箕輪 アクリル
岩田です。今回は、箕輪さんの作品をご紹介します。
アクリル絵の具を使って描くようになって、今回で何枚目ぐらいになるのでしょうか。絵の具を使い始めた当初に比べ、今では、かなり自由に自分の世界を表現できることに、喜びを感じながら描いてる気がしています。
薄塗りで全体感を作りながら、その後も重層的に絵の具を重ね、下に置いた色を透過させながら徐々にモチーフを浮かび上がらせていく。そうした方法論を構築できてきたことで、自分にとって無理のない描き進め方ができているようです。
今回掲載した作品を見ても分かるように、人物、風景などモチーフも多義にわたってチャレンジしていますが、私は特に、水車小屋の絵に見られる雑木林のような、緑がうっそうと茂る様を描くのが上手いなあと感じています。
現在進めている絵もそうなのですが、前景、中景、後景を自分の中で整理しつつ、加えて植物などもアレンジを施しながら、自然な空間を作っていく。本来、これ結構難しいことですが、途中経過を見ていても破綻のないかたちで進行しているのが分かるし、ちょっとした方向転換も実に合理的に処理できています。
作者と話していると、オリジナリティということに話がいくことがあります。コンペにも頻繁に応募し、ご自身でも多くの作品を制作しているが故に、そういうことを意識されてもいるのかなあと感じているのですが、普段、出来上がったものを見ていると、仕上がりの風合いには一定の統一感を感じることができるので、いっそ前述したような、うっそうとした森林の風景などを立て続けに描いてみてはどかなと思いました。
一枚目の童子を描いた作品をこうして客観的に見ると、特に顔のデッサンがもう少し自然だったらとあらためて思わせます。人物デッサンも進めていく必要がありますね。直近のコンペでは、悔しい結果を経験しているとのこと。でもそれをしっかりバネにできることが作者の強みです。ご自身でも「これが私かも」と腹落ちするようなオリジナリティが滲みでてくるのは、もしかしたら、そんなに遠い先ではないかもしれません。
とはいえ、そこはあまり焦らず、じっくり自分で納得する作品を一枚一枚作り上げていって欲しい。それが何よりも大切であり、私の願いです。