ブログはお久し振りです、ひとみです。今回は2・3月に小学生クラスで実施していました、自画像紙版画について書かせて頂きます。

紙版画は、コシのある厚手の画用紙を重ねて貼ることで凹凸のある版を作り、その版を油性インクで刷り版画が出来上がります。画用紙の積み重ねをレリーフとして考えると、高い場所(鼻の頭など)を上にしたくなりますが、版の上にくるパーツほどインクが付きやすく黒くなるので、暗くなるパーツ(鼻の穴など)が一番上になるように作ります。最初は理解するのが難しい子が多く苦戦している様子を見られました。しかし作っていくうちに理解できて「次に暗くなる所はここだから、これを作るんだよね!?」と混乱せずに進められ、頼もしく思いました。
そんな紙版画の詳しい作業手順を紹介しようと思います。

①自分の写真にトレーシングペーパーを重ねて線で顔のパーツを描き写します。(撮影はできるだけ面白い顔をポーズしてもらいました。)
この時の注意点としては細かいシワは描きますが、頬などの大きく暗い面はなぞらないようにすることです。
影になっていない上のまぶた、鼻は鼻筋もなぞることで後々の切る作業で、パーツごとに分けやすくなります。
②トレーシングペーパーを裏返して描いた線の上を全て黒く塗りつぶし、カーボン紙状態にします。
(写真では分かり辛いですが、右のトレーシングペーパーの裏は、濃いかきかた鉛筆で塗りつぶしてあります。)
塗り忘れがあると次の画用紙に写す作業の時に線が写らないのでしっかり丁寧に塗ります。

③画用紙の上にトレーシングペーパーを重ねて顔を写し、お面を作ります。
ズレないようにマスキングテープで画用紙とトレーシングペーパーを貼り付けて固定すると良いでしょう。
顔の輪郭だけでなく、目や口などの全ての線を画用紙に写しておくと分かりやすくなり、貼り付ける際に福笑いにならずに済みます。
また額は髪の毛を上から貼るために、糊しろ部分として大きめにしておきます。
先生が事前にカラーペンで糊しろ部分をトレーシングペーパーに描き、前髪の形の糊しろを切ってしまわぬように気を付けさせました。
④画用紙にパーツごと線をなぞり、写したパーツの線を切ります。
この時、例えば歯などは唇の下になるよう重ねて貼るので、のりしろ(写真では見えていない歯茎まで)を作る必要があります。これは難しいので、一人ひとり切る前に、先生がのりしろを描き足しました。また、歯を一つ一つ作ると大変なので、上の歯と下の歯でそれぞれまとまりで作ります。
ここからは、パーツの線をなぞって、切って、貼るの繰り返しの作業になります。先生が「次は左の眼の上瞼を作ろう!」など細かく声を掛け、「最初に切っておいた目玉(黒目)と瞼をくっつけちゃおう!」と切ったパーツはすぐに貼り付けることで、紛失を防ぐことができます。20人以上の低学年の一斉指導なので、確認しながらパーツごとに繰り返し作業することが大切です。

⑤切ったパーツを貼り付けます。耳ともみあげの関係など、前後関係が人によって違う場合もあるので、先生が一人ひとり確認します。
貼り付ける際にボンドをつけすぎるとはみ出してしまい、刷る時に影響が出てしまうので注意が必要です。

⑥完成した版画にインクをつけて版画用和紙の上に重ねて刷ります。
バレンで力を入れてこすることで転写が均一に綺麗にできると言われていますが、6歳の子に使わせると力が足りず薄くなりがちです。ミオスでは手をバレン代わりにし、掌や指先で凹凸を感じながら擦らせています。
転写できたかどうか角を少しだけめくって確認しながら行います。転写できていない部分があったらその部分を重点的にこすります。
⑦和紙を剥がし、乾かします。版画インクは油性ですので、完璧に乾くまで3日間ほど掛かります。(すぐに乾く水性インクだと、刷っている最中に版と和紙がくっついてしまうので、忙しない作業となり低学年には不向きなのです。)
本当は広げて乾かすのが一番良いのですが、一人で数枚刷る為1クラス100枚近くになりスペースが足りないので、ボロ布と新聞を挟み重ねて保管。夜間大人クラスが終わってから朝まで、教室中の床に広げ乾かしました。

作業が多くて大変ですが、低学年でも簡単に写真のようなリアルな版画を作ることができます。小学生クラスの皆も自分とそっくりな版画に喜んでいました!ミオスで開発した技法との事で、私が学習指導案を作らせて頂きました。ぜひ皆様も真似して紙版画に挑戦して頂けるよう、明日はもう少し細かく書き出します。