サトルです。学生・大人クラスは希望者のみ日本画を制作しているのですが、まさかこんなに沢山の方に日本画を描いて頂けるとは思っていませんでした!(壁面に掛けてある描き途中の日本画を数えたら100人程でした!)感激です!ということで今回は日本画講座【描き出し編】です!

まず最初にパネルに和紙を貼りましょう。やり方は普通の水貼り(小原先生の水貼り動画↑はこちら)と基本的には変わらないのですが、日本画では「袋張り」という和紙の張り方をします。水貼りテープを使わず、パネルの側面に糊を塗り、そこに直接和紙を貼り付ける張り方ですね。パネルの側面まで和紙が見える様になって格好いいのと、固着力が強すぎないので絵の具を厚く塗ったりした時に紙が縮むのに合わせて動いてくれます。ミオスでは澱粉糊(でんぷんのり)で貼りましたが、日本画家は生麩糊(しょうふのり)を使います。

墨で骨描き+薄墨濃淡
パネルに和紙が貼れたら、まずは墨でデッサンをしましょう。墨で線を描くことを骨描き(こつがき)と言い、墨でトーンを乗せることを隈取(くまどり)と言います。現代では油絵の様に厚く岩絵具を塗るのが主流なので、骨描きの線は残らないのですが、昭和初期頃までは絵具を薄く塗り墨の濃淡を生かして形や質感を表現していました。

刷毛で地塗り
骨描きと隈取が終わったら次は地塗りです。地塗りで使うのは岩絵具では無く、水干絵具を使います。水干絵具とは胡粉などを染めて作られる絵具で、染めて作られているので色の種類が多く、さらには混色することも出来る便利な絵具です。水干を細かく砕き、膠を数滴入れ、ダマが無くなるまで混ぜます。水を少しずつ加えながらさらに混ぜていき、好みの濃さまで薄めてください。刷毛にたっぷり染み込ませて丁寧に塗り、乾く前に濡れていない乾いた刷毛で軽く撫でるとムラが無くなります。薄く塗って骨描きを透かせたい時は一度画面に水を引いておくと絵具が乾きにくくなって薄く引き伸ばしやすくなります。

背景もしくは下地作り
日本画は伝統的な描き方を重んじますが、時代を重ねる度に「日本画」というジャンルは広がって来ました。地塗りの後、骨描きの線通りに丁寧に塗っていく人もいれば、油絵の様に大胆なベースを塗って描いていく人もいます。ここから先の描き方は皆さんが今まで描いてきた作品の様に自由に描きましょう。
とはいえ岩絵具の使い方は細かい違いはありますがほぼ共通しています。水干絵具の解説で少し書きましたが、岩絵具は膠(動物性の骨などから取れるゼラチン)を混ぜることで粘着性を出し、紙に定着させます。膠は固形のものと液体のものがあり、固形の物は一晩水につけてもどしてから湯煎して溶かして使います。それを水で薄めて使いますが、膠の種類によって適切な濃さが違うため、使う際にいちいち調べないといけないので大変です。また、冷蔵庫に保管しても1週間ほどしかもたず腐ってしまうので、作り置きができません。

ミオスの岩絵具(今回大人・学生100人+小学生130人が制作したので、写真の岩絵具以外の水干をかなり買い足しました)
岩絵具は名前の通り岩を砕いて作られた絵具です。元は天然の素材のみで作られていて、とても少ない種類の色しかありませんでした。戦後、人工的に色付きの石やガラスを作るのとで色の数が大幅に増え、日本画材店にいくと棚一面に絵具が置いてあります。混色する事ができない絵具なので、細かい色の違いを出したい時、いちいち絵具を買い足して使い分けないと行けないので、とてもお金がかかります……涙。
長くなりましたがまだまだ日本画のことは語り尽くせません。沢山書きたいことがありますが今回はここまでです。また次回のブログで続きを解説させて頂きますので是非ご覧ください!