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モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

思い入れを大切に

2025-04-05 23:55:50 | 学生


詩哉 高1 色鉛筆 / 瑞希 中3 透明水彩

ようやく暖かくなってきましたね、ナツメです。本日は2人の学生の作品をご紹介します!

一枚目、左は詩哉の色鉛筆画。路地裏の換気扇の上に、廃棄予定の瓶が置かれた光景を描いた作品です。雑多で仄暗い空気が漂い、ひっそりとした佇まいがあります。わざわざ「路地裏の瓶を描こう」と思う発想がとても新鮮で、日常の中の見過ごされがちな一コマを選ぶ感性が個人的にとても好きです。

透明な瓶や換気扇の管など、構図の中に縦の要素が多く並ぶ中で、茶色い瓶だけが他と異なる色合いと角度で置かれていて、自然と視線がそこに引き寄せられます。

また、グレーを基調とした背景は一見シンプルながら、灰色にも複数のトーンが使い分けられていて、単調さを避けながら奥行きや空気感を表現している工夫が見事!!瓶に施された鮮やかな黄色が全体の色調に変化を与えており、静かな中にも印象に残るポイントとなっています。落ち着いた中にしっかりとした表現の工夫が詰まった一枚です。

 

そして瑞希の右の作品。ほとんど空想で龍の水彩画を描きました。西洋のドラゴンが邪悪さを象徴するのに対し、東洋の龍は神聖で高貴な存在の象徴とされており、まさにそんな威厳が感じられますね!お寺の子なのでこういう題材に触れているのだと思われますが、それにしても素晴らしい迫力です。

V字に広がる髭や、胴体の太い部分が画面下に配置されることで、重心が安定し堂々とした印象を生み出しています。大きくダイナミックにうねる胴体のラインと合わさり、龍の動きと力強さを巧みに表現しています。

さらに、手前には濃い紫がかった青を使い、奥へ行くほどに明るさを増すことで遠近感が表現されています。奥行きだけでなく、ふわふわとした毛やしっかりとした鱗などの質感の違いにも濃淡を上手く使っていますね。よく見ると背中に棘のようなものがあったり、耳飾りがついていたりと、デザインにも瑞希のこだわりを感じます。

 

私もこの間ブログで紹介されていたお花見に参加したのですが、生徒だった頃にアトリエで制作した作品の話になった時、先生達は覚えてくださっているのに、自分が何を描いたのか意外と覚えていないことに気付きました。すごく楽しんで描いたはずなのに、言われないと思い出せず、少し悔しい気持ちになりました。でも、選んだモチーフや描いた絵には、きっと何か強い思い入れがあったはず。だからこそ、どんな気持ちで、何を思って描いたのか、たまにで良いので思い返してみて、記憶に残してあげてください。

コメント
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