モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

光の中で

2024-07-10 22:12:37 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

この夏遂に日傘デビューしました、ナツメです。本日は水曜大人クラスより増村さんの作品をご紹介します!

光の降り注ぐ大聖堂を描かれました。F10(高さ0.5mほど)という少し大きいサイズのキャンバスなので迫力満点です。

仄暗く描かれた聖堂内部からは、静寂で神聖な雰囲気が伝わってくるようです。画面には正面から見た教会の一部分のみが映っていますが、ドーム状の緩やかな曲線や柱の位置関係、絵の具の置き方などに非常に気を配って描かれたため後方の広々とした空間も想像することができます。

なんと言っても光が魅力的なこちらの作品。去年イギリスへ行った時聖堂をいくつか巡ったのですが、増村さんの絵のようにどこも薄暗く、電気照明で照らすのではなく主に外からの光に光源を頼っているのが印象的でした。今回の作品では天窓からの光に加えて両側の小窓からもうっすらと光が入ってきており、まるでスポットライトのようにキリスト像や、祈りを捧げる司祭を照らしています。

明るい紫を効果的に使ったコントラストも素晴らしい!チューブの絵具そのままの色味に頼っていた以前に比べ、色彩の扱い方がぐんと上達しているように感じるのは、おそらく「こんな絵にしたい」と強くイメージされているため、アウトプットが洗練されてきたのでしょう。雰囲気・空気感を捉えることに長けている増村さんの作品、次回も乞うご期待です!

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遊び心を加えて

2023-11-15 22:12:33 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

新しい手袋が欲しいです、ナツメです。
本日は水曜大人クラスの増村さんの作品をご紹介します。
下地にジェッソを塗って厚みを出した上に、元々描いてあった油絵を潰して描かれたので、かなりマチエールが効いています。空ひとつをとって見ても、色のみに注目するととあまり変化のないように見えますが、画面の凹凸によって同じ色が置いてある箇所にも表情の違いが生まれているのが面白いですね。

ちなみに、キャンバスはP8サイズですので、よく見るFサイズのキャンバスよりも横長になっています。パノラマサイズの風景を描くのに適した比率です。

MMarine (海景)
Paysage(風景)
Figure (人物)
Square (正方形)

MSの順でキャンバスの短辺が長くなり、面積が大きくなります。

マリンブルーや、海に映る色をどのように表現するかに、かなり長い時間掛けて試行錯誤されていました。右にいくにつれて暗くなっているため、コントラストが強くなり建物との風合いが強調されています。元の建物はベージュや白などの落ち着いた色だったのですが、色で遊んでみたいと全体的にサーモンピンクのような華やかな色合いにされました。また、川に面している壁は鮮やかに描かれていますが、影となる側面はピンクを暗くしたような紫や茶色ではなく、群青に近いブルーや緑を乗せているところにも遊び心を感じます。

今回は細部まで描き込むのではなく、色合いを調節しながら全体の雰囲気を意識して描かれました。遠近感や水の映り込みなど必要な部分は押さえつつも、敢えて窓などの小さなパーツはぼかすことで、風景を空気感ごと切り取って収めたような「景色」を描いた作品になりました。

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滲む寂しさ

2023-07-14 23:47:37 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、増村さんの油彩作品です。
どこかのお店のテラス席なのでしょうか、水平線を臨む美しい景観ですね。お客さんの姿は見えず、朧げな黄昏時の空も相まってか寂しい印象を与えます。奥には観葉植物が置いてあり、ランプも点灯している事から、お店自体は営業しているのでしょう。人気のない寂れたお店というよりも、この時勢ですから休業を余儀なくされている様にも思えます。かつては人が賑わい、ここのテラスも客さんでいっぱいだったのでしょうね。椅子やテーブルがお客さんを恋しがっているようにも見えてきます。

灰色の雲の中からほんのりと青やオレンジが透ける様な空、青い海に落ちる夕日の光はモネの『印象 日の出』を思い起こさせます。鮮やかな色だけが美しい色ではないと改めて実感しますね。抜けた空間(あまり沢山描き込まない部分)の空にもマチエールを効かせる事で、単調にならず見所にもなっています。
夕焼けの光を受けて浮かび上がる手摺りの色合いや、陽が落ちて暗くなっている床やテーブルの風合いも美しいですね。暗い部分は特に色作りが難しくなりますので、色選びには苦労されたかと思います。試行錯誤の積み重ねもあり、味わい深い陰の色に仕上がっていますね。

主役となる様な人物もいない風景ですので、どこに観た人の視線を集めるかが需要になっていきます。この作品ですと、真ん中の球体のライトですね。ここをハッキリと描き、奥に行くにつれて輪郭をぼかしています。また奥の手摺りや観葉植物などはかなり思い切って曖昧に描かれて、それにより画面にメリハリが生まれ自然と目線が奥へ導かれるようになっています。

増村さんのこれまでの作品を見てみますと、多くが鮮やかな赤やオレンジが印象的なものとなっています。今回の作品も赤と青の対比が美しい仕上がりとなっていますね次の作品ではどのような赤が見れるのか、または全く違った色合いになるのでしょうか?今から楽しみにしております。

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描き込みの違いが成功の秘訣

2022-02-05 18:12:31 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

岩田です。動画での作品紹介-第五弾です。
水曜夜間クラス増村さんの油彩ですが、北イタリアの教会(現在はワイナリー)を背景にしたファッションモデルを描かれています。
私が最初に印象的だと感じたのは、実は人物ではなく、赤い床とイエローオーカーの柱と壁。豚毛の筆でガサっとラフに絵具をのせただけの描き方が、なんとも魅力的であります!
それと対比するように金髪の髪を面相筆で丁寧に仕上げた仕事の違いが、お互いを引き立て合っているのです。
全てを同じ力で描いてしまっては、息苦しくなってしまいます。密度を変えたところが成功の鍵ですね。
増村さんは人物を描かれることが多いように感じます。ぜひ国籍・年齢など様々な人物にチャレンジしていかれてください。
ちなみに下は、小原先生が「こんなトリミングも素敵ですよね!」と勝手にいじったもの(笑)

YouTube、ぜひ皆様ご視聴くださーい!こちら

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街角のカフェにて

2021-06-08 21:07:56 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

あっつい!暑い!一平です!本日は水曜クラスの増村さんの油絵をご紹介します。

どこか外国の街並みを描かれています。オレンジ色のカフェが鮮やかに絵を彩ってくれています。手前のカフェに入ろうか迷っている2人も絵のアクセントとしてとても魅力的ですね。全ての建物を鮮やかにするのではなく、背景の建物や手前の大勢の人達は色を抑える事でより鮮やかさが際立っていて素晴らしいです。また、色を抑えるといっても色が薄暗く嫌な雰囲気に見えずに強い光が当たって霞んでみえてくるのだろうなというのがしっかりと伝わってきます。デッサンの鉛筆の黒だけで立体感を作るのと比べ、色のあるものの立体感はコントロールが難しいですが違和感なく見えてきて増村さんのスキルの高さを感じます。

実はこちらの絵、最初は石畳を一枚一枚丁寧にしっかりと描写していたのですが、後ろのオープンカフェの大勢のお客さんと相まって絵全体が少しごちゃっとした印象で見えていました。そこで絵の下の部分、石畳やお客さん、植木鉢を一気に暗くする事でオープンカフェの鮮やかな色彩や差し込む強い太陽光と、照らされた建物の影の中にいて暗くなっている人々やモノという関係性を作り、絵を見やすく構成し直しました。(噂では小原先生に半強制的にやらされたとか?!)でもどちらにせよ絵がもっと魅力溢れるものになったのであれば最高ですね。結果として活気のあるカフェにお客さんたちが集まってくる、というストーリーの絵になっていて(僕の勝手な解釈ですが)鑑賞していてとても面白いです!

絵を作るときにどこに力を入れるのか、逆にどこを力を抜いて描くのか、というのは絵のバランス、コンセプト、見せ方などを考えるときに凄く重要になってきます。「力を抜く」という行為は絵を描く上で全然ネガティブな行為ではありません!皆さん全力で力を抜きましょう!

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暗闇の理由

2020-08-25 22:16:52 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

冷房を作った人に全力のハグをしてあげたいです、一平です!本日は水曜夜クラスの増村さんの油絵をご紹介します!

今回描いたのはイタリアのバイオリン職人。マエストロ(maestro)の写真を撮ってこられ、それを元に制作しました。

何故、絵全体がここまで暗いのかというと、職人がバイオリンを作る際、暗い部屋の中で一方方向からスタンドで光を当て、わずかな板のカーブを注視しながら削っていくそうで、工房の中は昼間でも真っ暗にしているそうです。

やはり暗い中で作業をしている職人に目を奪われますよね。絵の中に主人公(この場合、職人)がいると、どこを見てほしい絵なのかとても分かりやすく、絵を見てる人の心にスッと入ってきます。寒色のライトではなく、暖色のライトにしたのも憎い演出です。寒色のライトでは暗い中で作業している職人がホラー映画の犯人のように恐ろしく冷たい人間に見えてしまいそうですが、暖色のライトにする事で職人の何十年もバイオリンを作ってきた情熱を感じられたり、暗闇の怖い、不気味といった印象を和らげて優しい雰囲気にしています。また、きちんとライトに近い物に光が強く当たり、ライトから遠い物に光が弱く当たっているので、暗闇の中でほとんど足元が見えていない状態でも距離感を感じさせやすくなっています。

増村さんは今まで人物+美しい背景で魅せる絵が多かった印象でしたが、今回このように人がメインになっている、しかも背景もほとんど暗闇といった絵の中の距離感、見てる人への印象の伝え方(自分の絵をどう見て欲しいのか)が難しい題材を扱い、それを見事昇華し、ご自身の中の絵の引き出しを増やされたように思います。

自分の中の絵の引き出しを増やすために新しい挑戦や一歩踏み出すのには勇気がいりますが、まずはそこに飛び込む所からでしょう。確かに難しいかもしれませんが「ここにこの光が来るとこうなるのか」「この色は意外とこの色に合うな」と発見だらけだと思いますよ!

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マチエールの利いた油絵

2020-03-20 22:41:46 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

気持ちの良い天気の三連休ですね、大竹です。今回ご紹介させて頂くのは増村さんの油彩画です。
イタリアのレストランで食べた、こぼれ落ちそうな程トマトが乗ったバケット。以前私が開講させて頂きました【下地作りワークショップ】の技法を活かして描かれております。ナイフや筆でザクザクと絵の具を盛り付けていったマチエールの質感が見ていて気持ちいいですね。個人的にこうした絵の具たっぷりの油絵、大好きなんです。

全体が赤や茶系でまとめられていますが、その中に入っている背景の黄色やお皿の緑が良いアクセントになっています。この様に荒々しく絵の具を乗せていく描き方のをする場合、どこまで細かいところを描いていくかが重要になってきます。特にこうした背景にする場合、あまりメインもモチーフを細かく描きすぎてしまうと背景とかみ合わず浮いてしまい、かといって荒く仕上げすぎると全体がぼやけた様にも見えてしまいます。その描き込み具合のバランスが難しい部分だと思います。増村さんは、トマトや葉っぱなどは手前をしっかりと描き込み、奥に行くにつれざっくりと仕上げられています。

キャンバスがスクエアなのも面白いですね!小さめのモチーフを画面に大きく入れる時に、正方形のキャンバスを使用するとおしゃれに見えます。普段は皆さんFやMサイズを使っているかと思いますが、S(スクエア)サイズにも挑戦されてみては如何でしょうか?

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優しい光

2019-05-17 20:46:07 | 大人 油絵・アクリル


増村 油彩

小学生の時にピアノをやっていたと言っても信じてもらえません、一平です。
今回は水曜夜間大人クラスの増村さんの油絵をご紹介します!

少し朽ちているような印象の壁に女性が座り込みチェロが横たわっています。この女性はロシアのチェロ奏者のソロ・ガベッタという方をモデルにしています。
薄暗い空間の中を大きく黄色い壁面と青い床面に分割しています。実際は冷たい印象の打ちっぱなしのコンクリートですが、青などの寒色の他に緑・紫などの中明度の色、更にはイエローオーカーやオレンジ、ピンクを入れています。床面にも黄色のような暖かい色が入っていたり、と様々な色彩が散りばめられています。現実では全部同じモノトーンのはずが、表現者次第でこんなにもたくさんの色を使えるのがやはり絵の良いところですね。画面の全体的な明度は少し暗く見えますが、とてもポジィティブな印象を受けます。

そしてこちらの絵、なんといっても光が素晴らしいです!光の方向が分かりやすいのはもちろんですが、ここまでたくさんの色を使っていながら濁らず、明度が崩れないで光を保てるというのはなかなか出来ることではありません。
光は全てのものを視覚化する現象であるとされていますが、絵において光は現象ではなく表現する道具として使われてきました。見せたいものを強く見せるためのスポットライト的な光、全体を淡く表現するために曇り空の時の太陽のような弱い光、今回の増村さんの油絵も寒色の空間に優しい暖かい光を描くことによって全体の印象、さらには女性とチェロのパートナーのような信頼関係まで感じ取ることが出来るのです。

普段皆さんが絵を描く時「どんな色を使おうか?」、絵を見た時「この人はどんな色を使っているのかな?」など「色彩」で見たり、考えている方がいれば、次は「光」で見てみるのはどうでしょう。様々な光をコントロールできれば、色彩とはまた違ったアプローチで絵を描く事が出来ますよ!

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パリにて

2018-06-16 18:20:02 | 大人 油絵・アクリル

増村 油彩 

今日は少し肌寒い日でした・・。岩田です。

本日ご紹介するのは、水曜夜間クラスの増村さんの作品。
舞台はパリ。ご自身が旅行で現地に行かれた際に撮影した画像を見て描いたものですが、こちら撮ったものをそのままという訳ではなく、シチュエーションをちょっと変えてご自身で絵づくりをしているのです。

寒空の下、パリの街の川沿いにビビッドな赤のマフラーとグリーンコートを羽織った紳士が犬を連れて散歩をしています。その鮮やかないでたちが何とも印象的です。
暗く描かれた影の世界から徐々に明るく演出された道の奥に向かって歩いて行くその先には、カップルが仲睦まじくこちらに向かって歩いてきます。この両者が道半ばですれ違う時、お互い何かの言葉が交わされるのだろうか?といったまだ見ぬちょっとしたドラマをついつい想像してしまいたくなりますね。

紅葉した木々、川の流れに沿ってきちんと並んだ建物、それらの景色が映り込んだ川の描写もさることながら、人にもドラマ性を加味し見せ場を作りだしている魅力的な作品です。

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3月21日は突然の雪の日でした。

2018-03-21 23:24:47 | 大人 油絵・アクリル

増村  油彩  

水曜日担当の滝口です。
 今日は祝日でしたので授業も休みでしたが、まさかの雪!?この時期に真冬並みの寒さとは、何か気持ちまで逆戻りしてきてしまいそうです。でも桜も咲いてきたりしてるので、晴れたらまた春気分ですね。

 そんな天気の気持ちで、今日紹介する水曜日社会人の夜コースに通われる増村さんの作品を見ると、ちょうどピッタリ!!な気分になる感じですね。全体に白い建物やテーブル、カフェのカーソルも白で雪な気分。そして下の方には鮮やかな花が咲き、椅子は赤と、とっても春な気持ちになります。道路は建物が少し反射していて、雨上がりいや雪が止んだんでしょう。と、今回は一気に作品の紹介をしてしまいましたが、文章の構成を逆にしてみようと思います。 
 増村さんは、僕がアトリエミオスに来た頃はお休みなさっていて、ちょうど年末の忘年会にいらして、年明けからまたミオスの方に戻られた形でした。仕事帰りでしょうか毎回スーツにエプロン姿で描かれていて、一度油絵の具をスーツにつけてしまったりなどして、おっちょこちょいなところもあって、なんとも和やかな気分にさせてくれます。そんな穏やかな人柄か、絵もとっても穏やか・・・と言いたいところでしたが、僕はちょっと違った風に増村さんの絵を見てしまいます。

 実は、僕はこの作品を見ているととっても不安な気分になってしまいます。それは、増村さんも意識は決してしていないと思います。それは、この絵の道の先が、これから歩んでいかなくてはいけない人生のように見えるんです。見えそうで見えない先。そんな哲学的な気持ちにさせてしまうのは、増村さんが描くからこそ出てくるのかもしれません。言い過ぎてしまうと誤解がありますが、全くの意図がない絵は、逆に自由に見る人に解釈を与えていくのかもしれません。増村さんに意図が全くなかったとは思いませんが、それ以上に深読みをさせる内容に仕上がっていると思います。

 そんな僕の解釈は置いといて今回言いたかったことは、美術の鑑賞の自由さについてです。コンセプトや意図はしっかりと持った方がいいですが、それが過剰になると制作者の説明ばかりが先立ってしまって、見る人に息苦しさや強要があって興醒めしてしまうことがあります。逆に美術館などで鑑賞していると解説を求めてしまう人も多くいて、その作品を言葉で説明してくれないとわからないと思う人もいます。
【言葉が先か視覚が先か】これもまた哲学的な問いみたいになってしまってますが、う〜〜ん・・・
僕はどちらかというと、視覚を先に楽しんでいます。まず自由に視覚で作品を楽しんで、自分なりに解釈してみます。意図はなんだろう?描き方は?遠くから見るとどうかな?近くから見たらどうかな?とか色々楽しみます。タイトルなどはとりあえず後回し。その後タイトルを見たり、解説があれば読んでみます。そうするとまた違った発見があったり、もしくはがっかりしてみたり。美術鑑賞もしっかりと自分なりの楽しみ方を持って見ると、何倍も楽しくなりますよ。
今回の増村さんの油彩、ちょうどタイトルもないので、皆さんで色々と感じてみてください。

 でも、最後に一言技術的な魅力を付け加えると、増村さんの塗り方がとても僕は素敵に感じてしまいます。 増村さんの辿々しい描き方が逆に魅力的なんです。ペインティングナイフのみで描き進めたり、あまりホワイトだけで描き進めるのは勧めませんが、それもまた僕には魅力に感じていました。美術は色々な楽しみがありますね。

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光の画家!

2012-08-26 04:57:00 | 大人 油絵・アクリル
P8261031増村  油彩 20号キャンパス(73×60cm)

酒井です。学生たちはそろそろ夏休みも終わるころでしょうか?「明日から学校・・・・・」としょんぼり気味に言う学生たちの顔が忘れられません。

さて今日は、水曜夜クラス増村さんの作品をご紹介します!旅行の時にご自分で撮られた写真を元に、フランスの路地の風景を描かれました。前回のブログ記事が9月だったので、そこからだとすると・・・・・約1年間!?20号という大画面にじっくり描いた超大作です!増村さんが個展を開くとしたら、まず間違いなく代表作となることでしょう。

過去の作品もそうですが、増村さんの描く光の美しさにはいつも惚れ惚れしてしまいます。壁に、石畳に、ビニールのテントに、人物に、あたる光の色がとても多彩で美しい!光の表現は、ものを立体的に描くためにとても重要な要素ですが、絵の中の空気感や雰囲気を伝える上でもとても大きな要素。同じ風景でも、昼と夜では全く違った表情を見せますし、季節によっても変化します。カラリと晴れていて、上着を着るのにはちょっと暑い、外を歩くのには調度良さそうなある日の午後。そんな雰囲気が絵から滲みでてくるように感じられますよね。涼を求めてこの日陰の道に入って行きたい、足を踏み出したらスッと入りこんで行けるんじゃないか、そんな気さえしてしまいます。奥にいくにつれてしっとりと馴染んでゆく石畳は、さんさんと降り注ぐ光の温かさと対照的に、ひんやりとした安諸を与えてくれます。

画像では分かりづらいのですが、壁や石畳のマチエールにもかなりこだわり、どうしたら手触りまで伝わるようなリアルな壁になるだろうか!と何度も削って塗り重ねて、試行錯誤されていました。これぞまさに油絵の魅力!この作品、10月の展覧会で直接見て頂けると思いますので皆さん是非お楽しみに!遠くから近くから、じっくり見てみて下さいね。(いくら触れてみたくても、お触りは厳禁です!)

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光を感じる色彩

2011-09-18 06:02:00 | 大人 油絵・アクリル
Hune_2


増村  油彩



酒井です。学生は文化祭の時期らしいですね。うちの大学でも、ちゃくちゃくと芸術祭の準備が始まっていて、なんだかそわそわした雰囲気です。


さて、今日紹介するのは、先日完成した増村さんの油絵です。歳島洋一郎の「サンタ・マルゲリータ」の模写に挑戦されました!アムステルダム、パリ、ベニスなど北欧、南欧の風景をのびのびとした筆触で描くこの画家は、増村さんのお気に入りなのだそうです。スッと一筆で色をのせていったかのような独特のタッチを再現するのに毎週四苦八苦されていました。色彩豊かに見えるのに、色を沢山重ねてしまうと何だか印象が合わない・・・と色をとったり紙やすりでけずってみたり。


その苦労の甲斐あって、原画に勝るとも劣らない一枚が完成しました!目に痛いほど真っ青な海の色、立ち並ぶ建物の優しい色彩、港に降り注ぐまぶしい太陽の光まで感じるような鮮やかな色彩を見事に再現されていて、実際の風景をこの目で見てみたい!と思わされます。もう夏も終わりですが、ポカポカした気持ちになれる一枚をありがとうございました。増村さんは次も、外国の風景を描いた油絵を制作中です。次の作品もお楽しみに!

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私もモチーフ

2011-04-15 20:01:13 | 大人 油絵・アクリル
Masumurapari増村 油彩

前方に白いテーブルクロスと料理、そこでゆったりした時間を過ごすカップル、後方にはガラスに映った手前の像と向こうに見える景色…多くの人が探り当てることができるであろう、これぞ正統派なフランスのイメージ。
油絵の具にまだ慣れず、手法としてはぎこちない部分もありますが、増村さんの描きたかったフランスのレストランの雰囲気(料理の匂いや会話の声、流れる時間)は十分伝わります。
白いテーブルクロスの清潔感が前面に出るように、風景を化粧仕立てで改変するのではなく、周囲の世界があからさまにならぬよう少々暗く改良しました。とくにガラスに関しては終始背景の形態と色彩に工夫を凝らしながら制作しました。
そんな過程もあり、この絵の中の人物は主役ではありません。風景のしかるべき場所に所属しているモチーフのひとつでしかないのです。ですので男性はテーブルクロスに溶け込んでいますし、女性の顔も描きませんでした。
この効果により見る者はあたかも隣の席で食事をしているかのような気分になれるのです。あるがままの世界の姿を借りて、増村さんの理想とするあるべき世界を築き上げる。この絵の前でワインを飲んだら、きっと私もしかるべき場所に所属するモチーフとしてすんなり溶け込むことでしょう。   オバラ

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抜けるような空間

2010-09-08 04:20:00 | スタッフ講師
Masumura増村 油彩
窓からは一面に海が広がるリゾートのカフェ。どうせ毎日暑いなら、こんな爽やかな場所へ行ってずっとのんびりしていたい赤尾です。
旅行好きの心をくすぐるこの風景、実は増村さんの記念すべき一枚目の油絵だと聞いたら、皆さんびっくりされることでしょう!
まずモチーフの写真が「うわっ、描くのが大変そう・・・!!」とひと目で思ってしまうようなパースの嵐!
モノトーンのデッサンで習作を描き、全体を把握してからの着彩。また下地に彩度の高い赤や緑を使い、その上から写真通りの色を置いてバランスを取っています。手前にある暖炉や木のテーブルに鮮やかな下地の色を残して絵に重みを感じさせることで、奥に抜ける空間がスカッと気持ちいいです!デッサンと違い着彩は明暗の他に色の彩度にも気を使って進める必要がありますが、最初の油絵でここまでテクニックを使いこなせるとは・・・!
実はこの絵を描くために増村さんは地道にパースやデッサンの練習をされていました。立方体を色々な角度から観た図を模写したりと、地道な努力あってこその力作です。光るセンスで勝負されている女性陣が多い水曜夜クラスの中、増村さんは努力の秀才型ですね!ぜひお互いに刺激を受けながら絵を描いていただきたいです!

今週ミオスに来られた方はご存知かと思いますが、今アトリエは展覧会に向け着々と皆さんの作品が集まっています。
そのため少々模様替えをしており、制作途中の大人クラスの皆さんの絵が小学生クラスの油絵のようにズラーっと並んでいます!
他のクラスの生徒さんの作品も観ることができ、皆さん興味深々で眺められています。たまにはこんな制作過程がわかるアトリエプチ展覧会(もしくは展覧会予行演習?)も楽しいですね!まだの方はぜひご覧になってみてください!


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