06日 10時28分13秒 | 乱読本感想

徳間書店 2017年5月17日

★5
2017年6月6日
これはもう、文句なく楽しめる。
2人の“アキラ(あきら)”の幼少期から壮年期までの長い歴史がドラマチックに綴られる。
ページ数はかなりあるが、最初に引き込まれ、そのまま一気に最後までいける。
“アキラ(あきら)”の動向に引きつけられる。
1人の“アキラ(あきら)”の物語でも十分に面白いのに、それが2倍だからどのページもワクワクする。
彬と瑛、2人とも社長の息子だが、片や海運会社経営者一族の御曹司、片や町工場の息子。
父親の工場がつぶれた瑛は当然苦労して育つが、お金には不自由しない彬にも苦難が。
環境は違うけれど、どちらもとびきり優秀で、そして温かい人間味に溢れている。
青年になった2人の出会い。
大手銀行と企業が舞台になり、2人が敵対するのか!?と思っていたら、そんな単純じゃなかった。
“敵”は“時代”と言ったらいいかな、バブルからその後の不景気。
企業を救うことは人を救うこと。
2人の“アキラ”、その仲間たちは自分の育った環境から学んだ力で企業を、人を、救う為に奔走する。
戦隊ヒーローのようだ。
と、書いたらチープな物語のように思われるかもしれないが、あの“半沢直樹”の池井戸さんの作品だよ。
ハラハラドキドキして、最後には爽快感がやってくる。
半沢直樹のような勧善懲悪物語ではないが、正しい人の正しい考えが貫かれて気持ちがいい物語だった。
現実ではこうは上手くいかないだろうというのは分かっているので、フィクションだからこその気持ち良い結末が嬉しかった。

ドラマになるそうだが、ドラマも良いドラマであって欲しい。


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